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二章 ハーレムルート

ライアン サンチェスター

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俺の部屋にはシャル猫が居る。

棟の方が安全だとは分かっているが、部屋に居ると思うと顔がニヤけてしまう。
今まで猫と触れ合った事がなかったが、シャルだからか分からないが構いたくなる。
必死に起こそうとするのをイジワルで、起きなかった。
起きなかったらスネて俺を避け、触ろうとすればバシッと叩かれた。
それなのにチラチラと俺を確認する姿。

ぎゅっと抱き締めたくなる。
猫にこんな感情を抱くなんて…。

今日の俺は授業に身が入るか心配だ。

シャル猫はいつシャルに戻るんだろうか?
シャルを抱きたいが猫の姿も可愛くていい。

浮かれているな。

気を引き締めないといけないというのに。
俺は現実を甘く観ているのかもしれない。

フェロモンに支配されるのは嫌いじゃない。

俺だけならば。

百年前の死んだ人間の気持ちが分かる。
例え廃人になったとしても、あいつを抱きたい。
側に居たい。
愛してる。
他の奴と分け合いたくない。

同時に…死にたくないとも思ってる。

少しでも長く一緒に居たい。
シャルから違う香りがしても俺の香りにすればいい。
俺の知らないシャルの癖が現れても、直ぐに書き換えてやる。
シャルにどんな奴が現れても、シャルの傍には俺が居る。
俺だけのシャルじゃなくても、俺のシャルにする。
俺が堂々としていればシャルを不安にさせることはない。

シャルは不安になるとフェロモンを発しているのでは?と考えるようになった。

情緒不安定から来るものだろうと…。
俺が安心させれば、無闇矢鱈にフェロモンは出さないはず。

俺にはいい、他の奴の前では出して欲しくない。

例えフェロモンであいつを抱いた時の記憶がなくなったとしても、抱くのは俺がいい。
愛してるんだ。
シャルマン フィンコックを。

シャルを考えないよう授業に集中した。
教師の言葉一言一句聞き逃さないくらい。
窓を開け風が吹くと、きっとこの風にハンカチを飛ばしたら楽しそうに追いかけるんだろうな…。
よく動く教師の腕に「にゃんにゃん」と飛び付くんだろうな…。

…くっ、授業に集中しろっ。

今日の授業を俺がシャルに教えないと、アイツが学園に復帰した時ついていけなくなる。
シャル猫を膝に乗せて教える姿は可笑しいな。

…だから、真面目になれ俺っ。

ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。

ゆっくり深呼吸して落ち着かせた。

魔法の授業は特に集中しなければ怪我に繋がる。
そうなるとシャルを一人にさせてしまう。
アイツが不安になると…。
そうならない為に、集中集中。

今日は普段の授業より神経を使った。
こんな日が続くのは辛いな。
シャル猫には一日も早く人間に戻ってもらわないと。

「ライアン今日はなんだか、落ち着きがないな。」

「んぁ?そうか?」

「他の人は気付いてなくても僕たちはね。」

エドバルドやフレデリックには、全て見透かされているようだった。

「猫が心配か?」

「あぁ」

「部屋から出ないようにって伝えてあるんだろ?」

「あぁ」

それでも何か起こるのではと心配になる。

「今日も行っていいか?」

「僕もいいかな?」

「あぁ」

二人の気遣いは有難い。
シャル猫といると冷静で居られなくなる。
それは、シャルでも同じか…。
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