130 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第300話 顔色の悪いビアンカ
しおりを挟む
「ふむ。あのバカ王子は行くところまで行ったな」
「そうね。まさか魔王だなんて」
「アニエスよ。今まで命までは取っていないが、人ではないというのであれば、もう良いのではないか?」
イナリの発言の意図としては、今まで手加減してきたが、もう本気を出しても良いだろう? という事。
つまり、トリスタン王子を亡き者にしてしまう。
イナリは、助けられる人は助けたいと言う私の想いを汲んで、これまで人に対してきてくれた。
だけど、トリスタン王子が人間でなくなってしまったというのであれば、他の多くの人たちの命を守る為にも……仕方のない事なの? 元は普通の人間だったのに。
「あ! ま、待ってください。あくまで今のトリスタン王子は、魔王の力を取り込んでいるので能力的に人を越えているという話で、身体はあくまで人間だという意味です」
「えーっと、要は占いの対象外になってしまったけど、まだ人間……という事かしら?」
「そうです。ですが、更に魔王の力を取り込んだり、魔王の力を増幅させていくと、もう人間には戻れなくなるそうですが」
「……まだ人には戻れるという事なのね?」
「えぇ。一部の星はそう言ってくれています。大半の星は、もうトリスタン王子の事については、沈黙してしまっていますが」
なるほど。まだ助けられる可能性はあるんだ。
だけど、あのイナリが負傷させられた程の力を、大勢の無関係な人々に向けたら……それはもう、幾ら身体が人間であっても、人間に戻れる可能性があったとしても、魔物に等しい行為だと思う。
「ふむ。我としては、余計な事をしないように始末しておくべきだと思うが……」
「……無差別に、大勢の人を攻撃するような事をするようであれば、もう庇えないのかもしれないわね」
「そうでない事を願いたいが……ひとまず、太陽の聖女に話を聞いてみるとするか」
イナリが街の壁をあっさり跳び越え、人間の姿に戻る。
バーセオーナの街の中心に向かって行くと、開いている宿を見つけたので、しっかり休み……翌朝。ビアンカさんの所へ。
「貴女は……聖女様のご友人のアニエス様でしたね。ビアンカ様は、現在重要な会議に参加されておりますので、少しお待ちいただけますでしょうか」
「待ってください! 本当に重大な……この国どころか、世界に影響を与える出来事が起こっているんです」
「ビアンカ様は会議中ですので、お待ちください。こちらも重要な会議中なのです」
バーセオーナの大教会に行くと、聖職者さんが私の事を覚えていてくれたのだけど、絶対に譲らない……という強い圧で止められてしまった。
ただ追い返すのではなく、あくまで大事な会議が終わるまで待てと、応接室へ案内されているけど。
「むぅ。会議などをしている場合ではないのだがな。太陽の聖女の位置はわかるから……ちょっと行って連れ出して来るか」
「だ、ダメよ、イナリ。気持ちはわかるけど、ビアンカさんは偉い人なんだし」
「僕がハムスターの姿で行って、ちょっと様子を見てこようか?」
イナリやコリンと、どうしようかと話をしていると、扉が開き……随分と顔色の悪いビアンカさんが入ってきた。
「ビアンカさん! ちょっとお話が……って、大丈夫ですか!?」
「残念ながら、大丈夫ではないのですが……もしかして、アニエスさんも国の危機に関する話でしょうか」
「そうですが、私も……って、何かあったんですか?」
「はい。昨日の夜に南の方で激しい落雷があり、大規模な森林火災が起こっているんです。幸い、海に近いので火は何とかなりそうではあるのですが、消火に海水を使うので塩害が起こって……すみません。こちらの話です」
南で激しい落雷!?
それって、まさか……トリスタン王子の仕業なのっ!?
「そうね。まさか魔王だなんて」
「アニエスよ。今まで命までは取っていないが、人ではないというのであれば、もう良いのではないか?」
イナリの発言の意図としては、今まで手加減してきたが、もう本気を出しても良いだろう? という事。
つまり、トリスタン王子を亡き者にしてしまう。
イナリは、助けられる人は助けたいと言う私の想いを汲んで、これまで人に対してきてくれた。
だけど、トリスタン王子が人間でなくなってしまったというのであれば、他の多くの人たちの命を守る為にも……仕方のない事なの? 元は普通の人間だったのに。
「あ! ま、待ってください。あくまで今のトリスタン王子は、魔王の力を取り込んでいるので能力的に人を越えているという話で、身体はあくまで人間だという意味です」
「えーっと、要は占いの対象外になってしまったけど、まだ人間……という事かしら?」
「そうです。ですが、更に魔王の力を取り込んだり、魔王の力を増幅させていくと、もう人間には戻れなくなるそうですが」
「……まだ人には戻れるという事なのね?」
「えぇ。一部の星はそう言ってくれています。大半の星は、もうトリスタン王子の事については、沈黙してしまっていますが」
なるほど。まだ助けられる可能性はあるんだ。
だけど、あのイナリが負傷させられた程の力を、大勢の無関係な人々に向けたら……それはもう、幾ら身体が人間であっても、人間に戻れる可能性があったとしても、魔物に等しい行為だと思う。
「ふむ。我としては、余計な事をしないように始末しておくべきだと思うが……」
「……無差別に、大勢の人を攻撃するような事をするようであれば、もう庇えないのかもしれないわね」
「そうでない事を願いたいが……ひとまず、太陽の聖女に話を聞いてみるとするか」
イナリが街の壁をあっさり跳び越え、人間の姿に戻る。
バーセオーナの街の中心に向かって行くと、開いている宿を見つけたので、しっかり休み……翌朝。ビアンカさんの所へ。
「貴女は……聖女様のご友人のアニエス様でしたね。ビアンカ様は、現在重要な会議に参加されておりますので、少しお待ちいただけますでしょうか」
「待ってください! 本当に重大な……この国どころか、世界に影響を与える出来事が起こっているんです」
「ビアンカ様は会議中ですので、お待ちください。こちらも重要な会議中なのです」
バーセオーナの大教会に行くと、聖職者さんが私の事を覚えていてくれたのだけど、絶対に譲らない……という強い圧で止められてしまった。
ただ追い返すのではなく、あくまで大事な会議が終わるまで待てと、応接室へ案内されているけど。
「むぅ。会議などをしている場合ではないのだがな。太陽の聖女の位置はわかるから……ちょっと行って連れ出して来るか」
「だ、ダメよ、イナリ。気持ちはわかるけど、ビアンカさんは偉い人なんだし」
「僕がハムスターの姿で行って、ちょっと様子を見てこようか?」
イナリやコリンと、どうしようかと話をしていると、扉が開き……随分と顔色の悪いビアンカさんが入ってきた。
「ビアンカさん! ちょっとお話が……って、大丈夫ですか!?」
「残念ながら、大丈夫ではないのですが……もしかして、アニエスさんも国の危機に関する話でしょうか」
「そうですが、私も……って、何かあったんですか?」
「はい。昨日の夜に南の方で激しい落雷があり、大規模な森林火災が起こっているんです。幸い、海に近いので火は何とかなりそうではあるのですが、消火に海水を使うので塩害が起こって……すみません。こちらの話です」
南で激しい落雷!?
それって、まさか……トリスタン王子の仕業なのっ!?
109
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。