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教育係が決定
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午前中は王宮の祈りの場で祈りを捧げた後、使用人と共に掃除を行う。
初めのうちは断っていたのだが、王宮の使用人は真面目で私と一緒に掃除をすることになんの不満もみせない。
もしかしたら、以前から祈りの場の掃除を担当していたのかもしれない。
普段なら午後まで掃除をするのだが、国の内情などを教えてくれる教育担当が決定したようで今日は挨拶をし明日から本格的な授業が始まる。
「掃除を手伝って頂きありがとうございます」
部屋を去る前に手伝ってくれた使用人達に挨拶をしてから去る。
私の授業の為に準備された部屋に訪れると既に先生となる方が待ち構えていた。
「聖女様、本日より聖女様の教育係を担当させていただきますタチエナ・エンヴァーナと申します」
「そうなのですね。ケイトリーンと申します。エンヴァーナ夫人、これからよろしくお願いします」
そして私はギルべネル国の成り立ちから、こちらの国の礼儀作法に教養などを満遍なく教えてくれるそうだ。
私がエンヴァーナ夫人から教育を受けているのが広まるとおかしなことが起き始める。
「聖女様。我が家で話し合った結果、聖女様の補佐を続行する許可を得ることが出来ました」
まさかの侯爵令嬢のゼルーガが王宮まで訪れる。
「……補佐を……続けるのですか? 」
『祈り』を行うだけでも不満を表し『掃除』も含まれると知り早々に帰って行ったのに……
それなのに戻ってくるなんて、正直信じられない。
「問題ありませんわ」
自身ありげに宣言するので、令嬢も『聖女の補佐』という仕事を覚悟してきたのだろう。
「そうですが……では、まず祈りの場で祈りを捧げます」
ゼルーガは恐ろしいほど素直に私の言葉に従う。
「これから掃除にはいります」
「えぇ」
私が『聖女』で立場としては上なのだが、どうしても補佐の様子を窺ってしまう。
掃除を行うのだが、人数が増えると一気に進み掃除もはかどる……よく働く……人達だ。
ゼルーガは私達が掃除をしているのを眺めている。
まさか、侯爵家が人を雇い祈りの場を掃除する使用人を送ってくるとは思わなかった。
咄嗟の事で断る事が出来ず、いつの間にか王宮の使用人も立ち尽くし侯爵家の使用人が掃除をしているのを私は唖然としながら眺めていた。
「流石は貴族。お金で解決してきた……」
令嬢の解決策に感心してしまう。
掃除が終われると勉強の時間に入る。
令嬢は一緒には受けることが出来ないので屋敷に戻り、その後再び大聖堂で合流する。
半信半疑で大聖堂に向かえば、ゼルーガと使用人が出迎える。
私を出迎えてくれたことのある修道士は、その光景を遠目から目撃していた。
「ゼルーガ侯爵令嬢、私は司祭様とお話がありますので」
「はい。では大聖堂でお待ちしております」
ゼルーガとは別れ、司祭の元へと向かった。
大聖堂の掃除も聖女の仕事であり聖女の補佐も手伝うのが習わしなのだが、聖女補佐の使用人が掃除をするのはどうなのだろうか?
大聖堂も聖女補佐の使用人が自由に出入りして良いのかも教皇に許可を得ていない。
あちらの国の時は基本的に一人で行動していたので、こんなことで悩んだことは無い。
使用人達も教会の掃除をする私を手伝ったところで利益がないと判断し、各々与えられた仕事をしていた。
当然特定の貴族が使用人を送ることもなかった。
「教皇様、少々よろしいでしょうか? 」
「ケイトリーン嬢、私も話したいと思っていました。どうぞ」
ソファーに座るよう促される。
修道士は私の訪問に紅茶を差し出すと部屋から出て行く。
「それで、どうしました? 」
「はい。聖女として大聖堂の掃除を行っているのですが……ゼルーガ侯爵により使用人が派遣されたようなのです」
「……ふふっ。使用人付きの補佐ですが」
「はい。この件をどう判断するべきか、教皇様の意見を聞かせていただきたく参りました」
「大聖堂の掃除は有り難い事です。大聖堂は寄付により運営出来ておりますから」
「では、問題ないという事でいいのでしょうか? 」
「聖女様が問題なければ、私共も何もありません」
「そうですか、分かりました」
「他に何かありますか? 」
「いえ、私はそれだけです」
「では私の方ですが、今回令嬢の補佐をと名乗り出たゼルーガ侯爵より寄付金を頂きました」
「……そうなんですね」
教会は寄付金で運営と聞いている。
教皇が令嬢達に強く出らえれないのはそういうことなのだろう。
私としてはいいのだが……それはもしかして、令嬢を『特別』扱いしろということなのだろうか?
「聖女の補佐からは毎年一度寄付を頂いておりましたが、今回は二回目の寄付です」
やはり『特別扱い』してくれ、という事なのだろう。
「それは……ゼルーガ侯爵令嬢を……」
「ですので、掃除の面では目をつぶってあげてください」
それだけでいいんですか?
「分かりました」
教皇の許可も下りたという事で、私はゼルーガと使用人が待つ大聖堂へ向かう。
教会も運営する費用を獲得するのは大変なのだろう。
聖女補佐と名乗りを挙げていたのは高位貴族の令嬢達。
令嬢達は競うように寄付をしていたに違いない。
それを何も知らない私は令嬢達を『解雇』してしまった。
本来では許されないことなのかもしれないが、私が『召喚された聖女』ということで多めに見られたに違いない。
万が一運営費が足りなくなった場合、私を召喚した王宮に請求できると判断したからかもしれない。
「お金で解決は悪い事じゃない……そこに助かる人間もいる」
王宮で生活していたとはいえ孤児として生まれた私はいつも貴族の『お金で解決』を毛嫌いしていた。
だけど、それに救われる人もいるのなら悪い事ではないのかもしれない……好きにはなれないが、拒絶することはないのかも。
大聖堂に到着すると、ゼルーガは使用人達が掃除をするのを監視している。
あれも受け入れるべきなのか……
初めのうちは断っていたのだが、王宮の使用人は真面目で私と一緒に掃除をすることになんの不満もみせない。
もしかしたら、以前から祈りの場の掃除を担当していたのかもしれない。
普段なら午後まで掃除をするのだが、国の内情などを教えてくれる教育担当が決定したようで今日は挨拶をし明日から本格的な授業が始まる。
「掃除を手伝って頂きありがとうございます」
部屋を去る前に手伝ってくれた使用人達に挨拶をしてから去る。
私の授業の為に準備された部屋に訪れると既に先生となる方が待ち構えていた。
「聖女様、本日より聖女様の教育係を担当させていただきますタチエナ・エンヴァーナと申します」
「そうなのですね。ケイトリーンと申します。エンヴァーナ夫人、これからよろしくお願いします」
そして私はギルべネル国の成り立ちから、こちらの国の礼儀作法に教養などを満遍なく教えてくれるそうだ。
私がエンヴァーナ夫人から教育を受けているのが広まるとおかしなことが起き始める。
「聖女様。我が家で話し合った結果、聖女様の補佐を続行する許可を得ることが出来ました」
まさかの侯爵令嬢のゼルーガが王宮まで訪れる。
「……補佐を……続けるのですか? 」
『祈り』を行うだけでも不満を表し『掃除』も含まれると知り早々に帰って行ったのに……
それなのに戻ってくるなんて、正直信じられない。
「問題ありませんわ」
自身ありげに宣言するので、令嬢も『聖女の補佐』という仕事を覚悟してきたのだろう。
「そうですが……では、まず祈りの場で祈りを捧げます」
ゼルーガは恐ろしいほど素直に私の言葉に従う。
「これから掃除にはいります」
「えぇ」
私が『聖女』で立場としては上なのだが、どうしても補佐の様子を窺ってしまう。
掃除を行うのだが、人数が増えると一気に進み掃除もはかどる……よく働く……人達だ。
ゼルーガは私達が掃除をしているのを眺めている。
まさか、侯爵家が人を雇い祈りの場を掃除する使用人を送ってくるとは思わなかった。
咄嗟の事で断る事が出来ず、いつの間にか王宮の使用人も立ち尽くし侯爵家の使用人が掃除をしているのを私は唖然としながら眺めていた。
「流石は貴族。お金で解決してきた……」
令嬢の解決策に感心してしまう。
掃除が終われると勉強の時間に入る。
令嬢は一緒には受けることが出来ないので屋敷に戻り、その後再び大聖堂で合流する。
半信半疑で大聖堂に向かえば、ゼルーガと使用人が出迎える。
私を出迎えてくれたことのある修道士は、その光景を遠目から目撃していた。
「ゼルーガ侯爵令嬢、私は司祭様とお話がありますので」
「はい。では大聖堂でお待ちしております」
ゼルーガとは別れ、司祭の元へと向かった。
大聖堂の掃除も聖女の仕事であり聖女の補佐も手伝うのが習わしなのだが、聖女補佐の使用人が掃除をするのはどうなのだろうか?
大聖堂も聖女補佐の使用人が自由に出入りして良いのかも教皇に許可を得ていない。
あちらの国の時は基本的に一人で行動していたので、こんなことで悩んだことは無い。
使用人達も教会の掃除をする私を手伝ったところで利益がないと判断し、各々与えられた仕事をしていた。
当然特定の貴族が使用人を送ることもなかった。
「教皇様、少々よろしいでしょうか? 」
「ケイトリーン嬢、私も話したいと思っていました。どうぞ」
ソファーに座るよう促される。
修道士は私の訪問に紅茶を差し出すと部屋から出て行く。
「それで、どうしました? 」
「はい。聖女として大聖堂の掃除を行っているのですが……ゼルーガ侯爵により使用人が派遣されたようなのです」
「……ふふっ。使用人付きの補佐ですが」
「はい。この件をどう判断するべきか、教皇様の意見を聞かせていただきたく参りました」
「大聖堂の掃除は有り難い事です。大聖堂は寄付により運営出来ておりますから」
「では、問題ないという事でいいのでしょうか? 」
「聖女様が問題なければ、私共も何もありません」
「そうですか、分かりました」
「他に何かありますか? 」
「いえ、私はそれだけです」
「では私の方ですが、今回令嬢の補佐をと名乗り出たゼルーガ侯爵より寄付金を頂きました」
「……そうなんですね」
教会は寄付金で運営と聞いている。
教皇が令嬢達に強く出らえれないのはそういうことなのだろう。
私としてはいいのだが……それはもしかして、令嬢を『特別』扱いしろということなのだろうか?
「聖女の補佐からは毎年一度寄付を頂いておりましたが、今回は二回目の寄付です」
やはり『特別扱い』してくれ、という事なのだろう。
「それは……ゼルーガ侯爵令嬢を……」
「ですので、掃除の面では目をつぶってあげてください」
それだけでいいんですか?
「分かりました」
教皇の許可も下りたという事で、私はゼルーガと使用人が待つ大聖堂へ向かう。
教会も運営する費用を獲得するのは大変なのだろう。
聖女補佐と名乗りを挙げていたのは高位貴族の令嬢達。
令嬢達は競うように寄付をしていたに違いない。
それを何も知らない私は令嬢達を『解雇』してしまった。
本来では許されないことなのかもしれないが、私が『召喚された聖女』ということで多めに見られたに違いない。
万が一運営費が足りなくなった場合、私を召喚した王宮に請求できると判断したからかもしれない。
「お金で解決は悪い事じゃない……そこに助かる人間もいる」
王宮で生活していたとはいえ孤児として生まれた私はいつも貴族の『お金で解決』を毛嫌いしていた。
だけど、それに救われる人もいるのなら悪い事ではないのかもしれない……好きにはなれないが、拒絶することはないのかも。
大聖堂に到着すると、ゼルーガは使用人達が掃除をするのを監視している。
あれも受け入れるべきなのか……
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