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22の扉 生成の場
みんなの「やって欲しい私」2
しおりを挟む青色の蝶が ヒラヒラと 玉虫色を誘いに来て。
いつもの様に遊ぼうと、天井への動きを繰り返し
「連なりたいみんな」が揃って ヒラヒラと目の前を踊っている。
「 ふふ」
そう、時折この人は 蝶達に混じってこのホールで遊んでいるし
私もそれを眺めているのが好きだ。
だけど 彼は今私の回答を待っているからして蝶には目もくれていないし
私はその様子を観ながらも「どう答えたものか」と 思案している。
まあ 「どう答えるか」なんて
「そのまんま言うしかない」のだけれど
どこから話して 何故そうしたのか
その順序は大切だと思うからだ。
「誤解されたくない」とか そういうのじゃないけれど
「私は私のなかみをよりストレートに表現する必要がある」。
それに この人は
どんな言い方をしても誤解なんてしないとわかっているし
何よりも重要なのは「私が私であること」そこだ。
だから「何も取り繕わない言い方」、
それを心掛けながら 「最適なピース」を選んで 話し始めたんだ。
「 とりあえず私は。 「取り繕う」の?「偽る」のを? いや、「みんなの期待している私を演じる」のを、辞めたんですよ。 色々経てきた末に。」
「ああ。」
始まりの この一言で 大きな納得を得た彼は
流石 私との付き合いが長いと言っていい。
心配だった話の内容の方向性を把握した様で、落ち着いて手のひらで座り始めた。
まあ ホントに座ってるのかはわからないけど
中央に落ち着いて、私の方を観ているのが 可愛らしい。
「 あの、前から 「請われたら応えること」は、していたじゃないですか。 でもそれって大体私の区画の人だったから 特に問題 いや、問題、まあ問題としましょう、 問題は起きなかったけど 「この私に対して疑いを持っている人に答えたらどうなるのかなぁ」って、単純に思ったのもありますけどね。」
「ヨル………。」
「 いや、興味だけじゃないですよ? なんだろう、「やろうと思ってやった」と言うよりは「結果 そうなった」のか。 ふむ 」
「 そう、初めっからそうしようと思ってやった訳じゃなくて。 たまたま、「私のことが見える人が近づいて来て」「目が合っちゃったから」「反応したら」、なんか「悪い所を治せるんだろう?」って言われて。 そこで消えるのも変だから、ちゃんと祈りました。 ああ、そうか その「祈り方」か。 」
「おい、どういう事なんだ?」
「 えっとですね。 「私が その人の治った姿」を描いて祈った訳じゃなくて、 「私は その人の望む先に祈った」んですよ。」
「…………うん?」
「 それ即ち「本人の望むことが起きる」。 だから、彼は「治りたかった」んじゃなくて、「私が祈っても効果が無かった事実を体験したかった」、そういうことですね。」
「ああ、成る程。…てか、お前はそれで良いのか?」
「 まあ。別に「私の評価」なんて、あってない様なものですからね。 風の噂程度 いや、でも面白くなるかもな 」
「?」
別に見た目は変わっていない、キラリと光る背中に
「?」が浮かんで いて。
それを観ながらクスクスと笑っていると、玉虫色はもどかしさにプリプリしながら 再びくるくると手のひらを回って いる。
「 いやね、ほら 確かにこれからあの二人のお披露目があるじゃないですか。 なんだっけ「標の儀式」? 良い名前ですね えっ?アリスの提案? ふぅん、意外。」
「 それで、 なんて言うか「別に 全ての人が二人を崇めなくとも良い」んですよ。 これまでが異常過ぎた。 本来それぞれの意見があっていいし、個人の信仰を縛ることはできない。 それを祈る人も、祈らない人もいるのが自然ですよ。 まあ、別に「全員祈る」のが、おかしいとか 普通じゃないからそうした訳でもないですけど 」
「言ってることは、分かる。しかしヨルの立場は、どうなる?歩き辛くはならないのか?」
「 いや、多分変わらない筈です。 ある意味これまで通り。 その、反応によっても「私の見え方」は違う筈だし、 それでいいし。」
「お前、そんな「神の化身」みたいな見た目しといて………まあ、成る程しかし「それでも信じない奴は信じない」、か。」
「 そうですね。 だから「私が本物だから信じる」とか「偽物だから信じない」とかじゃないんですよ、本来は。 もし私が奇跡を起こしたとしても信じない人は信じないし、人は見たいものしか見ない。 それがこれからは如実に現れてくるし、だから面白いって思ってます。 それに、その方がみんなにとっても良いんじゃないですか?」
「??何故。」
「 いや、「判りやすい」じゃないですか。 どっちなのか。」
「…………ああ、成る程、そういうことか。」
じっと まじまじと 私を見る小さな目
それはきっと「相変わらず不思議な事を言う 不思議なもの」として
私を映して いて。
その「彼が映している私という 色」を観るのは
とても 面白い。
実際「今の私の姿」は 白銀の髪に青灰の瞳
ようく見れば瞳は青銀だと判るだろうが
これでも色を濃くしている、「最近の状態」である。
勿論、「茶色の私」や「紺色の私」などに擬態している時も あるけれど。
黒の廊下を歩く時は、故意に気を抜いて歩く様にしているし
ここは本来 エネルギーが濃いからその方が自然で私も楽なのだ。
「 ふふ、そう 最近は少しずつここの空気も綺麗になってきてますからね、そこへ私がリラックスして歩いていれば 相乗効果が認められるからして 」
「………それはいいが、あまり無茶はするなよ。」
「 ふふ はい。」
「それにしても、なぁ。俺からしてみれば勿体無いけどな。ちゃんとみんなを癒して神にもなれるのに、見た目もこんなだし、心酔してる奴も多いし。………だが本人が崇め奉られるのを嫌ってるんじゃ、まあどうしようもないからな。」
「 えっと 「崇め奉られるのを嫌ってる」んじゃなくて、私は「そういうものではない」んですよ。 なんか、微妙なニュアンス問題だけど。」
「まぁな。言ってる事はわかる。ヨルはそもそも普通にみんなが欲しがるものが欲しくないからな。」
「 まあ そういう言い方もできますね。それに疲れるじゃないですか。 なんでもやってくれるにしても大人しくしてなきゃいけないだろうし、「みんなの理想像でいる」とかって まあ向いてない明らかに。」
「ハハハッ、そうだろうな。」
「 「信仰」とかって。 そう思う人もいて、そう思わない人もいるのが自然な状態ですよ。 だけどここからは明らかに二分化していきますから、そうなったらみんなの腕の見せ所ですね。期待してます フフ」
「そうだな、それは俺たちの役目だ。………しかし、成る程なぁ。」
「おい、用事ができた。行くぞ。」
「ん?お前、まだいたのか珍しいな。」
「とりあえずとっとと来い。」
「そんな言わなくても………飛んで行くから先行ってればいいのに 」
確かに 私も本部長はとっくにいなくなっていると
思っていたけれど。
私の話を聞いて、何か思い付いたのだろう
また出掛けると言って ベイルートと共に外へ向かう通路へ消えて行った。
「 うむ。 よし。」
だから 私は
その「自分が行動した結果というこたえ」を
観れたことに 満足して。
ポン、とベンチから立ち上がり
テクテクと 歩いて行ったので ある。
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