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第24話 お約束
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「じゃあ今日はここで野営かな」
「そうだな。水場もあるし、丁度良いだろう」
荷物を降ろし、手頃な石でいつものカマドを作っていると、
「お二人とも凄いですね。野営慣れしているというか、私なんて何をすれば良いのか……」
ソフィアが何をすれば良いのか分からないと、オロオロしていた。
「まぁ俺は山で暮らしていたからな。……そうだな、野営の準備は俺がしておくから、ソフィアは手頃な木の枝を集めてもらおうかな」
「私も任務で野営は頻繁にしてきたから……しかし、野営をさせる訓練なら先に言っておいて欲しかったな。そしたら、毛布くらい持って来たのに」
「毛布か。んー、少し待って居てくれ」
ある程度キリの良い所まで準備を進めると、野草を採りに行き、ついでに良い感じの魔物を……こいつで良いか。
かなり離れた所に熊の魔物が居たので、サクッと倒す。
血抜きをしっかりして、石刀で肉と毛皮にスパスパ分けていく。
肉は後で料理するとして、骨や内臓は掘った穴に捨て、目的の毛皮を川でしっかり洗い、二人の元へ。
「フレイア。この毛皮を良い感じに炙ったら、どうだろう? 一応洗ったんだけど」
「……毛皮自体は良いと思うが、それよりこの大きさで灰色の毛の熊って、もしかしてデス・グリズリーではないのか!?」
「え? いや、どうなんだろ? 魔物の名前までは知らないからさ」
「……デス・グリズリーは、騎士団が総出で戦って、一体を仕留められるかどうかという程の強さなのだが……まぁドラゴンに比べれば弱いから、アルフレッドなら楽勝か」
フレイアが何かを呟きながら一人で頷いているが、そんな大層な名前の魔物ではないと思うぞ?
これより大きくて強い熊の魔物なんて、姉さんの山にはゴロゴロ居た訳だしさ。
「アルフレッド。おそらく毛皮の乾燥と、毛に付いているであろう虫の事を考えて炙ると言ったのだと思うが、昨日のアレはどうだろうか」
「アレ……とは?」
「ほら、肉を煙で燻していたではないか。あれなら毛の奥に逃げ込んだ虫も倒せて、綺麗な毛皮として使えそうな気がするのだが」
なるほど……という訳で、昨日と同じ要領で早速熊の毛皮と、ついでにドラゴンの肉の一部を燻製にしつつ、俺たちは熊肉と野草で作った夕食を済ます。
次は泉で水浴びとなったのだが、火を使っているので念の為に交代で入る事に。
先に女性二人が泉に行ったのだが、
「きゃあっ!」
ソフィアの悲鳴が聞こえて来た。
二人の身に何かあったのかと慌てて泉へ走り、
「大丈夫か!? ……あれ?」
「お水が冷た……あ、アルフレッドさん!?」
「アルフレッド。いつかは、こういう事にもなるだろうが、今はまだ少し早くはないだろうか」
泉の中に片足を浸けて寒そうにしているソフィアと、泉の中で仁王立ちになっているフレイアと思いっきり目が合ってしまった。
「す、すまんっ!」
平謝りでその場を立ち去ったのだが、暫くして二人が戻って来て、
「あ、アルフレッドさん……つ、次、どうぞ」
「さっきは、本当に申し訳ない。悲鳴が聞こえて来たから、何かあったのかと思って」
「い、いえ。私も紛らわしい声を上げてしまい、すみませんでした」
ソフィアと互いに謝り合う事に。
「フレイアも申し訳ない」
「いや、アルフレッドが望むなら……しかしせめて、二人っきりの時に……」
フレイアはフレイアでよく分からない事を呟いていたが、俺も水浴びと洗濯を済ませて就寝する事に。
しかし、
「毛皮が一枚しかないからな。三人一緒に寝るしかないであろう」
「そ、そうですね。仕方ありません」
「いや、俺は別に毛皮が無くても、草むらの上で普通に寝られるんだが」
三人が並んで寝られる程に大きな毛皮の上で、川の字になって寝る事に。
フレイアが聖壁スキルを使い、宿舎と同様に防御を担っているので安心して眠る事が出来るのだが……二人の寝相の悪さまで一緒でなくて良いと思う。
二人共、俺は抱き枕ではないからな?
「そうだな。水場もあるし、丁度良いだろう」
荷物を降ろし、手頃な石でいつものカマドを作っていると、
「お二人とも凄いですね。野営慣れしているというか、私なんて何をすれば良いのか……」
ソフィアが何をすれば良いのか分からないと、オロオロしていた。
「まぁ俺は山で暮らしていたからな。……そうだな、野営の準備は俺がしておくから、ソフィアは手頃な木の枝を集めてもらおうかな」
「私も任務で野営は頻繁にしてきたから……しかし、野営をさせる訓練なら先に言っておいて欲しかったな。そしたら、毛布くらい持って来たのに」
「毛布か。んー、少し待って居てくれ」
ある程度キリの良い所まで準備を進めると、野草を採りに行き、ついでに良い感じの魔物を……こいつで良いか。
かなり離れた所に熊の魔物が居たので、サクッと倒す。
血抜きをしっかりして、石刀で肉と毛皮にスパスパ分けていく。
肉は後で料理するとして、骨や内臓は掘った穴に捨て、目的の毛皮を川でしっかり洗い、二人の元へ。
「フレイア。この毛皮を良い感じに炙ったら、どうだろう? 一応洗ったんだけど」
「……毛皮自体は良いと思うが、それよりこの大きさで灰色の毛の熊って、もしかしてデス・グリズリーではないのか!?」
「え? いや、どうなんだろ? 魔物の名前までは知らないからさ」
「……デス・グリズリーは、騎士団が総出で戦って、一体を仕留められるかどうかという程の強さなのだが……まぁドラゴンに比べれば弱いから、アルフレッドなら楽勝か」
フレイアが何かを呟きながら一人で頷いているが、そんな大層な名前の魔物ではないと思うぞ?
これより大きくて強い熊の魔物なんて、姉さんの山にはゴロゴロ居た訳だしさ。
「アルフレッド。おそらく毛皮の乾燥と、毛に付いているであろう虫の事を考えて炙ると言ったのだと思うが、昨日のアレはどうだろうか」
「アレ……とは?」
「ほら、肉を煙で燻していたではないか。あれなら毛の奥に逃げ込んだ虫も倒せて、綺麗な毛皮として使えそうな気がするのだが」
なるほど……という訳で、昨日と同じ要領で早速熊の毛皮と、ついでにドラゴンの肉の一部を燻製にしつつ、俺たちは熊肉と野草で作った夕食を済ます。
次は泉で水浴びとなったのだが、火を使っているので念の為に交代で入る事に。
先に女性二人が泉に行ったのだが、
「きゃあっ!」
ソフィアの悲鳴が聞こえて来た。
二人の身に何かあったのかと慌てて泉へ走り、
「大丈夫か!? ……あれ?」
「お水が冷た……あ、アルフレッドさん!?」
「アルフレッド。いつかは、こういう事にもなるだろうが、今はまだ少し早くはないだろうか」
泉の中に片足を浸けて寒そうにしているソフィアと、泉の中で仁王立ちになっているフレイアと思いっきり目が合ってしまった。
「す、すまんっ!」
平謝りでその場を立ち去ったのだが、暫くして二人が戻って来て、
「あ、アルフレッドさん……つ、次、どうぞ」
「さっきは、本当に申し訳ない。悲鳴が聞こえて来たから、何かあったのかと思って」
「い、いえ。私も紛らわしい声を上げてしまい、すみませんでした」
ソフィアと互いに謝り合う事に。
「フレイアも申し訳ない」
「いや、アルフレッドが望むなら……しかしせめて、二人っきりの時に……」
フレイアはフレイアでよく分からない事を呟いていたが、俺も水浴びと洗濯を済ませて就寝する事に。
しかし、
「毛皮が一枚しかないからな。三人一緒に寝るしかないであろう」
「そ、そうですね。仕方ありません」
「いや、俺は別に毛皮が無くても、草むらの上で普通に寝られるんだが」
三人が並んで寝られる程に大きな毛皮の上で、川の字になって寝る事に。
フレイアが聖壁スキルを使い、宿舎と同様に防御を担っているので安心して眠る事が出来るのだが……二人の寝相の悪さまで一緒でなくて良いと思う。
二人共、俺は抱き枕ではないからな?
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