透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

想像

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「てかさ………もう、紆余曲折とか障害とか。争いとか、我慢とか犠牲とか。そんなの、要らないんだよね。その、二時間ドラマみたいなやつ。…………もう、ずっと平和でいいじゃん。毎日、空見て「綺麗」って言って、花でも愛ででさぁ…………なんでこう、すったもんだするかなぁ…………。」

「…………だから。好きなんでしょ、が。」

「…………やっぱり………そう、なの、かなぁ…………。」


あれからフラフラとやって来た魔女部屋には、先約がいた。
ソファーで寝ていた、朝だ。

まだ寝ているだろうと、いつもの様につらつらと独り言を漏らしていたら、意外と返事が来た。

それもまあ、いつもの事なのである。


あの、後。

本部長は幾つかの重要事項と思われる内容を、サラリと齎した後「シッシ」と手を振り私を追い出した。

そう、ぐるぐるの種だけを私に放り投げ、ついでに私も放り出されたので、ある。

「なんか、さあ?めっちゃ凄い事言われたんだけど??それでポイされたんだけど、どう思う??」

「まあ、いつもの事じゃない?」
「うん、…………そうだね。」

確かに。

きっと「この話」をしたならば、私が五月蝿く質問攻めにする事が分かっている本部長。
だからさっさと追い出したに違いないのだ。

「で?何よ、「凄い事」って。」

「いやさ、聞いてよ………。」
「まあ、聞くけどさ………なんか嫌な予感。」

「正解だよ、朝。私だって。そんなの、聞いて無かったし??次の扉?なのか?だよね??それが、「海底墓地」だなんて。」

「は?」

目を瞑ったまま、私の話をきっと半分くらい聞いていたであろう、朝。

しかし、流石に。
「海底墓地」なんて、言われたら目が覚めた様である。

「え??「海底」って、海って事よね??」

「多分。」
「どうすんの、それ。」

「さあ?でも、長しか入れないって言われてるじゃない?なのかなぁと、思って。」

青い瞳をくるくると動かした朝は、パタンと瞼を閉じこう言った。

「うん、多分。行けば、なんとかなる系のやつね…ハイハイ…………。」

「えっ、ちょっとまだあるんだけど??」

ピコピコと動く尻尾、きっとこのまま話せという事なのだろう。

この次に続く話も「いい話」ではない事が解っているだろう、朝。
もう、半分諦めの体で聞くつもりらしい。

まあ、確かに。

今から私が話す内容は、現存するのかどうかも分からない「アレ」の話だ。

うん、とりあえず…。
そもそも、「あるのか」「無いのか」すらも。

分かんないもんね…………。


「えっ、でも。無かったら、どうするんだろ?まじない??え?でも、できるならもう、やってるよね??」

「そもそも「不老不死」なんて、私も見た事も聞いた事…は、あるけどマンガとかお伽噺系の事じゃ、ないの…。」

その、「不老不死危険なワード」が出た時に。

パッと開いた青い瞳は、キロリと私を見た後諦めた様に再び閉じた。

「えっ?朝、心当たり。ある、の???」

ヒラヒラと動く耳。
あの反応は、何か知っていると見ていいだろう。

朝は何歳なのかは、分からないけど。
私よりは、ずっと物知りな筈なんだ。


えーーーー。
でも。

流石に、不老不死は、ねぇ………?

「ウフフ」

ちょっと私の妄想が楽しくなり始めた所で、起き上がった朝。
フルフルと灰色の毛並みを揺らし、座り直したその瞳には「仕方のない色」が、浮かんでいたのだ。

あれ?
なんか、よくあの人金色がする様な目、してるんだけど…。


「どうして、人間って。に、行き着くのかしらね?」

「え?」

「いつの世も。権力?力?お金?何かを手に入れた者達は、最後に行き着くのよ。その、「不老不死」とやらに、ね。」

「…………それって。現実に、あるの??」

お話の中だけだと、思っていたけれど。

本当に。

不老不死それ」を、望んで。

しかも、手に入れた人が、いるのだろうか。


しかし、朝はフルフルと首を振るとはっきりとこう言った。

「無いわよ。」

「…………だよ、ね。」

ある意味予想通りの、答えである。

 でも。

 でも、さ。
 この、世界ならば。

 やっぱり…………。

「無い、とも。言い切れ、ない??いや、でも「どうやって」って、ことだよね…………???」

「なに、ちょっと、あんた。また何かやらかす気なの?!」

「いや、実際問題、なのかと思うじゃん。でもな…可能不可能じゃ、なくて。本当に「どう」するのか、できるのか、いやいや、しかし…………。」

ぐるぐるし始めた私に、大きな溜め息が聞こえて来る。

なにしろいい顔をしていない朝は、昼寝を決め込む事にした様でくるりと丸くなり目を閉じてしまった。
何か、昔。

不老不死関連で、嫌な思いでもしたのだろうか。

うーーん。
後で教えてくれるかな…………。


微かに上下する、灰色の毛並みを見つつ何気無く視線を滑らせて行く。

今日も青空が見える、大きな窓には彩りのいい、鳥達が舞っていて。
それを見てお喋りをしている花達は、今日もご機嫌だ。

時折連れ立って舞う鳥達の影に、キラリと反射して輝く石達。
この部屋にはスフィアが多いけれど。

元の持ち主の、趣味なのだろうか。
ていうか、ここって誰の部屋だったんだろう………。


そんな事をつらつらと考えつつ、その「不老不死」について思いを巡らせていく。
単純に、それがあるならどんなものなのか、実際問題、可能なのか。

それは私も、興味はあるのだ。

あるのか、無いのか、あってもあの人達に渡すのか。

それはまあ、ある意味別の問題だよね………。


そもそも、さっき。

「多分 できる」と。
思ったんだ。

この頃感じている「万能感」、「繋がっている」なら。

「なんでも できる」こと。

ただ、それが。

あの人達の、思う「不老不死」と同じかと言われると微妙だけどね………。


私が思うに、「不老不死」は色んなバージョンがあると思う。

もし、これが物語ならば魔法でも使って「チョチョイのチョイ」だ。
これが一番、簡単だしきっとそれを期待しているんだろうけど残念ながらそれはできない。

今の、私には。

全く方法が思い付かないので、現実無理だと思う。


それ以外の方法となると、「不老」と「不死」が両立しない。

まあ、実際問題そうなんだろう。

「死ぬか」「死なないか」で言えば、今の私から言えば「魂は死なない」だ。
だから、多分?

その、「自分の色々」を思い出せばある意味それは「不死」だろう。
私達は、ずっとずっと。

この、光を繋いで、ここまで来ているのだから。

気付いているか、いないかの違いだけなのだ。

「でも、どうやって気付くのか問題が発生するけどね…………。」

これもやろうと思ってできる、ものでもないだろう。

それにこの場合。
やはり「不老」は実現しない。

「不老」はとても、難しくて。
私的には「無理」である。

確か、深海に「不老不死」的な生物が住んでいたかと記憶しているけれど。
いつだか、友達が言っていた記憶があるが、曖昧だ。

でも、その曖昧な記憶によればそれはある程度まで年月が経つと細胞が若返るんだそうだ。
全く、意味が分からない。

でもそんな生き物がいるのならば、人だって。
不可能ではないと、思える。

だがしかし。

を、実際やるとなると話は違うと思うのだけど。


「どう、頑張っても「時間」というものが存在すると「変化」は避けられない………「変化」しないとなると?「時間」が?止まる????でも、「時間」とか「流れ」を止めるとなると、この世の理から外れるよね…?全部を止める、じゃ意味ないしな…………???」

「だって「一人でいい」なら、話は分かるんだけど?あの贅沢な人達が全てを自分でやるとは思えないし、だったら一人だけある日突然、若返るとしたら。………それって、もう、なんて言うか…………??」


うーーーーん。

私にとって、「不老不死」は。

とても、現実味が無いものである。

それを、何故。
そう欲しがるのだろうか。

「てか、それだけ大変そうな所に行って取って来たら、「目的と理由」は聞きたいよね。別に駄目って言わないからさ…純粋に興味あるわ……。」


独り言を続ける私に、ピコピコと動く耳。

きっと眠ろうとしても眠れないのだろう。
まあ、そこそこ大きな声では。

独り言を、言っているけれど。


麗かな魔女部屋に相応しくない、絶妙な話題だが「不思議」という点ではピッタリなのかも知れない。

そんな事をつらつらと考えていたら、部屋の隅に居るフワフワが視界に入る。
どうやら先客は他にもいたらしい。

その、不思議なフワフワを見つめながらボーっと考えて、いた。


 長は 本当に 不死なのか

 ディディエライト は


 会いに  行ける

 私達は   





 私達に。


 不可能 は  ない  


そう、思え たんだ。






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