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8の扉 デヴァイ
ラピス 仕切り直し
しおりを挟む「新しい私に なる」
なんとなく、チラリと見えた新しい色を見て、そう思った。
幾度となく、同じ所をぐるぐると回る、私。
それは、必要なことなのかも、知れないけど。
でも。
ここに来て、本当に同じ所をぐるぐると回っている事を、実感して。
また「変わりたい」と。
一つ、「上の段階」に行きたいと思ったんだ。
「変わらなくていい」と、みんなが言ってくれる。
でも、それとは違う部分で、私の「なか」を更新したいのだ。
「うーーーん?どう、すればいいんだろ??」
無意識に視線は腕に行って、自然と持ち上がる、手。
その手には勿論、あの指輪が、ある。
さっき少し話したそれは、今は沈黙を守っているけれど。
きっと、聞いてはいる筈だ。
「大人に?なりたいんだよな………。なんか。こう、芯がしっかりしてて、ブレない、魅力的な??」
「それなら、別に。「大人」じゃなくても、いいじゃない。」
あ 喋った。
嬉しくなって、くるりと回りながら質問をする。
「え?でもこのまま?なんか、成長したいんだよね………」
なんとなく、だけど。
ん?でも確かにハーシェルさんが「大きな子供」みたいなこと、言ってたな??
見た目じゃないって、事だよね??
くるくると渦巻く私の頭、しかし指輪は謎かけの様な事を言ってくる。
「そう、見た目、じゃない。現に、貴女の見た目は。もう、充分よ。そうじゃ、なくて。芯を、通せば、いいの。」
「芯…………」
だから、どうやって???
それが、知りたいんだけど………。
でも。
「こうしろ」とか。
言われて、できるものでもないのだろう。
それならきっと、教えてくれる筈だ。
芯を 通す
それって。
どういう、ことなんだろうか。
「決めるのよ。覚悟ね。」
頭の中に直接、降ってくる、声。
「この子」の、声なのだけど。
指輪からではなく、頭の中に直接響いた。
「覚悟………確かに。」
私に。
「覚悟」は、あったろうか。
祈ること
祈り として 在ること
美しく 在りたいと 思い そう 在ること
ただ ただ 祈って。
「変える」「変えたい」「動かしたい」と
思うのではなく。
ただ 「在る」ということ
それは。
思っているよりも、きっと難しいのだろう。
黙っていることのできない、性格もある。
大事な時に「助けてくれないの?」と、思われるかも知れない。
だけど。
「私に全てを救うことはできない」のは、事実だし。
「人には人の 道がある」んだ。
フリジアの言葉が頭の中をぐるぐる回る。
エルバの顔。イストリアの薄茶の瞳。
ソフィアの透き通る、石の様な、瞳も。
みんなみんな、「わかって 見守ってる」んだ。
悪戯に手を差し伸べるでなく、勝手な方向に、導く事なく。
人それぞれの、道を、自分で歩む事を。
見守り、時に助言し、そっと、励ます様な。
私にも。
そんな「覚悟」が、必要なんだ。
「わかって」、いても。
何度も何度も、同じ事で迷いぐるぐるし、繰り返す私は。
きっと「解って」いなかったのだろう。
だから。
「決めること 覚悟」が。
必要、なんだ。
ぐっと拳を握り、下ろしていた手を目の前に持ってくる。
キラリと光る遊色は、きっと返事を待っているのだろう。
その、美しい様を眺めながら、再び思う。
私が 今 ここにいる こと
みんなが 見せてくれた 「経験」「色」
それは多分。
私に、「ただ在ること」ができる様に、その「覚悟」の為に、見たのだろうと。
見せて、くれたのだろうと、思うのだ。
「でないと。きっと今頃暴走してたよね………。」
泣き笑いの様な、笑みが出る。
しかし。
泣いている、場合でもない。
私は今、覚悟を決めて。
この、「始まりのわたし」に、宣言しなければならないのだ。
なんとなく、わかったけど。
この子は。
「スタート」、なんだと思う。
きっと沢山の「色」を経験して来た、自分もどれも、「本当」で。
でもきっと「繋ぐ」と「気付いた」のは。
「この子」なんだと思う。
私の所まで、この生を繋いで。
紡いで。
届けて、最終的には全てを、繋ぐ。
輪の、始めの端っこが、この子なんだ。
時系列はバラバラ。
繋がらないし、辻褄なんて勿論、合わない。
でも。
私はもう、知ってるんだ。
「時間」「瞬間」「とき」は「今」は。
きっと、繋がってはいないし、私達は瞬間を跳べる。
だから同時に、「どんな瞬間の私」も存在するし、「どんな瞬間の全部」も存在するんだ。
「そとみ」と「なかみ」、「身体」と「魂」。
感覚でしか、分からないけど。
多分、そう。
私の「なかみ」がそれを「私に証明」してくれていて。
それならば。
それで、充分なのだ。
「外」に対して説明は、必要無い。
時間の無駄だ。
だって。
「時がこなければ」わからない の だから。
「仕方無い………んだよ。みんな、そうなの。」
言い切る事に対する後ろめたい気持ち、自分が意地悪なんじゃないかという、思い。
でもそれも、また。
全部、全部少しずつ蝶にして、光にして溢して。
この、世界に還して。
「綺麗にして、光にして。色にして、還すよ。」
私の「なかみ」は、勲章だ。
私だけの。
キラキラと光る、宝石にして、纏えば、いい。
身体全体を覆う、何か光のベールの様に。
私を包む、勲章兼、宝石兼、光、護り、うーーーん、バリア???
「………いや、話が逸れてきたな…。」
しかしいつもの事でも、ある。
キリッと向き直って、指輪を掲げ、口を開いた。
「私は。ただ、祈り、美しく在り、光を溢し、心を震わせ謳う。そうして、…………光を」
「 繋ぐ。」
「そう、決めたよ。うん。」
そう一つ、頷いたその瞬間。
眩い光がこの石部屋を隅々まで満たし、その光が指輪から出ている事に、気付いた時には。
私の目の前に、セフィラが。
立っていたので、ある。
うん、見た事ないんだけど。
多分、そう。
その人は、確かに凡そ私に、似て。
「そっくり」と言われるのも、頷ける程の外見である。
アキを外した今の私よりは、少し濃い水色髪、青が多い瞳、しかしたおやかな見た目は大人っぽく、美しくて。
確かに「妖精」と、言われれば。
信じそう………フローレス先生、確かに、これは………似てると言われて嬉しいです…。
しかし、ぼんやりと浮かぶだけのその姿は。
きっと、この時間が長くはないであろう事をも同時に告げている。
セフィラは何か言いたくて、出て来たのだろうか。
この、指輪は。
ディディエライトなんじゃ、ないの………??
そんなことをぐるぐると考えている私の目の前で、浮かんだそばから薄くなっていく姿。
「えっ」
慌てて一人、アワアワする私、自分の姿を確かめる様に見た、セフィラは。
私を見ると、ゆっくりと口を開いた。
「 私は 次の扉に いる 」
「えっ!?」
その姿と同じ、微かな、声。
「ちょ、っと、待って………あ!消えない…で…………。」
しかし。
やはりこの指輪自体が、セフィラではないからなのか、なんなのか。
微かであったその姿はもう既に無く、後には指輪に微かな光が残るのみ。
その、発光している様な遊色を。
食い入る様に、ずっと見つめていたのだった。
その後は、タイミング良く狐が迎えに来て一緒に帰った。
きっと、極彩色は何があったのかは大体知っているのだろう。
帰り道、何も訊いてくる事は無くて。
逆にそれが、私の心を落ち着かなくさせた。
だって。
「決めた」けど。
「なん、か………なんだ、ろうか。こう、心許ない?寂しい………とも、違うんだけど。」
分かってる。
この、道は。
一人で進むべき道で。
誰を頼りにするでも無く、「自分」で進まなければ。
意味が無い、道なのだと。
「わかってるんだけど、さ………。」
机の前、椅子の上に膝を抱え座っている私は、帰還を前に一人黄昏ていた。
今はもう、夜中で。
今日もティラナは私のベッドを、優しく温めている。
途中で潜り込んでも、体も心も温かい、妹仕様である。
何故だか極彩色は椅子の上にはいない。
夕食時にハーシェルと帰りの事について何か、話していたからか。
準備や根回しでもしているのかも、知れない。
それは私には、分からないけれど。
黒の時間、星達は元気に瞬いて「また会えるよ」と、言ってくれてる気は、するのだけれど。
そう、セフィラが言った、あの言葉。
「あれは………うん、なんか。重いよね………。」
「次の扉」それは。
あの時、金色にも、聞いたけれど。
いいイメージが全く無い、次の扉は私の予測から言えば、真っ暗な墓地である。
確か、「終焉の墓地」って。
誰か、言ってたよね??
メディナさんだったか………フリジアさんだったか………。
ん?
でも確か。
メディナも、セフィラはその墓地にいるんじゃないかと。
言ってた気がするな………。
なんだっけ、名前………えっと?
「思い、出せない。」
ポツリと呟き自分の脳みそを諦めて、また星空を眺める。
そう、今思い出せなくても何ら支障は無いのだし?
私は、「今」。
ここでゆっくりと癒されて、スッキリと祈る必要があるのだ。
「欲を、言えば。また屋根に出て………あばば 」
ゆっくりと星空を眺めたいのは山々なのだが、頭の中には既に金色が浸出してきている。
いかん。
でも。
癒されたい、気持ちも、ある。
だって、私は。
「覚悟」したんだ。
そう、思った瞬間ギュッとする胸、意識した自分の「真ん中」にぐっと意識を集中、する。
持って行かれる訳にはいかない。
「覚悟」は、必要なんだ。
そう思って、そのままチカラを込めた瞬間。
ブワリと燃える、焔に包まれたのだ。
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