【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

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二章 ハーレムルート

吾輩は猫である

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吾輩は猫である、名前はシャルマン フィンコック。

棟から抜け出し、逃げ込んだ先で人生を謳歌している。
好きな人に全身を綺麗にされ、好きな人の香りが残るふかふかのベッドで眠ります。
眠りにつくまで身体をわしゃわしゃされ、朝はご主人様より先に起きます。
身体の上に乗り踏み踏みして起こして差し上げます。

「にゃぁんにゃぁん」

可愛らしく鳴いて起こします。
それでも起きない時は耳元に移動します。

「にゃぁんにゃぁん」

「んん…」

まだご主人様は起きる気配がありません。

ふぁさぁっ。

素晴らしくふわふわの尻尾をご主人の顔に。

「んん゛ぁ゛」

顔を逸らされた…。
吾輩の極上のふわふわ尻尾が…。

「にゃんにゃん…にゃ…」

もう、何をしても起きてくれないことを知る。
ベッドから離れ振り向くも、ご主人は吾輩を気にすることなく眠り続ける。

「にゃぁぁぁあん」

大きく鳴いてもこっちを見てもくれない…。
もう知らないっ。
ソファに移り丸くなった。
起きて触ろうとしても、バシッと拒絶してやる。
ふんってしてやるんだ、ふんって。


「んん゛んー…シャル…シャル…シャルッ」

吾輩が居ないことに気付いて、漸くご主人は急いでベッドから降りて探している様だった。

慌てろ慌てろ。

絶対出てやるもんかっ。

「シャルッ…シャルッ」

ダメ…でないぞ…。
ソファに居るのにどうして気付かないの?

「シャルッ」

もうっソファだって…ソファ゛。

「…シャル……なんだ、そこにいたのか」

ずっとここにいましだっ。
気付くの遅くない?

「にゃん」

(ふんっ)

「なんだ機嫌悪ぃのか?」

誰のせいで機嫌悪くなったと思ってるの?
吾輩の近くにご主人が座ると、重みでソファが沈む。
ちょっとぉ、身体が意思とは別にご主人側に傾いちゃうんだけどっ゛。
撫でようと伸ばされた手を「バシッ」と叩いてやった。

「あんま心配させんなよ…良かった…。」

叩かれたのがそんなに嬉しいの?
そんなに心配した?
吾輩がいて良かった?

そこまで言うなら…許してあげないことも…ないけどっ。

「シャル」

甘く名前を呼ばれ、確認すれば蕩けるような笑顔で吾輩を見てた。
もうっ仕様がないなっ。

「にゃん」

ご主人様の胸に飛び付いた。

「シャル」

「にゃんにゃんにゃにゃぁん」

(ライアンさまぁ)

好き好き好きぃ。
ペロペロと舐めた。

「擽ってぇよ。」

「にゃむにゃむ」

「朝食持って来てやる。」

「にゃぁん」

「待ってな。」

吾輩をソファに降ろそうとしたので、離れまいと爪を立て服が引っ掛かった。

「こらっシャル」

「にゃぁあ゛ん゛」

「なんだよ一緒に行く気かぁ。」

一緒に行きたい。

「にゃん」

「部屋から出るのは…猫の姿でもマズイだろ?」

「にゃぁぁん」

だめなの?

「そんな悲しい声出すなよ。」

こんこんこん

「ん?誰だ…シャル、ベッドの方で隠れてろ。」

ご主人様の指示通りベッドの奥に挟まり身を隠した。
こんな朝早くから誰?
先生?

がちゃ

「よぉっおはよう。」

「なんだエドバルドかぁ、ぉはよう…どうした?」

エドバルド様?
ご主人様のお友達のエドバルド様?
顔だけ出して確認した。
したけど、ここからじゃご主人様の後ろ姿だけでエドバルド様は見えなかった。

「いやぁ猫に会いに。」

「おぅ」

「あれ?居ねぇの?」

「いやベッドの方に…」

「ん?…あはっ頭だけ出てるっ。」

なんだよ、その反応。
折角顔をだしてやったのに。

「俺シャルの食事持って来るわ。」

「にゃぁぁああ」

(行かせないっ)

「うぉっ」

待って待って、急いでご主人様の背中に飛び付いた。

「一緒に行きてぇんじゃねぇの?」

その通りです。
エドバルド様正解。

「いやぁ、でも…」

「平気だろ?服の中にでも隠してろよ。」

服の中?
エドバルド様素敵っ。
そうしましょっそうしましょっ。
ご主人様の服の中なら安全です。

「にゃんにゃん」

尻尾を揺らしてしまう。

「はぁ…大人しくしてろよ。」

「にゃん」

ご主人様の服の中に潜入成功。
首元から顔を出した。

「いいんじゃねぇ?クックッ」

エドバルド様は笑いながら吾輩の頭を撫でていた。
バシッとしてやりたいところだが、今回は許してあげた。
食堂に行けるのも、服の中に入れたのもエドバルド様のおかげだと理解しているから。
食堂まで視線を感じることなく到着した。

「おはよう二人とも。」

二人の後ろから声が掛かった。
振り向けばフレデリック様だった。

「おぅ、おはよっ」

「はよう」

「ん?ふふっおはようございます。フィンコック様。」

頬辺りを撫でられた。
どうしてだろう?
フレデリック様の手はとても安心する。

「にゃぁあん」

とっても気持ちいい。

「こらっ、鳴くな。気付かれるだろっ」 
 
あっつい挨拶のつもりで…。

「食事は僕とエドバルドが取りに行くよ、ライアンは席に座ってて。」

「あぁ、悪いな。」

二人は食事を取りに行き、ご主人様と吾輩は端の方の人目につきにくい席を取った。

「シャル苦しくないか?」

小声でご主人様が尋ねてくるも、吾輩はなんて返せばいいんだろう?
苦しくないと返事をしたいが「にゃぁん」と鳴いてもいいのだろうか?
わからないので尻尾で一度ご主人様の胸をポンと合図した。

「あぁ、それがいいな。」

伝わった…ふふっ。
僕を理解してくれるのが分かると嬉しくなっちゃう。

「お待たせぇ。」

「ありがとう。」

「フィンコック様のはどうするの?俺たちと一緒で良いのかな?」

「いやっきっとギノフォード先生が用意してくれてると思う。」

「そっか。」

吾輩は三人が食べるのを無言で見ていた。
美味しそうだなぁ。
三人を代わる代わる見た。

ご主人様の口の端に付いたタレを発見。

これは僕が拭ってあげないと。

食べたいとかじゃなくて、ご主人様の口に付いたものを綺麗にしてあげる行為だ。
美味しそうだからじゃ決してない。

ペロッ

美味しいぃ。
ちょっと、味が濃く感じるけど美味しい。

「こらっシャル」

怒られると感じ、もぐら叩きのもぐらのように服の中に隠れた。

ご主人様の服の中、楽しい。

再びちょこっと顔を出した。
ご主人様が食事しているのを下から眺め、お皿とご主人様を往復するスプーンを追った。

「あはは」

急にエドバルド様が笑い出した。

「なんだ?」

なに?
ご主人様と吾輩はなぜエドバルド様が声をあげて笑い、フレデリック様も笑いを堪えてるのか分からなかった。

「さっきからライアンのスプーンを追ってるフィンコックが…。」

「とても可愛いですよ。」

ご主人様と目が合う。

「食いてぇか?」

ポン

「仕方ねぇな。」

スープにあった鶏肉を細かくされたものをスプーンに乗せ、吾輩の口許に差し出された。

にゃむにゃむ

美味しぃっ。
スプーンにあった鶏肉は直ぐに食べ終えてしまった。
目線でおかわりを要求した。

「分かったよ。」

ご主人様はおかわりをくれた。

にゃむにゃむ

食べ終りペロッと口の回りを舐め、満足し服の中に隠れた。

「ふっ、猫になっても変わらねぇな。」

「いや、猫の方が質が悪いな。」

ぬっ、解せぬ。
質が悪いって言ったのライアン様だよね?
聞き捨てならぬ。
おりゃっ。

「いてっ。」

バシッと胸を叩いてやった。
服の上からポンポンと撫でられたが…宥められたの?
悪い気はしないから、許してあげる。

三人は食事を終え、食堂を後にした。
部屋に戻りご主人様と二人きりの時間だ。
膝の上でイチャイチャするの。
踏み踏みしたり、頭を擦り付けたり大忙し。

「もう、時間だ。」

ご主人様は制服に着替え鞄を手に部屋を出ようとする。

「にゃぁん」

(行かないで)

「これ以上欠席はできねぇよ…。」

確かに僕の所為でお休みしちゃったよね…。
落ち込む僕の頭をわしゃわしゃと撫でられる。

「絶対に部屋から出るなよ。」

「にゃん」

扉の前まで行き見送る。

「にゃぁん」

「行ってくる。」

ばたん

扉は閉まった。
閉まった扉を見続けていた。

「にゃぁん、にゃぁん、にゃぁん」

淋しいよ。

吾輩はご主人様がベッドに放り投げた脱いだ服の中に飛び込んだ。
ご主人様の香りに包まれ溺れていく。
吾輩はそのまま深い眠りの中へ。

「…ん…にゃむにゃむにゃむ…」
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