【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

文字の大きさ
22 / 72

そうきたか……

しおりを挟む
 あれからゼルーガ侯爵家の使用人と一緒になって掃除をしているのだが、一貫してゼルーガ自身が掃除することはない。
 王宮の祈りの場の掃除が終わると教育の時間の為ゼルーガとは別行動になる。

「聖女様」

 ゼルーガから声を掛けられるのは珍しい。

「はい、どうしました? 」

「私も一緒に教育を受けてはいけませんか? 」

 突然のゼルーガの申し出に困惑する。
 一応、私の『教育』は王族の許可を得ての事なので、私の一存で許可することは出来ない。
 私の教育にも王族から給金が発生しているに違いない。
 それに、私が受けている内容はこの国の基本的なものなので貴族令嬢であれば必要ないだろう。

「私の一存では決めかねるので、相談してからでもよろしいでしょうか? 」

「はいっ」

 ゼルーガはとても嬉しそうにする。
 王宮で教育を受けることは貴族にとっては重要な意味を成すのかもしれない。
 王族の判断が下りるまでの時間、ゼルーガは王宮に来ては祈りの場の掃除の監視をし私を見送り午後大聖堂で合流する。
 そんな日が日常となりつつあったのだが、突然訪問者が現れた。

「……イニアス公爵令嬢、どうされたのですが? それにサラディーン侯爵令嬢に、エリクソン伯爵令嬢、ワーグナー伯爵令嬢まで……何かあったのですか? 」

 聖女補佐達が勢ぞろいしていた。

「補佐を続行したく参りました」
 
 イニアスが聖女補佐復帰を願うと三人の令嬢も頷く。

「私と前回の聖女の仕事内容はかなり異なりますが、それでも補佐を続けるのですか? 」

「はい。聖女様の補佐をさせていただきたく参りました」

 使用人を引き連れゼルーガ自身が掃除をしていない情報をどこからか入手したのか、聖女の仕事内容を話した翌日から訪れなかった四人が突然大聖堂に訪れる。

「そうですか……私が以前お話しした聖女の仕事を変更するつもりはありませんが、皆さんはよろしいでしょうか? 」

「はい」

 再度確認すると、復帰を願う四人は頷く。
 
「分かりました。私は教皇様に報告してから大聖堂に向かいますので、ゼルーガ侯爵令嬢の指示に従ってください。ゼルーガ侯爵令嬢、お願いできますか? 」

「……はい」

 私が振り向きゼルーガ侯爵令嬢にお願いすると、一瞬引き攣った表情を見せる。
 令嬢達と別れ私は再び教皇のいる部屋を目指す。
 私が来ることを予測していたのか、司祭は紅茶の準備をさせていた。
 そして会話の内容もゼルーガ侯爵令嬢が復帰した時と同じもので、令嬢達を受け入れる許可が下りる。
 この日から再び聖女補佐は五人となった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。 これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。 実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。 自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。

処理中です...