婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人

文字の大きさ
114 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女

第286話 国を作ろうとしているトリスタン王子?

しおりを挟む
「あの人たちは、魔槍の力を使って国を作ろうとしているという話でしたけど、一体どうやって……」
「どうやら、それはトップの男が考えを持っているものの、下っ端のアイツらは聞かされていないようです。相応の拷問……こほん。質問をしたが聞きだせなかったので、本当に知らないのでしょう」

 いやあの、セルジオさん。今、拷問って……つ、突っ込まない方が良いのかな。
 先程の二人には、事前に渡しておいたポーションを飲ませてあげて欲しい。

「しかし、アニエスさん。その魔槍を使って国なんて作れるものなのですか?」
「魔槍の効果がわからないので、何とも言えないです。魔剣は魔物を凶悪にする効果でしたので、魔槍もそれに類する効果があるとは思うのですが」
「もしも……ですが。仮に、魔槍に人を自由に操れる効果とかがあれば、可能かもしれませんね」
「国を作るっていうのが、何処かの国を乗っ取って、自分たちの思い通りにする……という意味であれば、確かに可能かと」

 例えばだけど、何処かの国の王族たちを操って、トリスタン王子が王女様と結婚すれば、王位継承権を得られる。
 その後に、操った現国王にトリスタン王子へ王位を譲る……なんて事を言わせれば、その国を乗っ取る事が出来てしまう。

「けど、人を操るって言うのは流石に無いと思うよー?」
「そうなの?」
「うん。だって、本当に人を操れるなら、国境で揉めたりしないと思うし」
「なるほど。コリンの言う通りかも」

 だけど、だとすると魔槍の力はどういった力なのだろうか。
 仮に同じ力だとすると、魔物が強くなるだけだし……いやでも、魔物がトリスタン王子に協力していたように思えなくもない。
 魔剣に魔物を操る力があったとして、魔槍も同じ力を持っていたら……トリスタン王子は魔物の国を作るつもりなの!?
 ……いやいや、流石に飛躍しすぎか。
 何にせよ、トリスタン王子を止めないと。
 そんな事を考えていると、馬に乗った騎士さんがやってきた。

「セルジオさん、大変です! 賊が……北の国境を越えました!」
「何っ!? 北だとっ!? まさかあの二人は囮だったというのか!?」
「おそらく。ですが、国境警備隊からの報告では、具体的に何人が突破したかはわからないという話でした」
「それはつまり、そっちも囮の可能性があるという事なのか!?」

 騎士さんの報告に、セルジオさんが困惑している。
 黒ずくめの人たちは、イスパナの宝物庫で遭った時から変わっていなければ、十人程度のはずだけど、変わっていない保証がない為、何とも言えない。

「しかし、どう考えても海ではなく北へ行くというのはおかしい。逃げるのであれば、海の方が間違いないはずだ」
「セルジオさん、どうしましょうか。我々も、これ以上分散してしまうのは……」

 騎士さんたちが暫し意見を交わし、セルジオさんが悩ましそうに口を開く。

「俺としては、北も囮の可能性が高いと思う。しかも、既にイスパナへ入っているとなれば、我々は尚更動き難い。それならば、海に向かって国境を確認していった方が良い気がするのだが……」
「……それなら、北の国境は私たちが見に行きましょうか? 私たちは騎士団ではないですし、イスパナの土地もある程度わかります」
「……そう、ですね。本来ならば、我々騎士団が動くべき話だというのに、申し訳ありません。国境警備隊宛ての手紙を書きますので、彼らから話を聞いていただけますか?」
「任せてください」

 セルジオさんから手紙と地図を受け取り、北の国境へ向かう事にした。
しおりを挟む
感想 538

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。