【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

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二章 ハーレムルート

勉強怖い

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準備を整え僕は学園に戻ることになった。

馬車の中ではアドルフと乳母と三人で移動し、馬車を守るよう三人の騎士が周囲を固めていた。
こんな風に移動したことがなかったので、大袈裟なのでは?と感じている。

乳母として着いてきてくれたのは、公爵家に何年も仕えてくれていた信頼のおける方だった。
三十代前半で綺麗な顔の人で、七年前に二人目を産んだベテランさんらしい。
アドルフも彼に抱かれるとすぐに泣き止んだ。

ちょっと嫉妬してしまうくらいに。

馬車は学園に着くが授業中の為誰とも会うことはなく、僕達の引っ越しは誰にも気付かれず問題なく終わった。
僕の学園復帰は明日からなので今日はアドルフとゆっくり過ごし、お昼になるとアドルフに母乳を与えた。
必死に飲むアドルフが可愛くて仕方がない。
僕は平気なんだけど、騎士の二人は僕が胸を出すと背を向けてしまう。
一人は扉の外で待機して、残りの二人が赤ちゃんから視界を逸らさないようにしている。
それなのに、僕が母乳をあげる時だけは視線を逸らす。
良いのかな?
僕は露出狂ではないので見られたい訳じゃないけど、絶対に見ないでぇとも思ってない。
僕も皆と同じ男だし、女の人じゃないから恥ずかしいってことは…。
間近で食い入るように見られたら、それは恥ずかしいけど扉付近に立っているので距離がある。
なのでそこまで気にしなくていいのに。
もしかしたら、僕が公爵家だからかな?
そんなことを考えていたら、アドルフのお腹は一杯になったみたい。

ポンポンと背中を叩く。

お腹が満たされ落ち着くと、瞼が次第に閉じ始める。

「眠っていいんだよ。」

抱き抱えながら左右に揺れ、鼻歌を歌っていた。
つい、この世界にない曲を歌ってしまい乳母や騎士の人に不思議な顔をされてしまった。

久々にやってしまったと反省する。

赤ちゃんが眠ったのでベビーベッドに移したが、今回は部屋を二つ使用することが許可された。
棟は同じで僕の部屋も前回と一緒、アドルフの部屋は僕の部屋の隣。
僕はアドルフと同じ部屋で良いですと伝えたのだが、何故か別々にされてしまった。
日本育ちの僕は赤ちゃんは両親の側にいるものと考えていたが、この世界…特に貴族は赤ちゃんのうちから赤ちゃんの部屋が与えられるらしい。
赤ちゃんと共に眠るのは乳母の役目なんだとか。
なんだか僕より乳母の方がお母さんみたいで、僕の事をお母様って認識してくれるのか不安になる。
唯でさえ乳母の方があやすのが上手くてやきもきしているのに、一緒にいる時間までも乳母の方が長かったら「ママ」って言う相手が乳母になりそうで怖いよ。
お願い、アドルフのお母さんは僕にさせてね。

こんこんこん

ん?誰か来たみたい。

「婚約者の方達がいらっしゃいました。」

外にいた騎士の方が教えてくれた。

「はい、どうぞ。」

僕は大きな声で返事をしてしまった後に「しまった」とアドルフに向き直った。
アドルフは僕の声に反応することなく眠っている。

よかった…気を付けなきゃ…。

がちゃ

ライとエド、リックの三人が現れた。

「シャル…」

「産まれたって本当なんだな。」

「おめでとう。」

「んふふ、ありがとう。」

三人は順番に僕の頬にキスをしてからベビーベッドへ近づいた。

「…ふっ、眠ってる。」

「…ライアンだな。」

「ん、ちっちゃいライアンだ。」

エドとリックは眠る赤ちゃんの髪色でそう言ったんだと思う。
起きても、僕と似ているところはまだ見つかってないんだけど…。 

それでも僕とライの子供だよ?

「いやぁ、ビックリしたよな。突然ライだけ呼ばれてルマンについて急用って言われてよ。俺達には話してくれなかったんだぜ?」

「そう、婚約者となったのにライアンだけ呼ばれるんだから。まさか赤ちゃんが産まれたなんて思わなかったけど。」

「…ぅん。僕もびっくりだった。」

「学園はどうするんだ?」

エドの言葉にライとリックも気になっていたみたいだった。

「ここから通うことになったの。赤ちゃんの事は学園には伝えてあるけど無闇に外には出ないことって言われてる。」

「そうだね、赤ちゃんが狙われたら大変だからね。」

「…それとね…」

「なんだ?」

「「………」」

僕が深刻そうに話すので三人とも神妙な顔つきになった。

「僕…その…ずっと休んでいたから…勉強の方が…お父様に…ちょっと…」

「「「……あぁ」」」

モゴモゴ話す僕の心境を理解したのか、はっきり言ってはないが皆理解してくれた。

「………」

「ん?いつから休んでたんだ?」

エドは記憶を辿るように考え出す…。
必死に思い出さなければならない程、遠い昔です…。

「確か…始業式の獣人検査で…っえ?三ヶ月強?」

事実を理解したリックは驚いていた。

「………」

「ルマン、その間の勉強は?」

「………」

エドの質問に答えられなかった。

「…嘘だろ?」

信じられないような顔で僕を見ないで。

「さっ最初の頃はちゃんとしてたよ…」

うん、最初の頃だけ。
エッチ出来るようになったら…。
煩悩に負けました。

「最初の頃は?」

「…はぃ」

イタズラが見つかった子供のように居心地が悪くなる。

「…これからは勉強だな。」

ライがお母さんみたい。

「……はい」

「勉強しないで何してたんだよ。」

エドの責めるようなお言葉は胸にサクッと来ました。

「………」

エッチ。

「まさかやりまくってたとかじゃねぇよな?」

言い方ってのがあると思います…。

まぁ…その…エド様の…言う通りです…けど…なにか?

「………」

「おいっ」

返事をしない僕を見て、エドが答えを見つけてしまった。

「ごめんなさいぃぃぃぃ」

「これって俺達にも責任があるのか?」

うん、皆のエッチが気持ちいいから止められなくなったのっ。

「ないでしょ…本人の問題。」

「………」

…リックって…冷たい。
確かにそうだけど…そうなんだけど…。

獣人の身体を知らないから皆にはわならないだろうけど…些細な接触や香りだけでしたくなっちゃうんだよ?
それで、本能が子供が欲しいって叫ぶの。
その止め方っていうか我慢の仕方が分からないんだもん…。
我慢するとフェロモン出ちゃうし…。

「これからは沢っ山勉強しようね?いいね?」

笑顔なのにリックの顔が怖かった。

「…はひ…。」
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