王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

聖女同士の会話

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 互いに距離を置いていた聖女候補だったが、最近では互いの情報交換をするようになった。

「あの方の都合のいい時に、コルネリウス王子は現れますね」

 コルネリウスはいつもソミールにとってタイミングよく現れる。
 講義を遅刻・欠席し掃除も他人任せ。
 それなのにコルネリウスが登場するの時の彼女は献身的な瞬間。
 これが、神に愛された人間の特権なのだろうか?
 
「いつコルネリウス王子がいらっしゃるのか分かっているようですわね」

「私たち候補者との対面と言いながら、隠れてお会いしていますものね……あの二人」

「最近では、隠れもしませんけどね……」

「聖女の能力が高いのは認めますが、あの方がコルネリウス様の婚約者に指名されたりはしませんわよね?」

「聖女に任命されれば、婚約者の話もあるとは思いますが……」

「最低限の礼儀作法もまともに出来ない方が次期王妃だなんて……聖女となり業務を熟しながら、王妃教育となると……何年掛かることか……」

「そっ、そうですわよね……」

「あの……私最近ある噂を耳にしました。とある侯爵があの方を養女として支援を申し込んだとか……」

「養女……それは、何かの聞き間違いではありませんか?」

「私もそう思ったのですが、申し出たのはイリノエ侯爵だとか……」

「イリノエ……侯爵……」

「これでは、本当に聖女兼王妃があの方になる可能性が……?」

「私たちの誰かではなく……あの方……」

「そうなれば、私たちはあの方の補佐・世話係をすることに……あんな方のために私は学んできたのではないのに……」

 聖女候補は表面上ソミールに対して配慮ある対応をしているが、内心は同じ聖女候補として受け入れていない。
 不真面目にも拘らず彼女の能力が高いことに不満を覚えつつ、我慢している。
 だが、コルネリウスとの約束日の遅刻の理由が、彼女とのお喋りということに我慢の限界になり始めている。
 何度注意しても改めない態度。
 愛称についても、変える素振りがない。
 これだけ、注意・忠告しても、彼女は「身分を持ち出すのは良くない」という言葉で自分は正しいと言い張る。
 
「最近では、あの方の声を聞くと頭痛がします」

 日に日に彼女の立場は悪くなっていく。
 それなのに、当の本人は「仲良くしよう」と言って、追いかけてくる。
 コルネリウスと親密で「聖女候補は皆、平等」という言葉を使用するので不満を言えない状況に、体調を崩す候補者も現れる始末。
 それでも耐えて来れたのは、聖女候補期間が終われば平民とは今後一切関わることがなくなる。
 聖女候補である貴族令嬢の誰かが、聖女兼王妃になると信じていたから。
 ここにきて、ソミールが誰かの後ろ盾を得て貴族となり、聖女候補兼王子の婚約者候補となるなんて考えもしなかった。
 今の聖女候補の中に、公爵令嬢や侯爵令嬢がいる。
 そんな人たちと対立してまで、婚約者候補を得ようとする貴族がいるとはいないと思い込んでいた。
 名乗り出たのは、イリノエ侯爵……
 
「……私たちはもう一度、今後について改めて考え直した方が良いかもしれませんね」

 聖女候補たちは決意する。
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