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聖女と呼ばれていた
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「んっんんん……んぇっ? 」
子爵に与えられた部屋とは違う、もっと豪華な部屋で目覚めた。
「お目覚めになったのですねっ」
控えていた使用人は、私が目覚めると慌てて部屋を出ていってしまう。
今がどういう状況なのか思い起こすと、王妃に祈りを捧げ終えた直後倒れたことを思い出す。
「ケイトリーン良くやったぁ。流石、私の娘だぁ」
本当に王妃が目覚めたのか、あれは都合よく見た私の夢だったのではないかと考えていると扉が開かれ子爵に勢いよく抱き締められた。
「王妃様をよくぞ治癒した。これで正真正銘ケイトリーンは聖女となったんだ」
私を置いてけぼりにして子爵の舞い上がる姿に、あれは夢じゃなかったんだと実感する。
祈りで倒れた私を心配する言葉はなく、子爵はひたすら『王妃は順調に回復している』『よくやってくれた』『我が家は安泰だ』『陞爵もあり得るぞ』など、煩く喋り続けている。
子爵が漸く口を閉じたのは、使用人が『両陛下がお会いしたいそうです』という知らせに何かを感じたからだ。
目覚めて間もない私の事など誰も気にせず、使用人により身なりを整えられ両陛下に謁見する部屋へ案内される。
私達が部屋に到着しても誰もおらず、王族が現れるのをソファで待機すれば程なくして二人が現れる。
「今回は良くやってくれた」
国王や子爵は私の体調には興味なく王妃に起きた奇跡について会話を続けていく。
国王の隣に座る王妃はベッドに横たわっていた時より健康的で、紅茶を頂いた後に私に向かって微笑む。
「それでだ、ケイトリーンには聖女としてだけでなく第一王子のマカリオンとの婚約を考えているんだが、どうだ? 」
笑顔で『どうだ? 』と聞いていながら、国王の言葉は決定事項のように感じる。
貴族になったばかりの元孤児でも理解できる。
その言葉に断れる訳がない。
私が返事に困惑していると隣の子爵が前のめりになり、王妃の方は国王の提案を知らされていなかったようで驚いている様子。
「なんと素晴らしい提案。私としてはその婚約を了承したいのですが、ケイトリーンは聖女になったばかり……ましてや貴族社会も不馴れな状態で二つの立場を両立するのは難しいかと……」
私の事なんて興味ないと思っていた子爵だが、私の不安を代弁してくれる。
「そんなことはない、今から専属の教師も付ける。心配するな」
国王は私達の不安など予想済みで既に対応策は準備され逃げ道は絶たれていた。
「……聖女というものは、やはり教会に身を捧げるものと考える貴族もおります。聖女が王族に嫁ぐ事で王家に対し批判が生まれるのではと懸念します。ですのでここはケイトリーンは教会に身を置き、第一王子の婚約者には我が家の長女である、マヤリーはいかがでしょうか? マヤリーとケイトリーンは仲も良好で教会と王族の懸け橋となりえるでしょう。娘は幼い頃より教養を身に付けておりますので、王妃教育も問題なく熟す事でしょう」
子爵は私が第一王子の婚約者となり礼儀作法の面だけでなく王族としてすべての基準を満たすのは難しい。周囲の貴族から『王妃に相応しくない』と批判される事を心配した……のではなく、自身の娘を王妃にしたいと考えているのだと理解した。
私としては孤児から貴族になっただけでも恐れ多いのに、未来は王妃だなんて考えられなかった。
子爵の望み通りに事が運ぶのは悔しいが、王妃になるくらいなら子爵の欲望通り教会に身を置く事の方が良い。
「いやいや、一人娘が婿を取らねば子爵家は誰が継承する? 今回の功績もあり、良い当主候補がいれば私が口添えしよう」
子爵の提案は国王の『口添えしよう』で流されてしまった。
『王妃は諦めろ、これ以上望むな』と言葉と眼差しで威圧され、一方的に語る子爵でもそれ以上娘を推す事を諦めた様子。
「……国王陛下にそこまでして頂きありがとうございます。娘も喜ぶ事でしょう」
話が一段落すると、命を救われた王妃は複雑な表情を浮かべている。
王妃でも国王の決定に口を挟むことは出来ないのか、何かを発言することはなかった。
そして、教会に行きたかった私の想い虚しく婚約が決定。
国王は満足し子爵も渋々納得、王妃は困惑し私はというとその場に存在していなかった。
子爵に与えられた部屋とは違う、もっと豪華な部屋で目覚めた。
「お目覚めになったのですねっ」
控えていた使用人は、私が目覚めると慌てて部屋を出ていってしまう。
今がどういう状況なのか思い起こすと、王妃に祈りを捧げ終えた直後倒れたことを思い出す。
「ケイトリーン良くやったぁ。流石、私の娘だぁ」
本当に王妃が目覚めたのか、あれは都合よく見た私の夢だったのではないかと考えていると扉が開かれ子爵に勢いよく抱き締められた。
「王妃様をよくぞ治癒した。これで正真正銘ケイトリーンは聖女となったんだ」
私を置いてけぼりにして子爵の舞い上がる姿に、あれは夢じゃなかったんだと実感する。
祈りで倒れた私を心配する言葉はなく、子爵はひたすら『王妃は順調に回復している』『よくやってくれた』『我が家は安泰だ』『陞爵もあり得るぞ』など、煩く喋り続けている。
子爵が漸く口を閉じたのは、使用人が『両陛下がお会いしたいそうです』という知らせに何かを感じたからだ。
目覚めて間もない私の事など誰も気にせず、使用人により身なりを整えられ両陛下に謁見する部屋へ案内される。
私達が部屋に到着しても誰もおらず、王族が現れるのをソファで待機すれば程なくして二人が現れる。
「今回は良くやってくれた」
国王や子爵は私の体調には興味なく王妃に起きた奇跡について会話を続けていく。
国王の隣に座る王妃はベッドに横たわっていた時より健康的で、紅茶を頂いた後に私に向かって微笑む。
「それでだ、ケイトリーンには聖女としてだけでなく第一王子のマカリオンとの婚約を考えているんだが、どうだ? 」
笑顔で『どうだ? 』と聞いていながら、国王の言葉は決定事項のように感じる。
貴族になったばかりの元孤児でも理解できる。
その言葉に断れる訳がない。
私が返事に困惑していると隣の子爵が前のめりになり、王妃の方は国王の提案を知らされていなかったようで驚いている様子。
「なんと素晴らしい提案。私としてはその婚約を了承したいのですが、ケイトリーンは聖女になったばかり……ましてや貴族社会も不馴れな状態で二つの立場を両立するのは難しいかと……」
私の事なんて興味ないと思っていた子爵だが、私の不安を代弁してくれる。
「そんなことはない、今から専属の教師も付ける。心配するな」
国王は私達の不安など予想済みで既に対応策は準備され逃げ道は絶たれていた。
「……聖女というものは、やはり教会に身を捧げるものと考える貴族もおります。聖女が王族に嫁ぐ事で王家に対し批判が生まれるのではと懸念します。ですのでここはケイトリーンは教会に身を置き、第一王子の婚約者には我が家の長女である、マヤリーはいかがでしょうか? マヤリーとケイトリーンは仲も良好で教会と王族の懸け橋となりえるでしょう。娘は幼い頃より教養を身に付けておりますので、王妃教育も問題なく熟す事でしょう」
子爵は私が第一王子の婚約者となり礼儀作法の面だけでなく王族としてすべての基準を満たすのは難しい。周囲の貴族から『王妃に相応しくない』と批判される事を心配した……のではなく、自身の娘を王妃にしたいと考えているのだと理解した。
私としては孤児から貴族になっただけでも恐れ多いのに、未来は王妃だなんて考えられなかった。
子爵の望み通りに事が運ぶのは悔しいが、王妃になるくらいなら子爵の欲望通り教会に身を置く事の方が良い。
「いやいや、一人娘が婿を取らねば子爵家は誰が継承する? 今回の功績もあり、良い当主候補がいれば私が口添えしよう」
子爵の提案は国王の『口添えしよう』で流されてしまった。
『王妃は諦めろ、これ以上望むな』と言葉と眼差しで威圧され、一方的に語る子爵でもそれ以上娘を推す事を諦めた様子。
「……国王陛下にそこまでして頂きありがとうございます。娘も喜ぶ事でしょう」
話が一段落すると、命を救われた王妃は複雑な表情を浮かべている。
王妃でも国王の決定に口を挟むことは出来ないのか、何かを発言することはなかった。
そして、教会に行きたかった私の想い虚しく婚約が決定。
国王は満足し子爵も渋々納得、王妃は困惑し私はというとその場に存在していなかった。
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