安全第一異世界生活

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イルグリット王国 魔道具編

137話 トーさんのお仕置きと侵入者の正体

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名前:桃李 司
年齢:14歳
種族:人族
職業:フリムスト所属:召喚勇者(仮)
レベル:45
称号:殺人鬼
異世界召喚前に2人の人間を殺害。召喚後、勇者の肩書を手に入れ奴隷、平民、商人、多種族を次々に殺してきた。殺害人数19人
状態:強制昏睡状態

「うん。前の世界に居た頃にも人を殺してる…… やっぱ危ない奴だったか。」

私の足元に寝ている少年が居る。たまに身体がピックとゆれるが、それ以外は寝ているだけ…。鑑定のモノクル装着中のトーさんが私の隣に立ち私の頭に手を置いて

「大丈夫か?」

心配げに見てくるが、私はトーさんを見上げ笑顔だ

「問題ないよ」

そう答え、少年の後方に縛り上げられた男女を見やり、指をさす。

「後ろの二人は、ゴンさんと、ギリルさん。元イルグリット王国の魔道具技師。現在はフリムスト所属、公国魔道具技師の二人だよ。役職は無し。ギリルさんが珍しい時戻しの使い手。」

「なっ!!小娘!!!貴様なぜそれを知っている!!」

私の言葉に激昂するギリルさんに、トーさんが思い出したかのように言葉を添える

「あ…さっきの欠損回復は時を戻したのか…面白い。」

「時戻し……」そう小声で呟いたシンさんは、少し離れたところで3人を見ていた。灰髪のギリルさんは、奥歯を強く噛み締め、私たちを射殺さんばかりの形相で睨み据えてきている。 

「そこのクソガキは生きてるんだろうな」

「あぁ、悪夢でお仕置きしてるだけだぞ。こいつは質が悪いからな。」

捕まって初めて、大柄なゴンさんと呼ばれた男の人が声を出した。

「……お仕置き?」

「あぁ、自分が殺した相手と同じ状況で同じように殺されるのを殺した人数分、夢の中で体験させている。」

「あぁ…」
「こりゃぁ、お仕置きが終わったら廃人だな」

ゴンさんはあきらめの顔をして、ギリルさんは匙を投げるような発言だ。彼を見ていた人がこの反応だ碌な事をしてなかったのは明白だね…

「廃人で済めばいいけど。ククク」

そう言ったトーさんは口角を上げて楽し気に言った。煽ってる…煽ってるよ…私はトーさんを見ながら考えて言葉を出す

「おじさんと、おばさんは隣の国の人でしょ?なんで国の管理課にある下水道に入ってきたの?悪い事だよね?」

ギリルさんは私を睨み吐き捨てて言った

「私らはもともとこの国の人間だ!糞王族に魔石欲しさに騙されフリムストに売られたんだよ!!悪い事だと言うなら!王族こそ悪だろーが!!」

「売ってないニャ!!再三に亘りフリムストに返還要求したニャ!!」

離れて岩に座っていたシンさんが立ち上がって叫んだ!!

「「は?」」 

縛られている二人は肩をいからせながら近づいてくるシンさんを凝視している。

「手紙を何度も書いたし!!安否を確認したニャ!!」 

「爺だって何とか帰って来てもらおうと王家に何度も抗議をしたにゃ!!」

「フリムストの使者との謁見に立ち会わせてもらったニャ。でもフリムストは全員死んだ!の、一点張りだったんだニャ!!」

二人は、目を見開きゴンさんが恐る恐る言葉を紡ぐ。

「俺の嫁は、俺を売った金で、違う男と結婚したと…」

そう言うと悔しそうに唇をかみ下を向いた。シンさんがそんなゴンさんの前に立つと質問した。 

「おじさんのお嫁さんて誰ニャ?」

「魔道具工房ジェニストのジェニーだが…工房ももうないだろ…」

「ジェニーおばさんの旦那さんニャ?親子で元気だニャ。おばさん怒ると超怖いけどニャ。職人達と元気に工房でお仕事してるニャ」

シンさんは知り合いの旦那さんが戻ってきて嬉しいのかニコニコと笑顔で返事をすると、ゴンさんはブルブル震えて

「子供ってなんだ!!誰との子供だ!!やっぱり俺を売ったんだろ!!」

ゴンさんの言葉に、シンさんは目が据わっていつもより低い声で言った

「おじさんがフリムストに行ってから妊娠が分かって出産した子だニャ。ジェニーおばさんは女手一つで、息子のルクスを大切に育てているニャ。15歳ニャ。わかる? おばさんは良く怒るけど、旦那の分までルクスを立派に育てないとって口癖なのニャ」

ゴンさんは涙目になりながら

「ジェニーが………そんな…俺たちは…ずっとずっと…売られたと…もう帰れないと…」

そんなゴンさんを一瞥してギリルさんは縛られたまま胡坐をかいて上を見上げた。見上げた天井は石のレンガを整え作られた空間。それを一瞥して…ボソりと呟く

「ありえなねーなぁ…十六年…騙されていたとかありえねーなぁ。ちょっとそこのあんた!ガンゾウ工房はまだあるのか?」

上を向いていた視線をシンさんに向けて聞いたきた。その言葉を聞いたシンさんは目を見開いた後…手をぎゅっと握って、目線を下げて頷く。

「そこに子供は居ないか?女の子だ!ゴンの所とそう変わらない…いや一つ年上か?…」

思い出しながらか、ギリルさんは上空を見たり右を見たりと、視線を彷徨わせながら聞いてくる。それに対してシンさんは無言で足元に目線を落としている…

シンさん?

何の返答もしないシンさんにしびれを切らしたのか、少し声を荒げ、

「なあ、ゴンの所が分かるならガンゾウ工房もあんた知ってるんだろう?」

その声に俯いていた顔を上げシンさんはギリルさんを見やって、小さな声で言った。

「名前を…言ってくださいニャ…」

「…名前?いや…名前が決まる前に派遣されたから…名前は判らない」

困ったように眉を顰め答えると、シンさんは睨みつけるような、怒気を帯びた視線をギリルさんに向け、いつもより低い声で問う。

「子供に名前も付けずに、派遣メンバーに入ったって事ですニャ…」

「なんだ…なぜ責められる?意味が解らないんだが?」

先ほどよりも眉間の皺が濃くなったギリルさんが訝しむようにシンさんと目線を合わした直後、シンさんの強く握っていた掌が震え、ギリルさんを睨む瞳には涙の膜が張っていった。そうして爆発したように、叫んだ!

「爺も婆も出産直後だから派遣メンバーから外してもらったと言ってたニャ!!なのに産まれて間もない我が子を放置して、あんたはその中に入ったって聞いたニャ。自分の子に名前も付けずにニャ!!」

シンさんのその言葉を、理解したのかギリルさんは、目を大きく見開いてシンさんの方に身体を向けて

「……あんた…まさか……」

期待に満ちた視線を受け、シンさんは先ほどのギリルさんと同じように眉間に皺をよせ

「アタシの親は死んだニャ!16年前にアタシを捨てて死んだニャ!!」

シンさんはそう言い捨てて身をひるがえし下水道の反対側の道に駆け出した。
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