15 / 43
聖女時代
人の話は聞きましょう
しおりを挟む
司祭の部屋では。
「司祭様。なんでしょう?」
個人的に呼ばれたソミール。
「ソミール様、貴方にはこれから王族謁見の準備を優先してもらいます」
「準備とはなんですか?」
「王族への挨拶に粗相が無いよう、挨拶の礼儀を学んでもらいます」
「私、王様に失礼のないよう挨拶出来ますよ」
笑顔で答えるソミールに、司祭は不安を募らせる。
「……王族への挨拶には貴族の作法で出席していただきます」
「貴族の作法ですか? 私たちは聖女候補ですよ」
「王宮では王宮の作法があるので従ってください」
「私、貴族の作法なんて……」
「それを、これから学んでください」
「……王様にお会いするのっていつですか?」
「年が変わって、二週目です」
「来月ならこれからでも、余裕で間に合いますね!」
司祭が感じている不安など、ソミールには感じ取れていなかった。
「……間に合うよう学んでください。国王陛下にはあなたが平民であることも報告してあります。多少の無礼は許されますが、学ぶに越したことは無いでしょう」
「えっ、私が平民なの報告しちゃったんですか?」
「私には事実を報告する義務がありますから」
「はぁい」
口を尖らせ不満を表すソミール。
そんな表情に返事をする聖女候補はいない。
「返事は短く、決してそのような表情を王族の前でしないこと」
「王様の前ではちゃんと出来ますよ」
どこから来るのか分からない彼女の自信が、司祭の不安を増長させる。
「……ハァ……貴方には今日から礼儀作法の講師が付きます。先生に失礼のないように」
「はぃ」
「では、二階の部屋で待ちなさい」
ソミールは部屋を出て、礼儀作法の講師が待つとされる部屋へ向かう。
その途中、同じ聖女候補のラヴィニアが庭で誰かとお茶をしているのを発見。
「あの人誰だろう? 金色の髪……素敵。ラヴィちゃんと一緒にいるけど……んふっ」
講師の待つ部屋は二階だが、ソミールは庭に向かう。
「ラヴィちゃんお茶してるの? 私も一緒にいい? あら? あなたは初めましてですよね? 私はラヴィちゃんのお友達のソミールって言います」
「あぁ、貴方が噂のソミール嬢ですか」
「噂? ラヴィちゃん、私のことをなんて噂してたの? もう、恥ずかしいよ!」
「……ソミール様、今はちょっと……」
ラヴィニアは、ソミールの突然の参加に困惑の表情を見せる。
「あっ、私のことはソミールって呼んで。それで、貴方のお名前聞いてもいい?」
「あぁ、私はコルネリウス・リヴェラーニと申します」
「コルネリウスさんね! 私、最近聖女候補と発覚してまだ慣れていなくって……コルネ……リウスさんって、よく教会に来るの?」
「そうですね、月に何度か」
「わぁ、嬉しい。また私ともお茶会してくれますか?」
「ソミール様!」
あまりの失礼な態度に、ラヴィニアはソミールの名前を呼ぶ。
「あっ、その時はラヴィちゃんも誘うよ。もう、寂しがりやなんだからぁ。本当、ラヴィちゃんは私のことが大好きなんだね。んふふっ。可愛いなぁ」
「そうではなく、ソミール様はどうしてこちらにいらっしゃるんですか?」
「どうしてって、ラヴィちゃんがお茶しているのが見えて私もって思ったの。今日は天気いいもの、お茶会日和だね!」
「私は今、コルネリウス王子と聖女候補として対面しているんです。なので本日は……」
「コルネリウス王子? 貴方王子様なの!?」
「ソミール様、私の話を聞いてください」
「聖女候補としての対面なら私も聖女候補だもの、一緒にお茶した方がいいんじゃない? 皆に、『ラヴィちゃんだけ特別扱いだ』って責められちゃうよ。私がいたら、二人きりじゃないから安心だね」
「ソミール嬢」
「やだぁ、コルネリウスさん。私のことは、『ソミール』でいいですよ」
「貴方はこれから予定があるのではありませんか?」
「えっ? そうでしたっけ?」
「私は以前から、ラヴィニア嬢とのお茶会の約束をしていたんです。ソミール嬢とは、また日を改めてお話ししたいと思います」
「えっ! 私の為にコルネリウスさんが、わざわざお茶会をしてくれるんですか? その日が今から待ち遠しいです」
「えぇ。では、また今度」
笑顔で送り出すコルネリウス。
「はい、また今度。さぁ、ラヴィちゃんも行くよ!」
「……ソミール様?」
「もしかしてラヴィちゃんは、司祭様から聞いてない? これから礼儀作法の講義だよ。私、それを伝えに来てたの。ラヴィちゃん遅刻よ。講師の先生をこれ以上待たせるわけにはいかいから早く行こう! コルネリウスさん、また今度、『三人で』お茶しましょうね。さっ、行くよ! ラヴィちゃんは、私がいないとすぐ遅刻しちゃうんだからぁ」
「ソミール様、ちょっと……私はコルネリウス王子とこれから……ソミール様。私の話を聞いて、手を放してください」
「もう、礼儀作法の講義受けたくないからって、ワガママは良くないって何度も言っているでしょ。講義の先生には私も一緒に謝ってあげるから。もう、ラヴィちゃんは私がいないとすぐ休んじゃうんだからなぁ。そういうことなのでコルネリウスさん、私たちもう行きますね」
ソミールは嫌がるラヴィニアの腕を強引に引き、講義の先生が待つ二階の部屋へと向かう。
「先生お待たせしました。ラヴィちゃんが逃げるから、遅刻しちゃいましたぁ」
「……ジラルディ令嬢? ソミールさん、どうしてジラルディ令嬢が一緒なんです?」
「どうしてって、王様へ挨拶する為の作法を学ぶんですよね?」
「そうですよ」
「なので、ラヴィちゃんも呼びました。王様に会うのは聖女候補全員と聞きましたから」
「貴方の言う通り、国王陛下への謁見は聖女候補全員とです。ですが、今回はソミールさんを紹介する為の謁見です」
「私だけ?」
「はい」
「私だけ特別に王様から呼ばれたんですか?」
「……違います。ジラルディ令嬢は既に聖女候補となった十歳の時に国王陛下への挨拶を終えております」
「終えてる?」
「はい。それに、ジラルディ令嬢は礼儀作法を既に習得済みですので、私の講義は必要ありません」
「そうなんですか? ラヴィちゃんも言ってくれたらよかったのに……」
「ソミール様が強引に……」
「もしかして私が心配で、ついてきてくれたの? 嬉しい。先生、ラヴィちゃんが見学してもいいですか?」
「……いいえ。基礎から学ぶんですから、誰かがいると集中力が欠けます。私と貴方の二人だけで行います」
ソミールの提案をきっぱりと断る教師。
「そんな、寂しいです。私ラヴィちゃんいないと不安で集中できません」
「国王への挨拶で注目されるのは貴方なんですよ」
「最初だけ、今日だけでも一緒はいけませんか?」
必死にラヴィニアの見学を頼み込むソミール。
「ジラルディ令嬢の迷惑になりますので、許可できません」
「ラヴィちゃんと私は友人なんです。迷惑なんてこと思うはずあるわけないじゃないですか。それってラヴィちゃんに失礼ですよ、先生。ラヴィちゃんに謝ってください。私の大切なラヴィちゃんを侮辱するなんて……」
「……ソミール様、私は先生に侮辱などされておりません。ですので、先生が私に謝罪する必要はありません」
「もうっ! ラヴィちゃんは優しすぎるよ」
「……ジラルディ令嬢。ソミール様は同席を願っておりますが、いかがですか?」
「私はお断りいたします」
「ラヴィちゃん、先生も許可してくれているから今日だけ一緒にいてくれないかな? お願い……十分だけでいいの、お願いラヴィちゃん」
「……ハァ……ジラルディ令嬢。このままでは講義が一向に始められませんので、私からも十分だけお付き合い願えますか?」
「……分かりました。ですが、本当に十分ですよ」
「やったぁ、ありがとうっ。ラヴィちゃん、大好き」
友人のラヴィニアが同席してくれることに喜び、ソミールはラヴィニアに抱き着く。
「止めてください」
「本当は嬉しいくせに、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ」
約束通りラヴィニアはソミールの講義に付き合い、十分経過し退出しようとする。
「ラヴィちゃん、今のどうだった?」
「もう一回するから、よく見てて」
「上手くできたと思うんだけど、ラヴィちゃんどうかな?」
ソミールは何度もヴィニアに確認を求めるので、結局ラヴィニアが退出できたのは一時間後。
急いでコルネリウスを探すも既に馬車もなく、婚約者候補としてのお茶会は終わっていた。
聖女候補は全員コルネリウスの婚約者候補でもあった。
なので、コルネリウスと対面している間、他の候補者は邪魔はしないというのが暗黙の了解。
候補者たちは理解していても、最近聖女候補となり貴族でもないソミールには全くわからないことだった。
「何なのよ、あの女!」
この一件は他の聖女候補に伝わり、ラヴィニアはソミールを徹底的に避けるようになった。
「今後、私にあの平民を近づけさせないでください」
今まであからさまな平民蔑視をしなかったラヴィニアの『平民を近づけさせないで』宣言は聖女候補たちには強烈な出来事だった。
ラヴィニアが大々的に宣言した為、掃除や祈りの整列と些細なことまで周囲は気を配るようになった。
「司祭様。なんでしょう?」
個人的に呼ばれたソミール。
「ソミール様、貴方にはこれから王族謁見の準備を優先してもらいます」
「準備とはなんですか?」
「王族への挨拶に粗相が無いよう、挨拶の礼儀を学んでもらいます」
「私、王様に失礼のないよう挨拶出来ますよ」
笑顔で答えるソミールに、司祭は不安を募らせる。
「……王族への挨拶には貴族の作法で出席していただきます」
「貴族の作法ですか? 私たちは聖女候補ですよ」
「王宮では王宮の作法があるので従ってください」
「私、貴族の作法なんて……」
「それを、これから学んでください」
「……王様にお会いするのっていつですか?」
「年が変わって、二週目です」
「来月ならこれからでも、余裕で間に合いますね!」
司祭が感じている不安など、ソミールには感じ取れていなかった。
「……間に合うよう学んでください。国王陛下にはあなたが平民であることも報告してあります。多少の無礼は許されますが、学ぶに越したことは無いでしょう」
「えっ、私が平民なの報告しちゃったんですか?」
「私には事実を報告する義務がありますから」
「はぁい」
口を尖らせ不満を表すソミール。
そんな表情に返事をする聖女候補はいない。
「返事は短く、決してそのような表情を王族の前でしないこと」
「王様の前ではちゃんと出来ますよ」
どこから来るのか分からない彼女の自信が、司祭の不安を増長させる。
「……ハァ……貴方には今日から礼儀作法の講師が付きます。先生に失礼のないように」
「はぃ」
「では、二階の部屋で待ちなさい」
ソミールは部屋を出て、礼儀作法の講師が待つとされる部屋へ向かう。
その途中、同じ聖女候補のラヴィニアが庭で誰かとお茶をしているのを発見。
「あの人誰だろう? 金色の髪……素敵。ラヴィちゃんと一緒にいるけど……んふっ」
講師の待つ部屋は二階だが、ソミールは庭に向かう。
「ラヴィちゃんお茶してるの? 私も一緒にいい? あら? あなたは初めましてですよね? 私はラヴィちゃんのお友達のソミールって言います」
「あぁ、貴方が噂のソミール嬢ですか」
「噂? ラヴィちゃん、私のことをなんて噂してたの? もう、恥ずかしいよ!」
「……ソミール様、今はちょっと……」
ラヴィニアは、ソミールの突然の参加に困惑の表情を見せる。
「あっ、私のことはソミールって呼んで。それで、貴方のお名前聞いてもいい?」
「あぁ、私はコルネリウス・リヴェラーニと申します」
「コルネリウスさんね! 私、最近聖女候補と発覚してまだ慣れていなくって……コルネ……リウスさんって、よく教会に来るの?」
「そうですね、月に何度か」
「わぁ、嬉しい。また私ともお茶会してくれますか?」
「ソミール様!」
あまりの失礼な態度に、ラヴィニアはソミールの名前を呼ぶ。
「あっ、その時はラヴィちゃんも誘うよ。もう、寂しがりやなんだからぁ。本当、ラヴィちゃんは私のことが大好きなんだね。んふふっ。可愛いなぁ」
「そうではなく、ソミール様はどうしてこちらにいらっしゃるんですか?」
「どうしてって、ラヴィちゃんがお茶しているのが見えて私もって思ったの。今日は天気いいもの、お茶会日和だね!」
「私は今、コルネリウス王子と聖女候補として対面しているんです。なので本日は……」
「コルネリウス王子? 貴方王子様なの!?」
「ソミール様、私の話を聞いてください」
「聖女候補としての対面なら私も聖女候補だもの、一緒にお茶した方がいいんじゃない? 皆に、『ラヴィちゃんだけ特別扱いだ』って責められちゃうよ。私がいたら、二人きりじゃないから安心だね」
「ソミール嬢」
「やだぁ、コルネリウスさん。私のことは、『ソミール』でいいですよ」
「貴方はこれから予定があるのではありませんか?」
「えっ? そうでしたっけ?」
「私は以前から、ラヴィニア嬢とのお茶会の約束をしていたんです。ソミール嬢とは、また日を改めてお話ししたいと思います」
「えっ! 私の為にコルネリウスさんが、わざわざお茶会をしてくれるんですか? その日が今から待ち遠しいです」
「えぇ。では、また今度」
笑顔で送り出すコルネリウス。
「はい、また今度。さぁ、ラヴィちゃんも行くよ!」
「……ソミール様?」
「もしかしてラヴィちゃんは、司祭様から聞いてない? これから礼儀作法の講義だよ。私、それを伝えに来てたの。ラヴィちゃん遅刻よ。講師の先生をこれ以上待たせるわけにはいかいから早く行こう! コルネリウスさん、また今度、『三人で』お茶しましょうね。さっ、行くよ! ラヴィちゃんは、私がいないとすぐ遅刻しちゃうんだからぁ」
「ソミール様、ちょっと……私はコルネリウス王子とこれから……ソミール様。私の話を聞いて、手を放してください」
「もう、礼儀作法の講義受けたくないからって、ワガママは良くないって何度も言っているでしょ。講義の先生には私も一緒に謝ってあげるから。もう、ラヴィちゃんは私がいないとすぐ休んじゃうんだからなぁ。そういうことなのでコルネリウスさん、私たちもう行きますね」
ソミールは嫌がるラヴィニアの腕を強引に引き、講義の先生が待つ二階の部屋へと向かう。
「先生お待たせしました。ラヴィちゃんが逃げるから、遅刻しちゃいましたぁ」
「……ジラルディ令嬢? ソミールさん、どうしてジラルディ令嬢が一緒なんです?」
「どうしてって、王様へ挨拶する為の作法を学ぶんですよね?」
「そうですよ」
「なので、ラヴィちゃんも呼びました。王様に会うのは聖女候補全員と聞きましたから」
「貴方の言う通り、国王陛下への謁見は聖女候補全員とです。ですが、今回はソミールさんを紹介する為の謁見です」
「私だけ?」
「はい」
「私だけ特別に王様から呼ばれたんですか?」
「……違います。ジラルディ令嬢は既に聖女候補となった十歳の時に国王陛下への挨拶を終えております」
「終えてる?」
「はい。それに、ジラルディ令嬢は礼儀作法を既に習得済みですので、私の講義は必要ありません」
「そうなんですか? ラヴィちゃんも言ってくれたらよかったのに……」
「ソミール様が強引に……」
「もしかして私が心配で、ついてきてくれたの? 嬉しい。先生、ラヴィちゃんが見学してもいいですか?」
「……いいえ。基礎から学ぶんですから、誰かがいると集中力が欠けます。私と貴方の二人だけで行います」
ソミールの提案をきっぱりと断る教師。
「そんな、寂しいです。私ラヴィちゃんいないと不安で集中できません」
「国王への挨拶で注目されるのは貴方なんですよ」
「最初だけ、今日だけでも一緒はいけませんか?」
必死にラヴィニアの見学を頼み込むソミール。
「ジラルディ令嬢の迷惑になりますので、許可できません」
「ラヴィちゃんと私は友人なんです。迷惑なんてこと思うはずあるわけないじゃないですか。それってラヴィちゃんに失礼ですよ、先生。ラヴィちゃんに謝ってください。私の大切なラヴィちゃんを侮辱するなんて……」
「……ソミール様、私は先生に侮辱などされておりません。ですので、先生が私に謝罪する必要はありません」
「もうっ! ラヴィちゃんは優しすぎるよ」
「……ジラルディ令嬢。ソミール様は同席を願っておりますが、いかがですか?」
「私はお断りいたします」
「ラヴィちゃん、先生も許可してくれているから今日だけ一緒にいてくれないかな? お願い……十分だけでいいの、お願いラヴィちゃん」
「……ハァ……ジラルディ令嬢。このままでは講義が一向に始められませんので、私からも十分だけお付き合い願えますか?」
「……分かりました。ですが、本当に十分ですよ」
「やったぁ、ありがとうっ。ラヴィちゃん、大好き」
友人のラヴィニアが同席してくれることに喜び、ソミールはラヴィニアに抱き着く。
「止めてください」
「本当は嬉しいくせに、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ」
約束通りラヴィニアはソミールの講義に付き合い、十分経過し退出しようとする。
「ラヴィちゃん、今のどうだった?」
「もう一回するから、よく見てて」
「上手くできたと思うんだけど、ラヴィちゃんどうかな?」
ソミールは何度もヴィニアに確認を求めるので、結局ラヴィニアが退出できたのは一時間後。
急いでコルネリウスを探すも既に馬車もなく、婚約者候補としてのお茶会は終わっていた。
聖女候補は全員コルネリウスの婚約者候補でもあった。
なので、コルネリウスと対面している間、他の候補者は邪魔はしないというのが暗黙の了解。
候補者たちは理解していても、最近聖女候補となり貴族でもないソミールには全くわからないことだった。
「何なのよ、あの女!」
この一件は他の聖女候補に伝わり、ラヴィニアはソミールを徹底的に避けるようになった。
「今後、私にあの平民を近づけさせないでください」
今まであからさまな平民蔑視をしなかったラヴィニアの『平民を近づけさせないで』宣言は聖女候補たちには強烈な出来事だった。
ラヴィニアが大々的に宣言した為、掃除や祈りの整列と些細なことまで周囲は気を配るようになった。
94
あなたにおすすめの小説
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
さようなら、私の初恋
しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」
物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。
だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。
「あんな女、落とすまでのゲームだよ」
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる