精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

文字の大きさ
9 / 79
第1章 精霊と共に追放された元聖女

第7話 シャルロット様

しおりを挟む
 クロードさんに詳しい話を聞くと、どうやら二人の住むエスドレア王国には、ドワーフ族という鉱山に住む種族が多く居るらしい。
 以前はドワーフ族が掘り出した力の石を適正価格で買い取り、ドワーフ族も文句なんて無かったそうなんだけど、今は石の力を鑑定出来る人が一人しか居ないそうだ。

「その人物が信頼出来る人なら良かったのですが、ちょっと色々と問題のある人でして……」
「そうなんですか?」
「はい。大半の石を、精霊の力だが宿った物ではなく、ただの綺麗な石だとして安く買い叩いておりまして」
「あー、それでドワーフ族が怒っていると?」
「そういう事です。リディア様には、是非シャルロット様仕えの鑑定士として、石を見ていただけないかと」

 えっと、つまり貴族令嬢であるシャルロットちゃんのお家で働くって事かな?
 別に目的がある訳ではなくて、とりあえずエミリーに教えてもらった商売に向いているという西の国へ行こう……っていうくらいだから、まぁその目的地が変わるくらいなので、別に行くのは問題ない。
 だけど、せっかくなので、聖女みたいな扱いではなくて、普通の女の子みたいな暮らしがしてみたいんだけど、ダメだろうか。

「あの、困っているみたいですし、行くのは構わないのですが、鑑定以外にも何かお仕事があったりするんですか?」
「いえ、特にはありませんよ。お住まいや食事は、用意されるはずですので、普段はお好きな事――例えば、そのアクセサリーを作って、売ったりするのも良いかと」
「本当ですかっ!? それは凄く助かります!」
「おぉっ! 来ていただけるのですね!? リディア様が来ていただけるのであれば、これは王もさぞかしお喜びになる事でしょう!」

 シャルロットちゃんからも改めてお願いされ、一先ず街へと戻り、エスドレア王国行きの馬車を調達する事になった。
 ちなみに、昨晩二人が野盗に襲われたのは、事情があって人目に付かない内に国へ帰りたかったからだとか。
 この辺りに野盗が出る事を知らず(私も知らなかったけど)、護衛も雇っていなかった為に、逃げる羽目になってしまったそうだ。

「ですが、昨晩とは事情が一変いたしました。今日は護衛をしっかりつけ、明るい内に移動いたしましょう」
「あの、事情が変わったって、昨日から今日にかけて何かあったんですか?」
「えぇ、凄い事がありました。リディア様という素晴らしい魔道士に会えた事です」
「え? 私、そんなに大した事は……」
「こちらの魔導具が我が国よりも進んでいる。確かにそれだけの事なのかもしれませんが、それでも我々が昨日一日掛けて出来なかった事をリディア様がやってくれた。これが我々にとっての事実なのですよ」

 何だろう。ものすごく持ち上げられているけど、本当に何もしていないよ?
 ディーネちゃんの力で怪我を治したくらいなんだけどな。

「では、昨晩の事や、我が国の詳しい事については馬車の中でお話いたしますね。一先ず今は、優れた馬車と信頼出来る護衛を探しましょう」

 一先ず馬車は御者付きでレンタル……と思ったら、お買い上げ!?
 流石に御者は購入ではないけれど、クロードさんが十人くらい乗れそうな大きな馬車と馬を購入していた。
 それから冒険者ギルドへ行き、Aランクの冒険者パーティを護衛として雇った……って、Aランクの冒険者をパーティ丸ごと!? 詳しい事は知らないけれど、それって凄く高いんじゃないのかな!?
 Aランク冒険者は、一人雇うだけでも、一日に金貨数枚が要るとか要らないとかって話を聞いたんだけど。

「では、エスドレア王国へ向けて出発いたしましょう」

 ここからエスドレア王国までは、何も起こらなければ、夜には到着出来るそうだ。
 御者のオジサンが二頭の馬を歩かせ、私たちが乗る馬車の周りを六人の冒険者たちが囲みながら進んで行く。
 流石にこんな馬車を襲う人なんて居ないだろうと思っていると、

「リディア様。先ほどのご質問についてお答えいたします」

 クロードさんが声を落として話しだす。

「すみません。実は事情があり、現在エスドレア王国では二つの派閥が争っております」
「派閥?」
「はい。一つは、先ほど申し上げた、国内唯一の石の鑑定士――大臣のメリアをトップとする派閥。もう一つが、シャルロット王女様をトップとする派閥なのです」
「そうなんですね……って、シャルロット王女?」
「すみません。身分を偽っておりましたが、こちらのシャルロット様はエスドレア王国現国王の実の娘であり、私はエスドレア王国騎士団の第二隊隊長なのです」
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。 貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。 実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。 嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。 そして告げられたのは。 「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」 理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。 …はずだったが。 「やった!自由だ!」 夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。 これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが… これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。 生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。 縁を切ったはずが… 「生活費を負担してちょうだい」 「可愛い妹の為でしょ?」 手のひらを返すのだった。

報われなくても平気ですので、私のことは秘密にしていただけますか?

小桜
恋愛
レフィナード城の片隅で治癒師として働く男爵令嬢のペルラ・アマーブレは、騎士隊長のルイス・クラベルへ密かに思いを寄せていた。 しかし、ルイスは命の恩人である美しい女性に心惹かれ、恋人同士となってしまう。 突然の失恋に、落ち込むペルラ。 そんなある日、謎の騎士アルビレオ・ロメロがペルラの前に現れた。 「俺は、放っておけないから来たのです」 初対面であるはずのアルビレオだが、なぜか彼はペルラこそがルイスの恩人だと確信していて―― ペルラには報われてほしいと願う一途なアルビレオと、絶対に真実は隠し通したいペルラの物語です。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

聖女をクビにされ、婚約者も冷たいですが、優しい義兄がいるので大丈夫です【完結】

小平ニコ
恋愛
ローレッタは『聖女』として忙しいながらも充実した日々を送っていたが、ある日突然上司となった無能貴族エグバートの機嫌を損ね、『聖女』をクビとなり、住んでいた寮も追放されてしまう。 失意の中、故郷に戻ったローレッタ。 『聖女』でなくなったことで、婚約者には露骨に冷たい態度を取られ、その心は深く傷つく。 だが、優しい義兄のおかげで少しずつ元気を取り戻し、なんとか新しい生活に馴染み始めたころ、あのエグバートから手紙が届いた。『大変なことになっているから、今すぐ戻ってこい』と。

処理中です...