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ご挨拶
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本日から『聖女』として振舞う為に、大聖堂に向かい説明を受ける。
「今日は聖女補佐を立候補している令嬢達と顔合わせをする」
「令嬢……ですか? 」
「はい、聖女の補佐は貴族令嬢がしております」
当然のように司祭は告げる。
「貴族が聖女の補佐……」
私の知る貴族令嬢は、誰かを補佐しようとする殊勝な考えの持ち主はいなかった。
皆、汚れることを嫌い宝石やドレスの新作について語る。
そんな令嬢しか知らなかったので、国が違えば聖女信仰や令嬢達の思想も違うのだと実感する。
「聖女の補佐に就ける者は貴族令嬢に限り、聖女に認められ祝福を授けられれば『名誉』となり、功績を上げれば良い縁談に恵まれると言われている。現に今の王子には婚約者がいないので、年齢の見合う高位貴族の令嬢達は生前の聖女補佐をしていました」
教皇の説明に腑に落ちないというか……それは『聖女信仰』ではなく、王子の婚約者の座を狙ってという明確な目的が見て取れる。
貴族らしい打算的な行動。
そう考えると聖女亡き後、補佐の中から聖女に相応しい人物を選出した事で、襲撃にあったのも理解できる。
聖女とは令嬢達による王子の婚約者の座を巡っての熾烈な王冠争いではないか。
「補佐達が到着したようです」
そんな話を聞いた後に補佐達が登場すれば、私の中で令嬢達の印象はあまりよろしくない。
私は教皇と共に私の補佐をする令嬢達を待つ。
補佐と呼ばれる令嬢達が何処まで私と同じ行動をするのか疑問に思う。
私は毎日のように王宮にある祈りの場と教会を掃除している。
こちらの国の聖女というものをしらないので、私としては前回と同じような生活をするつもり。
令嬢達は私が掃除をするのを見ているだけなのか? まさか一緒に掃除をしたりはしないだろう。
夜明け前や冬場の掃除はかなり大変で、手荒れは避けられない。
貴族令嬢は一日で音を上げるだろう。
そして登場した令嬢達は私の予想通りというか予想を裏切らないというか、補佐にしてはとても華やかな装いでこれからお茶会に参加すると言われても違和感のない格好だ。
「聖女様。本日より聖女様の補佐をさせていただきます、公爵令嬢のエバリーン・イニアスと申します」
「私は侯爵令嬢のエマヌエレ・ゼルーガと申します。よろしくお願いいたします」
「私は侯爵令嬢のリズベッド・サラディーンと申します。よろしくお願いします」
「私は伯爵令嬢のコリンヌ・エリクソンと申します。よろしくお願いいたします」
「私は伯爵令嬢のカサンドル・ワーグナーと申します。よろしくお願いいたします」
皆さん令嬢らしく気品を感じる。
爵位を強調したのは気のせいではないだろう。
それに名乗る順番、そこにもヒエラルキーを感じる。
「……私はケイトリーンと申します。本日からよろしくお願いしますね」
あちらの国で子爵家の養女となったが、私はその名を名乗るつもりはない。
「ケイトリーン様は、先日の儀式で召喚された方でお間違いないのでしょうか? 」
何事も先陣を切るのは公爵令嬢のエバリーン。
「はい。他国より召喚されました」
「まぁ。では教皇様から説明は在りましたが、召喚の儀式は成功したのですね」
「……そう……みたいですね」
召喚には成功したが、私は聖女ではない。
「他国の聖女様の話を聞かせて頂きたいですわ」
エバリーンが提案すれば皆が同調する。
「私は……」
以前教皇に話したあちらの国での私の生活を語る。
過去の能力に感動していた補佐達だが、次第に表情が引き攣っていく。
なぜ彼女達がそのような反応を見せるのか私には分からなかった。
私としては幼い頃からの生活を語っているだけ。
その生活も国王や教会関係者が決めた予定に私は従ったに過ぎない。
私は私ん生活になんの違和感も感じたことは無いので令嬢達が何を感じているのか予想も出来なかった。
「聖女様は……大変お忙しいのですね」
「忙しい……ですか? 」
私は自身の生活を忙しいと感じたことは無い。
常に時間通りに動いている。
「えぇ……我が国の聖女様は、掃除は致しません。掃除は修道士達の仕事となります。それに、礼儀作法や行事について学ぶことはあっても『聖女』としての教育であって、王妃教育のような高度なものはしませんでした。更に嘆願書に目を通すなど大臣の仕事であり、教会に訪れた国民と直接言葉を交わすのは危険性を考えると我が国では難しいかと」
私からするとそれが当たり前なので、全て「しません」と言われてしまえば、この国の聖女は一体何をしているのか疑問だった。
「では、こちらの国の聖女はどのような生活をしていたのですか? 」
「聖女様は、国の平和を願い繁栄を祈ります」
今考えると、私はあちらの国で何について祈っていたのだろうか?
嘆願書に寄せられた国の現状や教会に直接やって来た国民の声を報告することはあったが、平和や繁栄など考えたことはなかったかもしれない。
本来の聖女はそうなのかもしれない。
「そうなんですね。他にはどのような事を? 」
「それだけです」
断言する令嬢に面を食らってしまった。
「……それだけ……なんですか? 」
「はい」
祈り……だけ。
「我が国の聖女様は高齢だった為に『祈り』を入念にしておりました」
エマヌエレが補足するように情報を口にするも、結局は祈りだけという事に。
「そうなんですね。では、皆さんはどのような補佐をされていたのですか? 」
祈りだけをしていた聖女の補佐とは何だろう?
「祈りの最中、聖女様に何か起きてもすぐに対処できるよう傍で待機しております」
聖女が高齢の為、傍にいるのは必要なことだろう……
「皆さんは共に『祈る』事はしないのですか? 」
「そんな恐れ多いことできませんわ」
恐れ多い? 祈ることが?
令嬢達の言葉は予想とは違い過ぎて腑に落ちない。
「聖女様の『祈り』と私達の『祈り』は全く異なります。そのような行為は許さらないのです」
「そう……なんですね……では、私は……何をしたらいいのでしょうか? 」
以前のような生活を送るべきなのか、この国の聖女が過ごしてきたように送るべきなのか悩む。
喩え私が以前のような生活を送ったとしても、聖女補佐達の反応からして令嬢達は私と同じ生活をするとは思えない。
もしかしたら私が掃除をしているのを一切手を出さず、これまで通り聖女の傍で待機しているだけなのかもしれない。
それであれば私としては『補佐』は必要ない。
補佐……私は補佐の意味を間違えて覚えていたのかもしれない……補佐って……なんだっけ?
「今日は聖女補佐を立候補している令嬢達と顔合わせをする」
「令嬢……ですか? 」
「はい、聖女の補佐は貴族令嬢がしております」
当然のように司祭は告げる。
「貴族が聖女の補佐……」
私の知る貴族令嬢は、誰かを補佐しようとする殊勝な考えの持ち主はいなかった。
皆、汚れることを嫌い宝石やドレスの新作について語る。
そんな令嬢しか知らなかったので、国が違えば聖女信仰や令嬢達の思想も違うのだと実感する。
「聖女の補佐に就ける者は貴族令嬢に限り、聖女に認められ祝福を授けられれば『名誉』となり、功績を上げれば良い縁談に恵まれると言われている。現に今の王子には婚約者がいないので、年齢の見合う高位貴族の令嬢達は生前の聖女補佐をしていました」
教皇の説明に腑に落ちないというか……それは『聖女信仰』ではなく、王子の婚約者の座を狙ってという明確な目的が見て取れる。
貴族らしい打算的な行動。
そう考えると聖女亡き後、補佐の中から聖女に相応しい人物を選出した事で、襲撃にあったのも理解できる。
聖女とは令嬢達による王子の婚約者の座を巡っての熾烈な王冠争いではないか。
「補佐達が到着したようです」
そんな話を聞いた後に補佐達が登場すれば、私の中で令嬢達の印象はあまりよろしくない。
私は教皇と共に私の補佐をする令嬢達を待つ。
補佐と呼ばれる令嬢達が何処まで私と同じ行動をするのか疑問に思う。
私は毎日のように王宮にある祈りの場と教会を掃除している。
こちらの国の聖女というものをしらないので、私としては前回と同じような生活をするつもり。
令嬢達は私が掃除をするのを見ているだけなのか? まさか一緒に掃除をしたりはしないだろう。
夜明け前や冬場の掃除はかなり大変で、手荒れは避けられない。
貴族令嬢は一日で音を上げるだろう。
そして登場した令嬢達は私の予想通りというか予想を裏切らないというか、補佐にしてはとても華やかな装いでこれからお茶会に参加すると言われても違和感のない格好だ。
「聖女様。本日より聖女様の補佐をさせていただきます、公爵令嬢のエバリーン・イニアスと申します」
「私は侯爵令嬢のエマヌエレ・ゼルーガと申します。よろしくお願いいたします」
「私は侯爵令嬢のリズベッド・サラディーンと申します。よろしくお願いします」
「私は伯爵令嬢のコリンヌ・エリクソンと申します。よろしくお願いいたします」
「私は伯爵令嬢のカサンドル・ワーグナーと申します。よろしくお願いいたします」
皆さん令嬢らしく気品を感じる。
爵位を強調したのは気のせいではないだろう。
それに名乗る順番、そこにもヒエラルキーを感じる。
「……私はケイトリーンと申します。本日からよろしくお願いしますね」
あちらの国で子爵家の養女となったが、私はその名を名乗るつもりはない。
「ケイトリーン様は、先日の儀式で召喚された方でお間違いないのでしょうか? 」
何事も先陣を切るのは公爵令嬢のエバリーン。
「はい。他国より召喚されました」
「まぁ。では教皇様から説明は在りましたが、召喚の儀式は成功したのですね」
「……そう……みたいですね」
召喚には成功したが、私は聖女ではない。
「他国の聖女様の話を聞かせて頂きたいですわ」
エバリーンが提案すれば皆が同調する。
「私は……」
以前教皇に話したあちらの国での私の生活を語る。
過去の能力に感動していた補佐達だが、次第に表情が引き攣っていく。
なぜ彼女達がそのような反応を見せるのか私には分からなかった。
私としては幼い頃からの生活を語っているだけ。
その生活も国王や教会関係者が決めた予定に私は従ったに過ぎない。
私は私ん生活になんの違和感も感じたことは無いので令嬢達が何を感じているのか予想も出来なかった。
「聖女様は……大変お忙しいのですね」
「忙しい……ですか? 」
私は自身の生活を忙しいと感じたことは無い。
常に時間通りに動いている。
「えぇ……我が国の聖女様は、掃除は致しません。掃除は修道士達の仕事となります。それに、礼儀作法や行事について学ぶことはあっても『聖女』としての教育であって、王妃教育のような高度なものはしませんでした。更に嘆願書に目を通すなど大臣の仕事であり、教会に訪れた国民と直接言葉を交わすのは危険性を考えると我が国では難しいかと」
私からするとそれが当たり前なので、全て「しません」と言われてしまえば、この国の聖女は一体何をしているのか疑問だった。
「では、こちらの国の聖女はどのような生活をしていたのですか? 」
「聖女様は、国の平和を願い繁栄を祈ります」
今考えると、私はあちらの国で何について祈っていたのだろうか?
嘆願書に寄せられた国の現状や教会に直接やって来た国民の声を報告することはあったが、平和や繁栄など考えたことはなかったかもしれない。
本来の聖女はそうなのかもしれない。
「そうなんですね。他にはどのような事を? 」
「それだけです」
断言する令嬢に面を食らってしまった。
「……それだけ……なんですか? 」
「はい」
祈り……だけ。
「我が国の聖女様は高齢だった為に『祈り』を入念にしておりました」
エマヌエレが補足するように情報を口にするも、結局は祈りだけという事に。
「そうなんですね。では、皆さんはどのような補佐をされていたのですか? 」
祈りだけをしていた聖女の補佐とは何だろう?
「祈りの最中、聖女様に何か起きてもすぐに対処できるよう傍で待機しております」
聖女が高齢の為、傍にいるのは必要なことだろう……
「皆さんは共に『祈る』事はしないのですか? 」
「そんな恐れ多いことできませんわ」
恐れ多い? 祈ることが?
令嬢達の言葉は予想とは違い過ぎて腑に落ちない。
「聖女様の『祈り』と私達の『祈り』は全く異なります。そのような行為は許さらないのです」
「そう……なんですね……では、私は……何をしたらいいのでしょうか? 」
以前のような生活を送るべきなのか、この国の聖女が過ごしてきたように送るべきなのか悩む。
喩え私が以前のような生活を送ったとしても、聖女補佐達の反応からして令嬢達は私と同じ生活をするとは思えない。
もしかしたら私が掃除をしているのを一切手を出さず、これまで通り聖女の傍で待機しているだけなのかもしれない。
それであれば私としては『補佐』は必要ない。
補佐……私は補佐の意味を間違えて覚えていたのかもしれない……補佐って……なんだっけ?
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