26 / 30
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
第61話 何故か怯えるエレンさん
しおりを挟む
「ん……おはよー」
「おはよう、セシリア」
「ヴォーロス、マヘス君は?」
「うん。良く眠っているよ。きっと楽しかったんだろうねー」
昨日の夜に、突然マヘス君が一人でやって来た。
こんなに小さな子が、夜に一人というのは危ないから、これからはバステトさんと一緒に来てね……と、注意しておいたんだけど、問題はその後なのよね。
エレンさんは猫が苦手なのか、マヘス君の事を物凄く怖がって逃げるから、それをマヘス君が遊んでくれていると思って追いかけて……どちらも電池が切れたみたいに、倒れるようにして眠りについた。
「じゃあ、私は今のうちに朝ごはんを作ってくるわね」
「僕も手伝うよー」
ヴォーロスと一緒に外へ出ると、セマルグルさんに呼ばれる。
「セシリア。結界を解除してやってくれぬだろうか」
「ん? 良いけど、何かあったの?」
「いや、そこに……バステトが中に入れず、泣きそうになっておるからな」
言われて見てみると、セマルグルさんの視線の先で、バステトさんが結界で爪を研ぐようにガリガリと……あ、マヘス君が心配なのね。
急いで結界を解くと、バステトさんが一目散に家へ入り、
「マヘスー! ……って、新しい女性が居るのじゃっ! しかも抱き合うようにしてじゃとっ!? くっ……もう、結婚してしまうのか!? は、早いのじゃっ!」
中から叫び声が聞こえて来た。
抱き合うように……って、マヘス君は猫の姿のまま眠っていたんだけど。
まぁそれはそれとして、朝ごはんの準備ね。
パンをスライスして、マヨネーズでパンの上に枠を作ったら、その中へ卵を落とす。
あとはオーブンで熱して……簡単エッグトーストの出来上がりっ!
「朝ごはんが出来たけど……聞こえてます?」
昨日の再現というか、目覚めたエレンさんが逃げて、マヘス君が追いかけ、バステトさんが泣きそうな表情でオロオロしている。
どうしたものかと思っていたら、
「セシリアが呼んでいるであろうっ! 早く来ぬかっ!」
「ひゃいっ!」
「ごめんなさーい」
セマルグルさんが一喝して、エレンさんもマヘス君もピタッと止まる。
うーん。私との違いは、声の大きさ? 言い方? それとも威厳? 難しいなーと思いながら、皆で朝ごはんに。
「おねぇちゃん! おいしーっ!」
「うむ。そうなのじゃ。やはりセシリアのご飯は美味しいのじゃ。我もこの料理をマスターすれば……」
「確かに美味しい……ま、まって! 聖女様っ! これは、まさかマヨネーズ!? ど、どうしてマヨネーズばかり……ミソはダメなのですかっ!?」
マヘス君とバステトさんと一緒に美味しいと言ってくれていたエレンさんが、突然表情を硬らせる。
けど、その瞬間にヴォーロスとバステトさんが立ち上がり、
「な、何でもないですー。その、ちょーっと、ミソの事も考えてくれると嬉しいなー、なんて……」
突然エレンさんが小声になってしまった。
どうしたんだろ? 突然、二人が立ち上がったから、ビックリしちゃったのかな?
しかし、お味噌はむしろ私が使いたいくらいなんだよね。
ご飯と味噌汁と卵焼きにお漬物の朝ごはん……最高じゃない!
まぁその肝心のお米が無いんだけどさ。
「エレンさん、心配しないで。ちゃーんとお味噌を使った料理を考えてあるから」
「そ、そうなのですかっ!?」
「えぇ、もちろん。という訳で、今日のお昼ご飯はおミソづくしでーす!」
「あ、ありがとうございますっ! あ、あと、出来ればお二方は、警戒を解いていただけると……本当に、もう熱くなりませんから」
エレンさんが目に涙を浮かべる程、嬉しそうに……けど、怯えても居る?
よく分からないけど、とりあえず味噌料理を沢山作ろーっと!
「おはよう、セシリア」
「ヴォーロス、マヘス君は?」
「うん。良く眠っているよ。きっと楽しかったんだろうねー」
昨日の夜に、突然マヘス君が一人でやって来た。
こんなに小さな子が、夜に一人というのは危ないから、これからはバステトさんと一緒に来てね……と、注意しておいたんだけど、問題はその後なのよね。
エレンさんは猫が苦手なのか、マヘス君の事を物凄く怖がって逃げるから、それをマヘス君が遊んでくれていると思って追いかけて……どちらも電池が切れたみたいに、倒れるようにして眠りについた。
「じゃあ、私は今のうちに朝ごはんを作ってくるわね」
「僕も手伝うよー」
ヴォーロスと一緒に外へ出ると、セマルグルさんに呼ばれる。
「セシリア。結界を解除してやってくれぬだろうか」
「ん? 良いけど、何かあったの?」
「いや、そこに……バステトが中に入れず、泣きそうになっておるからな」
言われて見てみると、セマルグルさんの視線の先で、バステトさんが結界で爪を研ぐようにガリガリと……あ、マヘス君が心配なのね。
急いで結界を解くと、バステトさんが一目散に家へ入り、
「マヘスー! ……って、新しい女性が居るのじゃっ! しかも抱き合うようにしてじゃとっ!? くっ……もう、結婚してしまうのか!? は、早いのじゃっ!」
中から叫び声が聞こえて来た。
抱き合うように……って、マヘス君は猫の姿のまま眠っていたんだけど。
まぁそれはそれとして、朝ごはんの準備ね。
パンをスライスして、マヨネーズでパンの上に枠を作ったら、その中へ卵を落とす。
あとはオーブンで熱して……簡単エッグトーストの出来上がりっ!
「朝ごはんが出来たけど……聞こえてます?」
昨日の再現というか、目覚めたエレンさんが逃げて、マヘス君が追いかけ、バステトさんが泣きそうな表情でオロオロしている。
どうしたものかと思っていたら、
「セシリアが呼んでいるであろうっ! 早く来ぬかっ!」
「ひゃいっ!」
「ごめんなさーい」
セマルグルさんが一喝して、エレンさんもマヘス君もピタッと止まる。
うーん。私との違いは、声の大きさ? 言い方? それとも威厳? 難しいなーと思いながら、皆で朝ごはんに。
「おねぇちゃん! おいしーっ!」
「うむ。そうなのじゃ。やはりセシリアのご飯は美味しいのじゃ。我もこの料理をマスターすれば……」
「確かに美味しい……ま、まって! 聖女様っ! これは、まさかマヨネーズ!? ど、どうしてマヨネーズばかり……ミソはダメなのですかっ!?」
マヘス君とバステトさんと一緒に美味しいと言ってくれていたエレンさんが、突然表情を硬らせる。
けど、その瞬間にヴォーロスとバステトさんが立ち上がり、
「な、何でもないですー。その、ちょーっと、ミソの事も考えてくれると嬉しいなー、なんて……」
突然エレンさんが小声になってしまった。
どうしたんだろ? 突然、二人が立ち上がったから、ビックリしちゃったのかな?
しかし、お味噌はむしろ私が使いたいくらいなんだよね。
ご飯と味噌汁と卵焼きにお漬物の朝ごはん……最高じゃない!
まぁその肝心のお米が無いんだけどさ。
「エレンさん、心配しないで。ちゃーんとお味噌を使った料理を考えてあるから」
「そ、そうなのですかっ!?」
「えぇ、もちろん。という訳で、今日のお昼ご飯はおミソづくしでーす!」
「あ、ありがとうございますっ! あ、あと、出来ればお二方は、警戒を解いていただけると……本当に、もう熱くなりませんから」
エレンさんが目に涙を浮かべる程、嬉しそうに……けど、怯えても居る?
よく分からないけど、とりあえず味噌料理を沢山作ろーっと!
225
あなたにおすすめの小説
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
追放悪役令嬢、辺境の荒れ地を楽園に!元夫の求婚?ざまぁ、今更遅いです!
黒崎隼人
ファンタジー
皇太子カイルから「政治的理由」で離婚を宣告され、辺境へ追放された悪役令嬢レイナ。しかし彼女は、前世の農業知識と、偶然出会った神獣フェンリルの力を得て、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。
そんな彼女の元に現れたのは、離婚したはずの元夫。「離婚は君を守るためだった」と告白し、復縁を迫るカイルだが、レイナの答えは「ノー」。
「離婚したからこそ、本当の幸せが見つかった」
これは、悪女のレッテルを貼られた令嬢が、自らの手で未来を切り拓き、元夫と「夫婦ではない」最高のパートナーシップを築く、成り上がりと新しい絆の物語。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。
けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。