婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

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第6章 太陽の聖女と星の聖女

第276話 国境の街バダヨズ

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 夕方に、船の国ポートガとイスパナの間にある国境の街バダヨズに到着した。
 街の門で身分証を確認している兵士さんがいるので、ついでにポートガについて聞いてみる。

「あの、実はポートガの事を殆ど知らずに来たんですが、どういった国なのでしょうか」
「え……お嬢さん。逆に聞きたいんだが、どうして知らない国へ来たんだ?」
「あ、私フランセーズから来たんですけど、観光でイスパナに来て、そのまま南西に向かっていたら、この街に着きまして」
「えぇ……まぁでも、あてのない旅に出たい事もあるか。俺も昔、自分探しの旅に出たからな……」

 突然兵士さんが何故か遠くを見始めたけど、一応ポートガについて教えてくれた。
 例えば、ポートガは船の国と呼ばれているねど、当然陸地だってある。ただ、その国土はあまり広くなく、フランセーズやイスパナの五分の一程度らしい。
 だから……なのかはわからないけれど、国の西側が全て海に面しているということもあり、船の技術が優れ、船の国と呼ばれるようになったそうだ。

「そうなんだー! じゃあ、もう少し西へ行けば、海があるのかなー?」
「おぅ、その通りだ。ポートガは南北に伸びる国だからな。もしも坊やがが大きな船を見たいなら、このまま西へ向かうと良い。イスボアっていう、ポートガの首都にして、世界最大の港があるからな」
「そうなんだー! 海の国タリアナとどっちが大きいの?」
「はっはっは。タリアナは三方向を海に囲まれてはいるが、内海だからな。外海に面しているイスボアとはレベルが違うさ。まぁ実際に見てみればわかるよ」

 コリンの質問に兵士さんが笑いながら答えてくれたけど、一体どれほど大きいのだろうか。
 そんな事を考えながら、無事に街の中へ。
 とはいえ、国境を越えるには、また別の手続きが必要で、時間がかかる。
 なので、急いで手続きに向かったんだけど……

「すまんね。今日の業務は終了しているんだ。既に係の者も帰っているし、また明日の朝に来ておくれ」

 関所が閉まっており、警備の兵士さんしかいなかった。
 まぁでも、これは仕方がない。
 他の国でも、同じ様に夜は関所が閉められている事が多いからね。
 仕方なく、今日はこの街で宿を取ろうと思ったところで、ロレッタさんが口を開く。

「あの、ちょっとお伺いしたいのですが、この関所を黒づくめの集団が通らなかったでしょうか?」
「黒づくめの集団? そんな怪しい奴らは通させないと思うが……とはいえ、ワシもさっき交代したばかりだから、日中帯にそういう奴らが来たかはわからんよ」
「そうですか……ありがとうございます」

 兵士さんはトリスタン王子一行について知らないみたいだけど、おそらく既にポートガへ入国していると思う。
 ロレッタさんの話では、偽造の身分証を持っているという話だったしね。
 なので、この街では夜にトリスタン王子を探したりせずに、しっかり休む事にした。
 旧聖都の時と違って、朝からかなり歩いたしね。
 という訳で、宿に泊まってしっかり睡眠を取り、朝ごはんも食べて……いざポートガへ! と思ったんだけど、想定外の事が起こってしまう。

「アニエスさんとロレッタさん。そして、アニエスさんがテイムしたというシルバー・フォックスは入国可能です。ですが、そちらのコリンさんはお通しする事が出来ません」
「えぇぇぇっ!? ど、どうしてっ!?」

 ポートガ側で馬車に乗り、一気にイスボアへ向かおうとしたんだけど、どういう訳かコリンが関所で止められてしまった。
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