精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた

向原 行人

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第3章 精霊と新しい暮らしを始める元聖女

第53話 国都ケムパス

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 うぅ……冷静になってくると、物凄く恥ずかしい。
 プロポーズ的に近い事を言われ、それを周囲の無関係な人たちに聞かれて祝福されるなんて。
 いや、まぁ嬉しいのは事実なんだけどね。
 一先ずクロードは、正式に結婚するまでは何もしない誠実な人って事が分かった。
 だから、とにかく今は精霊さんたちを助ける事に全力を注ぐべきね。

『ウチは最初から、そう言っているけどね』
(う……ま、まぁモヤモヤしていたのもスッキリしたし、結果オーライって事で)

 エミリーと話をしているうちに、この乗合馬車の終点、国都ケムパスへと到着した。

『リディア。精霊が運ばれたのは、この街みたいだよ!』
(わかったわ! 詳しい場所は分かる!?)
『任せて! こっちだよ』

 早く早く! とエミリーが急かす中、

「観光なら、街の北に綺麗な湖があるよ。お幸せに!」
「だったら、西にある教会も見てもらわなきゃ。あんなに立派な教会は他には無いよ。きっと世界一だと思うわ」
「待て待て、新婚旅行だぞ!? 南の丘から見渡す、夕焼けの街を見てもらわないでどうする。あと、そこは星見の丘という別名が付けられているくらい、綺麗に星が見えるんだ。物凄くロマンチックだぞ」

 色々とアドバイスをくれる乗客の方々にお礼を言いながら、馬車を降りる。

「クロード。見つけたわ……こっちよ」
「畏まりました。参りましょう」

 エミリーに案内されながら、右へ左へと進み、街の中心部に近付いてきた所で、エミリーが唐突に変な声をあげる。

『あれ? どういう事!?』
(どうしたの?)
『それが……ここから先は、精霊が入れないみたいで、情報が無いんだ』
(精霊が入れない? え……どういう事? そんなのあり得なくない?)
『うん。例え、洞窟の中でも土の精霊が居るし、水の中や闇の中だって精霊は居る。だけど、どういう訳かこの先は……無なんだ。たぶん、ウチも入れないと思う。何かの……結界かな?』

 精霊を遮る結界!?
 そんなの今まで聞いた事がないし、想定もしていなかった。

「あのね、クロード。この先は、ちょっと変な場所みたいで、なんていうか……精霊が入れないんだって」
「……確かに妙な違和感がありますね。一見すると、何も無いのですが、見えない境目があるみたいです」
「どうしよう。いきなり突撃するのも危ないし、先ずは情報収集してみる?」
「……そうですね。少し探りを入れてみましょう。一先ず私が情報収集を行いますので、リディアは宿を探しておいてもらえますか? 夕暮れに先程通った大通りの角で待ち合わせという事で」
「う、うん。クロード、気を付けてね」

 クロードがお任せ下さいと言った様子で、大通りへ戻って行ったので、私もそれにならって引き返す。
 いつも精霊さんが……エミリーが側に居てくれているのが当たり前だったけど、その精霊さんたちが居ないというのは、経験した事が無いので怖い。
 精霊さんが石に力を込めてくれているアクセサリーならば、効果はあるのだろうか。
 そこはかとなく嫌な予感を覚えながら、一先ずクロードに依頼された通り、この街の拠点とする宿を探す事にした。
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