透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
751 / 2,079
8の扉 デヴァイ

実際問題

しおりを挟む

「てかさ。思うんだけど、私的に。「不老不死」って、「死なない」んじゃなくて、「死ねない」んだと、思うんだけど…。」

「まあ、そうね。」

それって。

「いいもの」なんだ、ろうか。

諦めた様に体を起こした朝は、欠伸をしながらそう答える。


「ヨルは。不老不死それに、なったらどう、する?」

そう、突然私に尋ねたのは、緑の瞳の大きい子。

いつの間に起きたのか、隣にいるフォーレストだ。

「え?うーーん?でも、私の場合だと………「魂は死なない」?「無くならない」?…「繋がってる」って、知ってるからなぁ………だから??うん?でも…………。」


「死ぬ」のと「終わりがくる」のは、違う。

なんとなく、そう思った。

「魂」は、死なないけれど。

「終わり」は。

来るのでは、ないだろうか。


スポン、と堕ちた自分の「なか」。

沢山の「色」、「重い色」も「軽い色」も様々な種類、重さ、厚さと匂い、沢山の「私」が渦となり「今の私」の周りをぐるぐると廻っている。

どれも、これも。

もう、「充分」「やりきった」、色だ。


「だって、…………私は、もう…………。」


 繰り返さない  って。

   これ で  お終い  だ と。


  思った  筈なんだ

      決めた   筈なんだ。


 もう、次へ。

 進む、べきなのだと。


 このループを、抜けて。


 あの、光の元へ  還りたい の  だと。



何処で?

思ったんだ、っけ……… ? ?


その時、キラリと上の方で何かが光り、意識を外へ向ける。

目にパッと映るは、スフィアの虹。

あれが光ったのだろう、反射的に窓へ滑る、視線。
そこへチラリと見えた、鳥達の色の名残を見つめていると、段々と思考が戻って来た。


「…………えっ。なん、か。とりあえず不老不死それは、要らないかも。」

「そうだろうね。」

静かな魔女部屋、少し斜めに入る様になった光。

その角度の違いに目を細めながらも、照らされているカードを見つめる。
白い箱の装飾が、光を受けまたキラリと、光って。


 空間に ぎる 光

 何か が 閃く  瞬間



………これかな?

あの「違和感」。
さっきウイントフークあの人に言われて、意外だったのも、あるけど。


   私 は


  「このままの私」で。

 あの人金色

 ずっと  ずっと 


    いたい訳じゃ   ない な ???


なんでだ、ろうか。

「ずっと一緒にいたい」のは、なんだけど。

「なにか」が、違うのは、分かる。


うーーーん。

でもな…………とりあえず、そのうち?

わかる、かぁ…………? ? ?


腕組みをして、ウンウン唸り出した私を他所に朝が気になる事を言い始めた。
私を構っていたら、全く話が進まない事が解っているからだろう。

「でも、そもそも何の為に。それが、欲しいのかしらね?ここだって、そう長くない事は解ってる訳でしょ?あの爺どもが「自分達でやる」とかそんな愁傷な事、考えてるとは思えないんだけど。」

「まあ。そう、思う?やっぱり??」

やはり朝も、私と同じ様な事を考えている事が分かる。

長老達は、「私達がやる」と言っていた、ここの力のこと。

「維持」なのか、「繋げる」のか。
それとも「長の代わり」を、誰かがやるのか。

それは分からないけれど、そもそも「不老不死になったから」って。

長の様に、ここの「軸」に?

なれるものなのだろうか。

それと、これって。
違うんじゃ、ないの???


「でも。私にその目的を教えてくれるのか、分かんないよね………聞く権利だけは、あると思うんだけど。てかさ、目的がない不死なんて、ある意味罰ゲームみたいなものだと思うんだけど。それも、とびきりの。」

「まぁね。ずっとこのまま、贅沢三昧できると思ってるのよ。いつの世も、耄碌した為政者はそう思うらしいわよ。」

「ふぅん。…………ずっとずっと、続く事なんて。あり得ないし、それじゃ楽しく、ないのにねぇ…。」

「まあね。」

「でもさ。なんで?結局、そういう人って「変わらない」と思ってるんだろう?だって、自分だって子供から大人になったし、周りだって勿論、変わってく。自分だけ、なワケ、なくない??非現実的だよね??なに、みんなが不老不死になればいいの??え?自分だけなりたいんだよね??………意味がわかんない…………。」

ぐるぐると頭を抱え始めた私を見て、溜め息を吐く朝。
呆れた様な声を出しているのは、何故だろうか??

「あんた。…………まあ、仕方が無いのかも知れないわね。ずっと前にも言ったけれど。」

うん?
私の記憶力を侮っている様だ、朝は。

ずっと前の事なんて。
覚えている訳が、ない。

「現実を見る、「勇気」が無いんでしょうね。」

「成る程」を、顔に貼り付けている私を見ながら、話は進む。

「ずっと、目を逸らし続けてきて。今更、現実なんて見れないのよ。目を開けれないの。だってやっぱり、「本当のこと」は優しくないし、ここも滅びに向かっている。「震え」の事だって。だって、言われてるでしょう?でも現実的な対策なんて、してないし、きっと思い付かないんだろうけど。」

「そうしてずっとずっと、誤魔化し続けて。「得られるもの」って、何なんでしょうね。………挙句に、「不老不死」でしょう?なんか、もう、とりあえず………次、行きましょうか………。」

パタリと転ぶ様に寝転んだ、その灰色の毛並みを見て。

くるりと緑の瞳と目を、合わせた。

うん。
気持ちは。

解るよ、朝…………。


「ねえ、でも。現実問題、あの人達って。を、なんとかできると思う?」

解っていて、訊くこの質問。
しかし緑の瞳は、静かに私の意図に対して肯定を映しているだけだ。

やはり。

あの人達は。

「なんとかするつもりがない」し、「なんともできない」んだろう。


「えーー。でもさ、それなら不老不死になっても、この世界が滅ぶんじゃ…意味、無い…………」

ふと、思い浮かぶはあの、船。

え?

ウソでしょ??

いやいやいやいや、でもまだ完成しない予定…………

 いや?

 バレて? ない?   よね ???


「ちょ、ちょっと書斎………!!」

「  」

朝が何か、言った気がしたけれど。

とりあえず「嫌な予感」を打ち消すべく、勢いよく扉を開け走って、いた。


青のホールを無言で横切り、調度品達も無視してあの白い扉を目指す。

背後にフワフワの気配を、感じながら。

フォーレストも意外と足が速いな、と思う余裕はあったけれど。


なにしろ子供達の無事を確認するべく、勢いよく扉を開け放ったのだ。













しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...