66 / 70
第65話 上級ダンジョンへ
しおりを挟む
「≪アース・ウォール≫! 次、左から魔物が来ます!」
右前方にある、通ると矢が発射される罠を事前に塞ぎつつ、左手から来る新手に備える。
上級ダンジョンは、複数の地形パターンの組み合わせで作られるので、十パターンしかない中級ダンジョンよりも、少しややこしい。
とは言え、完全にランダムの隠しダンジョンに比べればマシだし、パターンをほぼ把握しているので、中級ダンジョンと同じようにノーダメージで進んで行く。
「なんだろう。ルーシーと一緒に居ると、上級ダンジョンが凄く簡単に感じてしまうんだけど」
「そうよね。上級ダンジョンって、もっとギリギリの戦いで、半分くらいで戻るのかなって思っていたわ」
「えっと、リラックスするのは良いですけど、気を抜くのはダメですからね?」
中級ダンジョンで回避力が上がる短剣を手に入れたから、私が前衛に立とうとしたんだけど、結局ローランドさんが前に立つ事に。
中級ダンジョンと同じ陣形で進んで行き、今回もあっさりボスの部屋にたどり着く事が出来た。
「さて、どうしようか。上級ダンジョンでボスの部屋まで来られると思っていなかったんだけど……中へ入るかい? 中級のボスと戦った後だし、連戦になっちゃうけど」
ローランドさんが立ち止まり、私たちを振り返ると、すぐにメリッサさんが口を開く。
「ここまで来たんだし、サクッと倒しちゃう? 私の火魔法でこんがり焼いてあげるわっ!」
「あの、メリッサさん。火魔法が強力なのは十二分に分かっていますが、相手の弱点の属性で攻撃してくださいね?」
「ミノタウロスの事を言っているなら、ちゃんと弱点を突いて火魔法を使ったじゃない。それより、行きましょう」
いや、ミノタウロスの弱点は氷なんだってば。
まぁ全員無事ならそれで良いんだけどね。
「二人とも、これから上級ボスと戦うんだから、仲良くしような」
「な、何を言っているのよ、ローランド! 私とルーシーさんは、とっても仲が良いわよ! ね?」
「は、はぁ……まぁ別に仲が悪い訳ではないと思いますけど」
急にメリッサさんから腕を組まれ、ちょっと戸惑ったけど、嫌いという訳でもないので、思った事をそのまま答え、ボスの部屋へ入る事に。
上級のボスは十種類の魔物からランダムで決まるんだけど、今回はなんだろうか。
パーティ的に、遠距離攻撃だけで倒せる相手だと嬉しいんだけど。
三人で扉の奥へ進んで行くと……巨大な鏡が置かれていた。
最悪だ。十種類居る中で、このパーティでは唯一勝てない魔物が出てしまっていた。
「ローランドさん、メリッサさん。退却しましょう。私たちでは、あの魔物に勝てません」
「ふむ。そうなのか? ルーシーが言うなら、かなり信憑性が高そうだな」
良かった。ローランドさんが話のわかる人で。
「はい。あの魔物は、イビルミラーっていうんですけど、火水風土光闇の魔法を反射……」
「何を言っているの? あんなのただの鏡じゃない。先手必勝で攻撃しちゃえば良いのよ」
「ダメっ! 今説明していたじゃない! あいつは、魔法を……」
「≪サンダー・ストーム≫」
あぁぁぁっ! だから、あいつは魔法を反射して、その上何倍にも強くして返してくるのよっ!
だから、前衛の物理攻撃で倒すのがセオリーなのにっ!
大慌てで土の壁を生み出したけど、防ぎきれないっ!
「くっ! 二人とも大丈夫ですかっ!?」
「……俺は、何とか」
「……」
メリッサさんの返事がないっ!
大丈夫なのっ!?
右前方にある、通ると矢が発射される罠を事前に塞ぎつつ、左手から来る新手に備える。
上級ダンジョンは、複数の地形パターンの組み合わせで作られるので、十パターンしかない中級ダンジョンよりも、少しややこしい。
とは言え、完全にランダムの隠しダンジョンに比べればマシだし、パターンをほぼ把握しているので、中級ダンジョンと同じようにノーダメージで進んで行く。
「なんだろう。ルーシーと一緒に居ると、上級ダンジョンが凄く簡単に感じてしまうんだけど」
「そうよね。上級ダンジョンって、もっとギリギリの戦いで、半分くらいで戻るのかなって思っていたわ」
「えっと、リラックスするのは良いですけど、気を抜くのはダメですからね?」
中級ダンジョンで回避力が上がる短剣を手に入れたから、私が前衛に立とうとしたんだけど、結局ローランドさんが前に立つ事に。
中級ダンジョンと同じ陣形で進んで行き、今回もあっさりボスの部屋にたどり着く事が出来た。
「さて、どうしようか。上級ダンジョンでボスの部屋まで来られると思っていなかったんだけど……中へ入るかい? 中級のボスと戦った後だし、連戦になっちゃうけど」
ローランドさんが立ち止まり、私たちを振り返ると、すぐにメリッサさんが口を開く。
「ここまで来たんだし、サクッと倒しちゃう? 私の火魔法でこんがり焼いてあげるわっ!」
「あの、メリッサさん。火魔法が強力なのは十二分に分かっていますが、相手の弱点の属性で攻撃してくださいね?」
「ミノタウロスの事を言っているなら、ちゃんと弱点を突いて火魔法を使ったじゃない。それより、行きましょう」
いや、ミノタウロスの弱点は氷なんだってば。
まぁ全員無事ならそれで良いんだけどね。
「二人とも、これから上級ボスと戦うんだから、仲良くしような」
「な、何を言っているのよ、ローランド! 私とルーシーさんは、とっても仲が良いわよ! ね?」
「は、はぁ……まぁ別に仲が悪い訳ではないと思いますけど」
急にメリッサさんから腕を組まれ、ちょっと戸惑ったけど、嫌いという訳でもないので、思った事をそのまま答え、ボスの部屋へ入る事に。
上級のボスは十種類の魔物からランダムで決まるんだけど、今回はなんだろうか。
パーティ的に、遠距離攻撃だけで倒せる相手だと嬉しいんだけど。
三人で扉の奥へ進んで行くと……巨大な鏡が置かれていた。
最悪だ。十種類居る中で、このパーティでは唯一勝てない魔物が出てしまっていた。
「ローランドさん、メリッサさん。退却しましょう。私たちでは、あの魔物に勝てません」
「ふむ。そうなのか? ルーシーが言うなら、かなり信憑性が高そうだな」
良かった。ローランドさんが話のわかる人で。
「はい。あの魔物は、イビルミラーっていうんですけど、火水風土光闇の魔法を反射……」
「何を言っているの? あんなのただの鏡じゃない。先手必勝で攻撃しちゃえば良いのよ」
「ダメっ! 今説明していたじゃない! あいつは、魔法を……」
「≪サンダー・ストーム≫」
あぁぁぁっ! だから、あいつは魔法を反射して、その上何倍にも強くして返してくるのよっ!
だから、前衛の物理攻撃で倒すのがセオリーなのにっ!
大慌てで土の壁を生み出したけど、防ぎきれないっ!
「くっ! 二人とも大丈夫ですかっ!?」
「……俺は、何とか」
「……」
メリッサさんの返事がないっ!
大丈夫なのっ!?
226
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる