【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

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三章 設定を知る者

断罪…?普通のパーティー

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悩んでいればあっという間の卒業式に…あいつの不正も脅迫も尻尾を掴めずにこの日が来てしまった。

僕が皆を助けてあげなきゃいけなかったのに不甲斐ない。
よくある卒業式での断罪って現実は簡単ではなかった。
どんなネタで彼らを脅迫しているのか調べようと後をつけてはみたものの、婚約者達の反応は脅迫というより洗脳のように見えた。

主人公を本気で愛している…そんな感じだった。

一見幸せそうに見えるけど、もし洗脳や魅了の類いなら植え付けられた感情とも知らずに愛を囁き続けるなんて可哀想…。
…洗脳・魅了を解いてあげたいけど、僕には解き方が分からないし協力してくれそうな教師は既にあちら側に落ちてしまった。

今の僕には人脈がない…。

それに魅了や洗脳されている間は高揚感で幸せだが解けた瞬間、耐えられない程の羞恥や屈辱に襲われるだろうし、もしかしたら後遺症が現れるかもしれない…それはまるで薬物のように。
それに彼らの洗脳・魅了を解いた時、彼らは現実を目の当たりにすることになる。
貴族が簡単に操られ婚約までさせられたなんて今後の人生の恥でしかない。
何年たっても語り継がれ、嘲笑の対象にされてしまう可能性だってある。

やっぱりあっちの主人公は害悪でしかなかったんだ。

僕が彼に近寄らないようにと逃げてしまったばかりに被害が拡大してしまった。
王族のパーティーで僕に興味を示していた彼もあいつの毒牙に掛かってしまったくらいだ。
僕が王妃にさえなれば…王妃になりさえすれば彼らを救える。
…もしかしたらこれを解決することが王妃になるための試練なのかもしれない。

まだこれからだ、僕が主人公のゲームはこれから本番なのかもしれない。

断罪パーティーならぬ普通の卒業パーティー。
僕は一人で入場した。
ドルドリッチ様もテアドール様も僕のエスコートを願い出てくれたが丁重にお断りした。
僕はあっちと違って(今は)ハーレムを諦め王子ルートを選んだ。
王妃になりさえすれば…まずは一途さをアピールして王妃を目指す事にした。

それにしても長いなぁ。

男爵家の僕はかなり早い入場で数多の貴族を待つことになった。
平民と一緒に待つ男爵家はこれから入場する貴族にとっては平民と変わらないという位置付けなのが良く伝わる。
平民からしたら男爵家は貴族だが、貴族からしたらかろうじの男爵なんて平民と大して変わらない存在だと思い知らされる。
生まれもっての立場…運が良かっただけ…それだけであんな我が儘が許されるなんて…。
僕は高位貴族に生まれてもあんな性格にはならない、僕は平民も貴族も差別しない寛大な王妃になる自信がある。

僕こそ王妃に相応しいのに…。

我が儘な公爵家のお坊っちゃんはアクセサリーとしか思っていない婚約者達を侍らせ自慢気に登場した。
彼らに自分色のハンカチーフにピアスやブローチ、ブレスレットを身に付けさせるなんて…彼らは「あんたのペットじゃないんだよ」って言ってやりたい。
見た目は綺麗かもしれないが心は醜い典型的な人。
暴れ出さない彼に対して皆ホッとしたような表情で眺めている。
両脇に生け贄を据えることで僕達の安全が保証されている…。

なんて酷い光景…生け贄…。

不愉快な気持ちでいるとさらに僕の心を蝕ませた。
王子が婚約者である侯爵家の令息をエスコートしゲームでもそうだが、二人は張り付けた笑みを浮かべている。

政略結婚の典型で二人は…王子の表情からは幸せを全く感じなかった。

一度僕と視線があったが、すぐに逸らされてしまった…それだけで王子も苦しんでいることが伝わる。
愛する人と結婚出来ないなんて王族も貴族も可哀想だ。
僕が王妃になったらできるだけ好きな人同士で結婚してもらいたい。

僕は誘われるまま沢山の人とダンスをした。
皆名残惜しそうにダンス中僕に話しかけてきた。

「一年待っていて欲しい。」
「俺は君を忘れないよ。」
「来年、楽しみに待ってて。」

など愛人を仄めかしていた。

僕は分からないフリをしながら笑顔で頷いていた。
卒業パーティー…ほとんどの貴族とはここで終わる…が、僕と王子の繋がりは今後も続く。
侯爵令息とは子供は出来ない事を僕は知っている…そうなれば必ず僕に声が掛かる。
パーティーで王子と一緒にいる時間は少なかったが、僕から近付き思い出にダンスを願えば快く(嬉しそうに)エスコートされ僕たちがダンスをすれば視線を一気に集め婚約者よりも似合ってしまい、多くの人の記憶に残ったであろう。

卒業パーティーから1週間後王子の結婚式が盛大に行われた。

卒業と同時に侯爵令息が王宮に移り住み偶然出会した事があった。
何も知らない侯爵令息にマウントを取られそうだったので、数ヵ月前から王宮の客室に僕が王様に呼ばれたので住んでいることを先に告げた。
その時のあの人の表情を思い出しながら何とか王子の結婚式を乗り切る事が出来た。
王子もきっと僕と同じ気持ちに違いない。
国を守る為の結婚に愛は必要ない…今はね。

来年になれば僕が王子の隣に居ることでしょう。
それまでお互いに我慢ですねっ。


設定を知る者終了。
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