王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

パーティー後編

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「フローレンス嬢、本日はパーティーに参加していただきありがとうございます」

「……こちらこそ、招待ありがとうございます」

 振り向けばベネデッタの婚約者、オリバーの姿。
 どちらから婚約を申し込んだのか。
 彼を見ると哀れに思え、同情してしまう

「そんなに見つめられると、照れますね」

「……失礼しました」

 今後大変なんだろうなぁと思っていたので、不快に思われたのかもしれない。

「私の婚約者と親しいと聞いておりますが……」

「……聖女候補同士、共に学んでおりました」

「そうなのですね。フローレンス令嬢は私を覚えていらっしゃいますか?」

 彼とは初対面のはず。
 どこかで会ったのだろうか?
 それより、公爵令嬢の私をなぜ許可なく名前で呼ぶ?
 ベネデッタに影響を受けたのだろうか?

「……どこかでお会いしましたでしょうか?」

「それは残念ですね。私はフローレンス様に何度か婚約の申し込みをしたのですが……」

 婚約?
 そんな話は聞いていない。

「そうなのですか? 知りませんでした」

「何かの手違いで令嬢には届いていなかったようですね」

「……そうみたいですね」

「フローレンス令嬢は婚約者は決まっているのでしょうか?」

「はい、まだです」

「では今から私が婚約を申し込んだら、フローレンス令嬢の婚約者の可能性もありますか?」

 ……この人は、何を言っているの?
 私に婚約を申し込む?
 今日は、あなたとベネデッタの婚約パーティーですよね?

「……子爵様は何を仰っているんですか? 本日はパラッチィ令嬢とクロフォード子爵の婚約パーティーですよ? その冗談は祝い事にはそぐわないので、おやめになった方がよろしいかと」

「私は本気です。諦めておりましたが、先ほどの熱い視線。フローレンス嬢も私と同じ気持ちなのではありませんか? すれ違ってしまいましたが、私の婚約を受けていただけますか? 今日の婚約は内定であって、正式なものではありません。ベネデッタも私たちの真剣さを知れば、身を引いてくれます。どうか、私の婚約を受けてください」

「……誤解があるようですが、熱い視線は目の不調によるものです。令息からの婚約……お断りさせていただきます。今回の件は酔った勢いということでパラッチィ令嬢にはお伝えいたしませんが、今後このようなことは迷惑です。それと私のことは、バルツァル令嬢とお呼びください。パーティーの途中ですが、気分が優れないので本日はこれで失礼させていただきます。お二人の婚約、心からお祝い申し上げます」

 パーティーの途中ではあったが、退出した。
 参加する前から乗り気ではなかったパーティーだが、参加するとそれを上回る不愉快な気分に陥った。
 その後、聖女候補同士で囁かれ始める。

「オリバー・クロフォードには気を付けて」

 あの日、オリバーは私だけでなく婚約者未定の聖女候補全員に婚約を申し込んでいた。

「自身の婚約パーティーで他の令嬢に婚約を申し込むなんて、呆れますわ」
 
「パラッチィ令嬢には迷惑を掛けられ、クロフォード子爵にも不快な思いをさせられました」

「存外、あの二人はお似合いかもしれませんね」

 だが、パーティー後には、ベネデッタからのお茶会の招待状が頻繁に届く。
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