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22の扉 生成の場
未だかつてない物語 再
しおりを挟む翌る日の朝、食堂への道を テクテクと歩いて いると。
なんだか「いい空気」が流れているのがわかって
「なんだろう?」と思いながら 廊下を進んでゆく。
「それ」は
別の言葉で言えば きっと「予感」で
確かに食堂の扉が見えてくると同時に。
そこから「静かなワクワクの雰囲気」が流れ出しているのがわかって、なんだか私もワクワクしてきた。
そしてまた 何故だか「そうした方がいい」と思って。
扉の前に立ち止まって「その気配」を味わって いたんだ。
ふぅ む 。
どうやら、中に居るのは
イストリア 本部長 極彩色と玉虫色という
まあ「いつものメンバー」であるがしかし
最近にしては珍しく、なんだか盛り上がっている。
そう、ここのところ世界は
「絶賛崩壊中」だからして
朝食時の話題も難しい色の日が多いのだけど
なにやら今日は「みんなが嬉しそう」なのだ。
ふむ ?
そして その「雰囲気」は
確かに「盛り上がっている」とも言えるが
「成功」とか「祝賀」とか
そんな感じではなくて「静かな喜び」や「納得」の気配が 強い。
だから それが なんでなんだろうと 思って。
「立ち聞き」すべく、扉の前に陣取ったので ある。
「……………ほう、そういう結果になった、と。」
「そうだね。きっと、纏ったら見せてくれるのじゃないか?」
「………成る程な。確かにそれならば。………と、言うかそういうこと、なのか。」
「そうだろうな。」
「何がだ?」
"なんとなくの予感" だったけれど
「その声」を聞いて
自分が「立ち聞きしようと思った理由」が
「私の話をしている」と
知っていたからだと 気付いて。
同時に明晰君へ「なんで?」を送りつつも 耳はきちんと「みんなの声」を取り込み始めている。
だから とりあえずはそのままピタリと
目を 閉じて。
耳だけ開いて、静かに 話を 聞いていた。
「………そうだなぁ。あれは、いつ頃だった?もう大分前の様な気がするが。」
「そうだな。」
「そんな話をしたこと自体、すっかり忘れてたが。まああいつならやるとわかっていたから失念していたんだろう。」
「まぁな。」
「そうなのかい?」
「ああ、ウイントフークは以前からそう言っていたんだ。どう、やるのかは分からないが、ヨルはやるだろうって。」
「フフ」
「なんだ。」
「いいや、君もやはりあの子のファンだからね。信じずにはいられないだろうよ。」
「ファン。確かになんだかんだ、ハーシェルの事は言えないからな。」
「………俺はお父さんではない。」
「フフフ。まあ、それは良いよ。なにしろ新たな門出を見守る事くらいしか、私達にはできないからね。」
「ああ。」
「しかし、ヨルが何処かへ行ってしまうのじゃなくて良かった。…?いいのか?まあ、俺はとしてはここにいてくれた方がいいんだが。」
「………どうなんだ、そこの所?」
「あいつにとって「場所」は、関係ないからな。」
「成る程?そうか。」
「「あれ」はひたすらに「自分のゴール」へ進んでいるだけに過ぎず。あれこれ人間どもの些事を考える事はあれど、「どうやってやるか」、それは考えてもないだろうよ。」
「………成る程。たまに悩んでそうな時はあるけれど。確かに「悩んでいる」のとは、少し違うものね?」
「………どうなってるんだろうな、あいつの頭の中は。」
「俺もそれは思う。」
「フッ。どうもこうも。単純明快、至ってシンプルで、あの娘は複雑な事など考えてはいないさ。」
「そうだな。」
「そうかもな。」
「ただ、「それが当たり前だから」。「自分の理想」…いや、理想とは違うな。「すべき事」でも、ない。既存の言葉が当て嵌まらないから難儀だが、「自分が納得できるまでやる」んだよ、あれは。長い事色々やってきたからな。今度こそは、そう せねば、納得いかない…進めない?成功できない、………ああ、「完成しない」んだろうよ。」
「…………成る程。確かにそれなら解る。」
「まあ、お前もここ一番の時は脇目も振らずにやってるからな。成る程、そういうことか。」
「あの子のいい所は「脇目を振りながらやってる」所だけどね。」
「違いない。」
「………しかしなぁ。………そうか、でも俺は。どうやって気焔を人にするのか、とか、そんな方向で進んでいるのかと思っていたが。やはり「そんなタマ」では、なかったってことか。」
「ああ。」
「そうだね。あの子は自分の事だけ考える様な子じゃないよ。」
「なんでも拾ってくるからな。」
「フフ」
「………しかし。「物語が現実に」、か。」
「全てが仲良く?暮らすなんて。俺には想像が付かなかったけれど、本当に世界は繋がり始めているからな。あの時は分からなかったが、最近は「そういうことなのか」って、確かに感じる事があるよ。大分森も変わってきているし。」
「生態系が変わるとか、扉が繋がるとかは、ある意味そんなに大きな事では、ない。あれの特異な所は「人の意識を変える」所だ。」
「あ~、なにか。「当てられる」、よな。」
「以前は彼女の「情熱に押されている」のだと、思っていたけど。最近、姿も見せないし、静かなのに「ジワリとくる」、よね。」
「分かる。俺は前より感じる。ここでも飛びやすくなったもんな。」
「そうか。成る程?」
「あ、お前また勝手に他の区画でいきなり調査始めるなよ?おい」
「フフ、悪いね、いつも。ちゃんと言っておくから。」
「もう聞いちゃいない。」
「しかし、とりあえずはなにしろ。最良の結果になった、という事か。」
「まあ、あの子にとってはこれからなのだろうけどね。」
「まぁな。」
「ふぅん?しかしどうして「最良」?何がだ?」
「………それは「繋がり」を見れば解るだろう?「まじない力」、「能天気な性格」、「石を創り出せる事」と「青の本」、「金の家」と「守り神との符合」。あれのしてきた事を全て繋げれば、「そうなるのが順当」だ。………あれは今、全てのピースが嵌って、「そうやる」と決めた筈だ。………どこまで本人が考えてるかは、分からなんけどな。」
「成る程。然るべき所へ収まってるってことか。」
「そういう事だな。」
「そして、それを。実際にやってきているから、その力が働く。」
「そう、例えそれが物語として描かれたものだとしても、皆が「物語だと思っていたとしても」。何処かでそれを「本当だ」と信じる力が、生まれるだろうな。」
「…………成る程。」
「その、微妙な。曖昧な。しかし「世界を動かす 力」は、人間の奥に仄かに灯る、炎だ。それがあれの目的なのだろうし、そういう風に灯るのが、一番、いい。」
「ああ。」
「そうだな。」
「もう、強制される時代は終わった。」
「確かにあの子は最近、造船所でも直接はそう前に出ない。………成る程、そういう事か。へぇ、凄いな。」
「あれがそうしているのは無意識レベルだろうが、意図的には「そう」だろう。」
「成る程ね。」
「ま、これからが楽しみだ。」
あれ コレ
千里は私に気付いてるな?
その「まとめのセリフ」で そう気付いて。
だけど
なんだか 今更しれっと入って行くのは気が引けて、くるりと踵を返してトコトコとホールへ 向かって歩いてゆく。
そして 「みんなの 言っていたこと」
その「いろ」がくるくる廻るのを観て
ニヤリとすると。
「 なるほど なるほど。」
ゆっくりと 大きな扉を開け
肩の力を 抜いたので ある。
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