安全第一異世界生活

文字の大きさ
67 / 244
旅と出会いと冒険と

66話 オレンジ色の気持ちと宰相の心の日記

しおりを挟む
オレンジ色の塊は庭でぽかぽかと日向ぼっこをしていた
甘いにおいを漂わせるオレンジ色は先ほどから数匹の妖精に囲まれている

『甘い』『花の蜜の様な匂い』『かぐわしぃ』

オレンジ色はそんな声を聴きながら陽の光に身体が解ける気持ちでいた。そこに「ガサ」っと音がしたかと思ったら、空に広がる青い色のぽよーんっとした球が現れてオレンジ色はハッとした。この青は自分を救ってくれる存在だと。

オレンジ色は青いたまに向かって正座して自分を指さし青い球を指した
青い球はぽよーんっと揺れて横に一回転がった。オレンジ色はもう一度自分を指して青い球を指した。青い球はじっとしてそして縦に数回頷いたかと思うとオレンジ色を取り込んだ。オレンジ色は取り込まれた瞬間あぁこれで救われるのだと思い意識を奥に奥に沈み込ませた。

心地良い水が降る。ありもしない葉の感触がするオレンジ色は意識が浮上するのを感じて不思議に思った。「ガサ」音がした。浮上した意識でようやく視認できた目の前には、あの青い球と、黒髪の小さな人間

「うはは~~♪うは~♫」

「良かったね。あの状態から戻せるとは思わなかったけど、良かった。トーさんの肥料とポーションと癒泉の水で何とかなった」

青い球は小さい人間の横をポンポン飛んでは「うは~」っと言っている。言葉は理解できない。でも水も心地いいし、太陽の光も気持ちいい。人間の声も気持ちいい。葉っぱがより一層広がる心地。気持ちいい。
風が吹く。葉が揺れる音…揺れた、音が鳴った。嬉しい嬉しい

『”人間お食べ。きっと自分は甘いはず。栄養満点だ。さあ収穫して食べて!”

あのオレンジ色そう言ってるよ』

『『『言ってる~』』』

「へぇ……食べられたいんだ…野菜だから?不思議な子だな~」

私が感心していると、妖精さんが

『食べる?伝えようか?』

「もう少し大きくなったらって伝えて」

私は立ち上がって伸びをした。あのクリーチャーをウハハが捕まえてきた時はびっくりしたけど、再生して良かった。グラッセに一度した子だから、甘いニンジンさんになってくれたら、良いなぁ~。

温かいこの空間はとっても居心地がいい。外は雪が降っているみたいだけど。このスノードームみたいな空間の外側は雪がびっしり積もっては落ちてを繰り返している。
雪が止むと狼さんとトーさんが雪の片付けもしてる。師弟関係仲良いなぁ~。


◆◇◆


オーラシアン王国 王都王城にて

「なぜあの馬がまだ見つからないんだ!当初の数倍の人数は出しているはずだ!この国の騎士は馬一頭も見つけ出せない無能ばかりか!」

男は大声を上げ肩で息を切らせて椅子に座り込んだ。座り込んだのちも、報告に来た者を睨んでいる

「隣国のあのバカ王に見せつけてやろうと準備していたのに、逃げ出すなど許さん!!許さんぞ!!」

玉座でふんぞり返り怒鳴り散らすこの男こそがこのオーラシアン国の王。
ロナウジール・ド・オーラシアン

もう皆お気づきであろう、愚王なのだ。そして、今王家で唯一常識があり優秀なのは、第三王子だけだが、彼は側妃の子。しかも側妃は辺境伯の出。後ろ盾が弱い上、優秀さを疎んじられ、常に兄王子から刺客を放たれている状態だ。まだ第一王子が立太子していないだけマシである。問題だらけのこの国を必死に動かしているのは宰相の私。いつも胃痛と、頭痛に悩まされながら居る。

「一度目撃情報は出たのです。ですがその後ぱたりと情報が途切れてしまい、捜索の者には今一度範囲を広げ至急探すように伝えます」

「それと、教会と孤児院に関わったとされる少女の行方はどうなった?」

「冒険者の養父と共に旅に出て、まだ辺境には帰ってきては居りませんが、その家と土地は養父名義の物ですし、ギルドにも帰ってくる旨伝えて出かけておりますのでお待ちいただければ」

「また時間をかけるのか、どいつもこいつも無能めが」

王は

「さっさとどちらも対処せよ」

そういって大きな足音をならしながらその場を去っていく王。威厳の欠片もない...姿が見えなくなってようやく息を吐いた。
宰相は頭がいたい。
もうあの王の尻拭いをして来て何年になる。聖女さまの時も無理なことばかり言うので王都の結界が消えたことがある。あの王にしては対処の早いことですぐに対応したが、いつもトラブルばかりだ。

聖女様に対して王家からの申し込みは一切禁止と聖国から通達が出るほどだ。
王家と違い聖女は人気者だ。召喚されすぐに王城から逃げ出し、各地を転々としながら浄化と結界で町や村を救い、聖国で力を学び結界を強固に張り、人々を守っている。なんとも献身的で慈悲深い人だ。
しかも、秘密裏に人を癒しているという。それは貧民街の孤児から公爵家の子息まで、幅広い。私も数年前に胃に穴が開き血を吐いた後に助けられたのだ。

最近も聖女が貴族の不正を暴き、さらに国民からの支持を得ている
聖女様もういっそこの国の王様になって欲しいって切実に思う。

宰相アルドール・ケリィーズィット 心の日記である
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』

鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」 幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された 公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。 その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、 彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。 目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。 だが、中身は何ひとつ変わっていない。 にもかかわらず、 かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、 「やり直したい」とすり寄ってくる。 「見かけが変わっても、中身は同じです。 それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」 静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。 やがて彼女に興味を示したのは、 隣国ノルディアの王太子エドワルド。 彼が見ていたのは、美貌ではなく―― 対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。 これは、 外見で価値を決められた令嬢が、 「選ばれる人生」をやめ、 自分の意思で未来を選び直す物語。 静かなざまぁと、 対等な関係から始まる大人の恋。 そして―― 自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。 ---

勇者召喚に失敗したと捨てられましたが、魔王の家政婦になりました。

藤 ゆみ子
ファンタジー
家政婦として働いていた百合はある日、会社の倒産により仕事を失った。 気が沈んだまま家に帰り、おばあちゃんの仏壇に手を合わせていると突然知らない場所にいた。 訳がわからないまま、目の前にいる神官に勇者の召喚に失敗したと魔王の棲む森へと捨てられてしまう。 そして魔物に襲われかけたとき、小汚い男性に助けられた。けれどその男性が魔王だった。 魔王は百合を敵だと認識し、拘束して魔王城へと連れていく。 連れて行かれた魔王城はボロボロで出されたご飯も不味く魔王の生活はひどいありさまだった。 それから百合は美味しいご飯を作り、城を綺麗にし、魔王と生活を共にすることに。 一方、神官たちは本物の勇者を召喚できずに焦っていた。それもそう、百合が勇者だったのだから。 本人も気づかないうちに勇者としての力を使い、魔王を、世界を、変えていく。

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、 優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、 俺は必死に、置いていかれないようについていった。 自分には何もできないと思っていた。 それでも、少しでも役に立ちたくて、 誰にも迷惑をかけないようにと、 夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。 仲間を護れるなら… そう思って使った支援魔法や探知魔法も、 気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。 だけどある日、告げられた。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、優しさからの判断だった。 俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。 こうして俺は、静かにパーティを離れた。 これからは一人で、穏やかに生きていこう。 そう思っていたし、そのはずだった。 …だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、 また少し、世界が騒がしくなってきたようです。 ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

処理中です...