131 / 143
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第301話 星の聖女
しおりを挟む
「あの、ビアンカさん。たぶん、その落雷の話と関係があるのですが……聞いてもらえますか?」
旧聖都とボートガで起こった事、トリスタン王子が魔王の力を得たという話を手短に説明する。
「そんな事が……」
「はい。イスパナの南で起こったという落雷も、おそらくトリスタン王子が自身の力を試したか、使い方を練習していたと思うんです」
「だとしたら……許される事ではありませんね。火を消す為に海水を使わざるを得ず、あの森に大きな影響があります。それに、森に棲む魔物が逃げ出して近隣の街や村で被害が出ていますし」
「ビアンカさん。私たちはトリスタン王子を止めたいんです。だけど、旧聖都の太陽の神殿……あそこにある台座は何ですか? どうやら、あの台座と時間という条件で、トリスタン王子が魔王の力を得たみたいなだけど」
私の言葉でビアンカさんが少し待っていて欲しいと言い、紙とペンを持って戻ってきた。
どうやら太陽の神殿について教えてくれるらしく、神殿と空、そして太陽の図が描かれる。
「宝物庫にあったという日付と時刻の一覧については、日の入りと日の出の時間……ではないんです。あれは、太陽の力が最も弱まる時間を記したものなのです」
「太陽の力が弱まる時間? 夜でも、太陽の力は働いているんですか?」
「はい。太陽は常に燃えていて、その力を我々に与えてくれています。ですので、夜であっても太陽の力はこの世界に届いているのですが、直接受けられない為に弱まっているのです」
ビアンカさんの話によると、夜でも弱い太陽の力を使う事が出来るけど、全く使えない時間があるらしい。
トリスタン王子が空へ魔の矢を放ったのは、その最も弱い時間帯のなのだとか。
「アニエスさんたちが、そのトリスタン王子と対峙したのは夜ですよね? また、昨日の落雷も深夜に限った話で、明け方になってからは一切起こっておりません。おそらくですが、魔の弓というのは夜にだけ力を得られるか、太陽の力を不得手としているのではないでしょうか」
「なるほど。そう言われると……トリスタン王子は戦いを長引かせたくなかったのかな?」
とはいえ、夜明けまではまだまだ時間があったので、本当に魔王の力の使い方を練習したかっただけなのかもしれない。
あの人は、完璧主義なところがあるから……全然、完璧じゃないのに。
「そう考えると、トリスタン王子は日中帯に姿を現す事がなく……私が直接力を貸す事は出来ないかもしれません。先程申し上げた通り、夜は太陽の力が弱まってしまうので」
「そうですか……」
「ですが、代々の太陽の聖女に伝わる書物によると、太陽の聖女と対を成す星の聖女という聖女がいるそうなので、その方を見つける事が出来れば、何かしらの手が打てるかと」
「星の聖女……ですか?」
「はい。太陽の聖女とは逆に、夜の星が瞬く間だけ力を使う事が出来、太陽が出ていると力が弱まってしまうそうです」
星の聖女っていう方もいるんだ。
星が出ている間だけ力を使えるというのはロレッタさんみたいな感じかな。
「お姉ちゃん。もしかして、ロレッタお姉さんが星の聖女さんじゃないかなー? 星が出ている間だけ占いが出来るし」
「それは、私が占星術師だからですよ。星の聖女というのではないと思います」
コリンがロレッタさんに目を向けるけど……本人の口から即座に否定される。
わかるよ……私だって、イナリに言われた時は何の事だろうって思ったし。
「ふむ。だが、有り得ぬ話ではない。ロレッタの魔力はアニエスに匹敵するからな」
「そういえば……結局、アニエスさんの何でも治してしまう水の事を聞いていないのですが」
「あ、忘れてた! えっと、私……水の聖女なんです」
そういえば、バーセオーナに着いたら説明するって言ったのに、あまりにも眠くてそのまま寝ちゃったんだ。
という訳で、今更ながらに私が水の聖女だという話をすると……
「そ、そんな大事な話を、ついでみたいにあっさり言わないでくださいっ!」
何故かロレッタさんに怒られてしまった。
旧聖都とボートガで起こった事、トリスタン王子が魔王の力を得たという話を手短に説明する。
「そんな事が……」
「はい。イスパナの南で起こったという落雷も、おそらくトリスタン王子が自身の力を試したか、使い方を練習していたと思うんです」
「だとしたら……許される事ではありませんね。火を消す為に海水を使わざるを得ず、あの森に大きな影響があります。それに、森に棲む魔物が逃げ出して近隣の街や村で被害が出ていますし」
「ビアンカさん。私たちはトリスタン王子を止めたいんです。だけど、旧聖都の太陽の神殿……あそこにある台座は何ですか? どうやら、あの台座と時間という条件で、トリスタン王子が魔王の力を得たみたいなだけど」
私の言葉でビアンカさんが少し待っていて欲しいと言い、紙とペンを持って戻ってきた。
どうやら太陽の神殿について教えてくれるらしく、神殿と空、そして太陽の図が描かれる。
「宝物庫にあったという日付と時刻の一覧については、日の入りと日の出の時間……ではないんです。あれは、太陽の力が最も弱まる時間を記したものなのです」
「太陽の力が弱まる時間? 夜でも、太陽の力は働いているんですか?」
「はい。太陽は常に燃えていて、その力を我々に与えてくれています。ですので、夜であっても太陽の力はこの世界に届いているのですが、直接受けられない為に弱まっているのです」
ビアンカさんの話によると、夜でも弱い太陽の力を使う事が出来るけど、全く使えない時間があるらしい。
トリスタン王子が空へ魔の矢を放ったのは、その最も弱い時間帯のなのだとか。
「アニエスさんたちが、そのトリスタン王子と対峙したのは夜ですよね? また、昨日の落雷も深夜に限った話で、明け方になってからは一切起こっておりません。おそらくですが、魔の弓というのは夜にだけ力を得られるか、太陽の力を不得手としているのではないでしょうか」
「なるほど。そう言われると……トリスタン王子は戦いを長引かせたくなかったのかな?」
とはいえ、夜明けまではまだまだ時間があったので、本当に魔王の力の使い方を練習したかっただけなのかもしれない。
あの人は、完璧主義なところがあるから……全然、完璧じゃないのに。
「そう考えると、トリスタン王子は日中帯に姿を現す事がなく……私が直接力を貸す事は出来ないかもしれません。先程申し上げた通り、夜は太陽の力が弱まってしまうので」
「そうですか……」
「ですが、代々の太陽の聖女に伝わる書物によると、太陽の聖女と対を成す星の聖女という聖女がいるそうなので、その方を見つける事が出来れば、何かしらの手が打てるかと」
「星の聖女……ですか?」
「はい。太陽の聖女とは逆に、夜の星が瞬く間だけ力を使う事が出来、太陽が出ていると力が弱まってしまうそうです」
星の聖女っていう方もいるんだ。
星が出ている間だけ力を使えるというのはロレッタさんみたいな感じかな。
「お姉ちゃん。もしかして、ロレッタお姉さんが星の聖女さんじゃないかなー? 星が出ている間だけ占いが出来るし」
「それは、私が占星術師だからですよ。星の聖女というのではないと思います」
コリンがロレッタさんに目を向けるけど……本人の口から即座に否定される。
わかるよ……私だって、イナリに言われた時は何の事だろうって思ったし。
「ふむ。だが、有り得ぬ話ではない。ロレッタの魔力はアニエスに匹敵するからな」
「そういえば……結局、アニエスさんの何でも治してしまう水の事を聞いていないのですが」
「あ、忘れてた! えっと、私……水の聖女なんです」
そういえば、バーセオーナに着いたら説明するって言ったのに、あまりにも眠くてそのまま寝ちゃったんだ。
という訳で、今更ながらに私が水の聖女だという話をすると……
「そ、そんな大事な話を、ついでみたいにあっさり言わないでくださいっ!」
何故かロレッタさんに怒られてしまった。
107
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。