112 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第284話 逃げたトリスタン王子一行
しおりを挟む
「首尾は!?」
国境へ到着すると、早速セルジオさんが兵士さんたちに状況を聞く。
「せっかくお越しいただいたのに、すみません。騎士団へ応援を出した事を悟ったようで、男たちは退いていきました」
「どのような者たちだった!?」
「え? そうですね。リーダー格の男が金髪の剣士風で、他の者たちは黒い服でした」
トリスタン王子たちだ!
もちろん直接見た訳ではないので、ただ恰好が似ているだけの人たちという可能性も否定は出来ない。
だけど、このタイミングを考えると、間違いないはずだ。
「槍は……黒い槍は持っていましたか!?」
「え? うーん。槍を持っていた奴はいました。色は……黒だったと思います」
やっぱり、間違いなさそうね。
ただ……今の所、植物が黒く変色したり、枯れたりしている様子はない。
魔の力が剣と槍で効果が違うのか、そもそも魔の力を持つ武器ではないのか。
いずれにせよ、トリスタン王子は止めないと!
「そいつらは、どっちへ逃げたんだ!?」
「え!? 南に向かって逃げて行きましたが……」
「やはり賊は海へ出ようとしているな! 手分けして追うぞ! 絶対に捕えろ!」
「賊っ!? 奴ら……そういう事だったのか!」
驚く兵士さんを他所に、騎士さんたちが数人ずつグループに分かれて馬を走らせていく。
「では我々も参りましょう。海に逃げられてしまうのだけは避けなければ」
「そうですね」
私たちと行動を共にしてくれるセルジオさんは、国境沿いに真っすぐ南へ下っていく。
このまま進んで行くと、小さな村が幾つかと、港街があるだけなのだとか。
さっきの国境を守る兵士さんたちみたく、トリスタン王子の容姿が出回っている訳ではないし、私たちだって黒ずくめの人たちが服を脱いで普通に食料の買い付けをしていたら、見抜く事何手出来ない。
ただ盗まれた魔槍は私の身長くらいの長さがあるそうなので、長い棒状の何かを持っていれば、ひとまず話を聞くという方針になっているとの事だ。
暫く馬を走らせ、小さな村で話を聞くと……
「黒い槍を持った黒ずくめの奴ら? ……あぁ、食料を買って南へ行きましたが」
「食料を売ってしまったか」
「はい。あの、騎士様? 何か……」
「いや、気にしないでくれ。情報提供のご協力、感謝する」
悪い情報が入ってしまった。
トリスタン王子たちは物資を手に入れたので、あとは海に出るだけのようだ。
港街には船が沢山停泊しており、小型船を奪われたら、捜索は絶望的だと言われてしまった。
「広い海では、大型の船でも見失えば探すのが困難です。数人乗りの小さな船では、諦めるしかないでしょう」
魔の力に汚染されていない場所では、イナリの探知魔法が使えそうだけど、まだ確認出来ていない魔槍は無理だという話だった。
一度イナリが魔槍の魔力を知れば追えるそうなのだけど。
そんな話をしながら馬車が進んで行くと、次の村で意外な話が聞ける。
「黒い槍を持った黒ずくめ? 槍については分かりませんが、黒服の奴らならついさっきまで……そこにおりますが」
私たちが村に入ってきたのとは逆の、南側の入り口に黒い服を着た二人組の男性がいた。
これだけなら何とも言い難いんだけど、私と目が合った途端に……逃げ出したっ!?
「待てっ!」
セルジオさんが追いかけようとした時には……
「ふむ。ひとまず話を聞こうか」
既にイナリが二人を捕まえていた。
国境へ到着すると、早速セルジオさんが兵士さんたちに状況を聞く。
「せっかくお越しいただいたのに、すみません。騎士団へ応援を出した事を悟ったようで、男たちは退いていきました」
「どのような者たちだった!?」
「え? そうですね。リーダー格の男が金髪の剣士風で、他の者たちは黒い服でした」
トリスタン王子たちだ!
もちろん直接見た訳ではないので、ただ恰好が似ているだけの人たちという可能性も否定は出来ない。
だけど、このタイミングを考えると、間違いないはずだ。
「槍は……黒い槍は持っていましたか!?」
「え? うーん。槍を持っていた奴はいました。色は……黒だったと思います」
やっぱり、間違いなさそうね。
ただ……今の所、植物が黒く変色したり、枯れたりしている様子はない。
魔の力が剣と槍で効果が違うのか、そもそも魔の力を持つ武器ではないのか。
いずれにせよ、トリスタン王子は止めないと!
「そいつらは、どっちへ逃げたんだ!?」
「え!? 南に向かって逃げて行きましたが……」
「やはり賊は海へ出ようとしているな! 手分けして追うぞ! 絶対に捕えろ!」
「賊っ!? 奴ら……そういう事だったのか!」
驚く兵士さんを他所に、騎士さんたちが数人ずつグループに分かれて馬を走らせていく。
「では我々も参りましょう。海に逃げられてしまうのだけは避けなければ」
「そうですね」
私たちと行動を共にしてくれるセルジオさんは、国境沿いに真っすぐ南へ下っていく。
このまま進んで行くと、小さな村が幾つかと、港街があるだけなのだとか。
さっきの国境を守る兵士さんたちみたく、トリスタン王子の容姿が出回っている訳ではないし、私たちだって黒ずくめの人たちが服を脱いで普通に食料の買い付けをしていたら、見抜く事何手出来ない。
ただ盗まれた魔槍は私の身長くらいの長さがあるそうなので、長い棒状の何かを持っていれば、ひとまず話を聞くという方針になっているとの事だ。
暫く馬を走らせ、小さな村で話を聞くと……
「黒い槍を持った黒ずくめの奴ら? ……あぁ、食料を買って南へ行きましたが」
「食料を売ってしまったか」
「はい。あの、騎士様? 何か……」
「いや、気にしないでくれ。情報提供のご協力、感謝する」
悪い情報が入ってしまった。
トリスタン王子たちは物資を手に入れたので、あとは海に出るだけのようだ。
港街には船が沢山停泊しており、小型船を奪われたら、捜索は絶望的だと言われてしまった。
「広い海では、大型の船でも見失えば探すのが困難です。数人乗りの小さな船では、諦めるしかないでしょう」
魔の力に汚染されていない場所では、イナリの探知魔法が使えそうだけど、まだ確認出来ていない魔槍は無理だという話だった。
一度イナリが魔槍の魔力を知れば追えるそうなのだけど。
そんな話をしながら馬車が進んで行くと、次の村で意外な話が聞ける。
「黒い槍を持った黒ずくめ? 槍については分かりませんが、黒服の奴らならついさっきまで……そこにおりますが」
私たちが村に入ってきたのとは逆の、南側の入り口に黒い服を着た二人組の男性がいた。
これだけなら何とも言い難いんだけど、私と目が合った途端に……逃げ出したっ!?
「待てっ!」
セルジオさんが追いかけようとした時には……
「ふむ。ひとまず話を聞こうか」
既にイナリが二人を捕まえていた。
153
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。