25 / 30
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
挿話21 夜行性のバステトさん
しおりを挟む
「ねー、おかあさん。いいでしょー?」
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
「ま、待つのじゃ。そう、何度もセシリアの所へ行くのは迷惑を掛けてしまうのじゃ」
「やだー! おねーちゃんと、あそぶのー!」
うぅ……セシリアのおかげで、マヘスが空腹を訴える事はなくなったのじゃが、毎晩泊まりに行きたいと言う。
もう少し……もう少し、母の事を好きで居て欲しいのじゃ。
いや、マヘスはまだまだ子供。恋人よりも母親を大切にする時期で、親離れをするのはまだ先のはず。
先……であろう? というか、先であって欲しいのじゃ! 母は寂しいのじゃ!
「ねー、おかあさんってばー!」
「ダメなものはダメなのじゃ!」
「……」
あぁぁぁっ! つい感情的になってしまい、マヘスが拗ねてしまった!
し、しかし、母親として言うべき事はしっかり言わなければ。
そう、これはイヤイヤ期……イヤイヤ期なのじゃ。
拗ねてしまったマヘスは暫くそっとしておく事にして、セシリアが考えてくれた石焼の方法で、ガレットという料理を作る。
ふふふ……密かに、めちゃくちゃ練習したのじゃ。
失敗した分も全部食べたから、若干太って……げふんげふん。
だが、練習した分だけ確実に料理が上手くなったのじゃ!
「マヘスー。晩御飯が出来たのじゃー。美味しいガレットを作ったのじゃ」
む? やはり強く言い過ぎたか?
マヘスが返事をしないのじゃ。
「マーヘスー! 美味しいご飯を食べて機嫌を直すのじゃ……っ!? ま、マヘス!? マヘスっ!? ……マヘスが居ないっ!?」
ど、どういう事なのじゃ!?
……ま、まさか一人でセシリアの所へ行ったのか!?
ひ、昼間ならまだしも、夜は魔物が出るのじゃ!
我にとっては大した事ないが、マヘスでは……マヘスっ! マヘスーっ!
大急ぎで棲家を出ると、セシリアの家の方角へ向かって走る。
「マヘスっ! マヘスーっ!」
ま、待つのじゃ。よく考えたら、マヘスは一人でセシリアの家に行けるのか?
道を間違え、反対方向へ行ったりしていないだろうか。
仮にマヘスが正しい方向へ進んで無事に着いた場合、きっとセシリアが保護してくれるのじゃ。
だが一方で、明後日の方向へ進んでしまっていた場合、誰にも保護されないのじゃ。
「こ、これはマズいのじゃ! マヘスーっ!」
もしかしたら、拗ねて近くに隠れているだけかもしれないし、まずは棲家の周囲を探す事に。
だが、マヘスは見当たらない。
どうしよう。
「そうじゃ! セマルグルじゃ! 奴に空から探してもらえば……って、あやつは鳥目! 暗いところでは何も見えぬと言っておったのじゃっ!」
捜索範囲を少しずつ広げていると、巨大なアリの魔物が居たが、今は無視して……待つのじゃ。
もしもマヘスが魔物と遭遇したら……とりあえず、倒しておくのじゃ!
魔物に遭遇したら、とりあえず倒す事にして、少しずつ範囲を広げ……見つかるのは魔物ばかりで、肝心のマヘスは見当たらない。
「い、一旦セシリアの所へ行ってみるのじゃ。もしかしたら、マヘスが無事に着いているかもしれぬのじゃ」
一縷の望みを賭け、セシリアの家へ向かうと、遠くから弓矢や魔法でセシリアの家を攻撃している集団が居た。
弓矢を使うあたり、魔物ではないだろう。
だが、セシリアの家は結界のような物で護られているようで、一切攻撃は届いていないが。
「とはいえ、マヘスが居るかもしれんのじゃ。許さぬ!」
何者かは知らぬが、とりあえず全部纏めて蹴り倒しておいた。
まったく……マヘスの捜索で忙しくなければ、死の川へ全員投げ込んで居るところなのじゃ。
っと、こんな奴らよりも、マヘスを……マヘスーっ!
226
あなたにおすすめの小説
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。
けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。
緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。
前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。
これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!
地味で無能な聖女だと婚約破棄されました。でも本当は【超過浄化】スキル持ちだったので、辺境で騎士団長様と幸せになります。ざまぁはこれからです。
黒崎隼人
ファンタジー
聖女なのに力が弱い「偽物」と蔑まれ、婚約者の王子と妹に裏切られ、死の土地である「瘴気の辺境」へ追放されたリナ。しかし、そこで彼女の【浄化】スキルが、あらゆる穢れを消し去る伝説級の【超過浄化】だったことが判明する! その奇跡を隣国の最強騎士団長カイルに見出されたリナは、彼の溺愛に戸惑いながらも、荒れ地を楽園へと変えていく。一方、リナを捨てた王国は瘴気に沈み崩壊寸前。今さら元婚約者が土下座しに来ても、もう遅い! 不遇だった少女が本当の愛と居場所を見つける、爽快な逆転ラブファンタジー!
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。
向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。
幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。
最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです!
勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。
だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!?
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。