日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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1.蒼き異才、動き出す

絶対戦略会議

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昭和十六年(1941年)五月――
帝国陸海軍合同戦略会議、通称「絶対戦略会議」が、皇居外苑・近衛師団司令部の特設地下会議室で開催された。

これまでの会議とは異なる。
議題は一つ。「真珠湾作戦の是非と、新戦略案採用の可否」。
そしてそこには、前代未聞の存在がいた。

――十三歳の少年、蒼月レイ。

「今回、第三課からの推薦により、特例として本戦略会議への出席を許可する。異論は認めない」

香取大佐の強い一声のもと、数十名の将官たちは黙っていた。
だが、空気は重い。少年一人に、帝国の運命を論じさせる――
それを面白く思わない者が、少なくなかった。



「皆様、今日は私のような若輩者に貴重な場をいただき、感謝いたします。――ですが、私はこの国の未来を守るために、遠慮せず提言します」

レイの声は静かに、しかし確かに会場を貫いた。

スクリーンに投影されたのは、米国の産業力、航空母艦の増産計画、ルーズベルト政権の外交方針など、驚異的な情報量に基づいた未来予測。

「日本がいま、戦争を仕掛ければ、“最初の一撃”では勝てます。しかし、二撃目、三撃目が来たとき、我々は“予備”を失っている」

「ではどうする?」

海軍軍令部の将官が苛立ちを隠さず問う。

「“勝つ”のではなく、“勝ったように見せる”のです」

ざわつく会場。

「真珠湾では、“米艦隊が壊滅したと錯覚させ”、それによって世論と軍部に一時的な混乱と停戦機運を生ませる――
その間に、外交を通じて“有利な講和”を引き出す。それが、我々が取るべき“戦略的勝利”です」

少年の手元にあるのは、数百枚に及ぶ図表、兵器生産量、石油在庫量、外交文書。

「軍の皆様。私は戦争を否定しているのではありません。戦争を**“外交の延長”**として使うべきだと言っているのです。これは兵ではなく、国家の戦いです」



会場が静まり返る中、一人の老将が立ち上がった。
海軍元帥・山本五十六。当初は出席予定になかったが、レイの提案を「見ておくべき」と密かに招かれていた。

「……この少年の戦略、見事だ」

山本は低く唸るように言った。

「我々は今、“勝利”に酔いかけていた。だが、“滅びないこと”こそが、本当の勝ちだと……忘れていたようだ」

その言葉に、多くの軍人が顔を伏せた。



絶対戦略会議は、未曾有の結論に達した。
真珠湾作戦は、蒼月レイによる“改訂案”をベースとする形で再設計されることが、正式に決定したのである。

だが――

その夜、帝大構内に停められたレイの自転車が、何者かによって燃やされていた。
白紙の手紙ではなく、**“実行”**に移った明確な警告。

帝国は変わり始めた。
だが、同時にそれは、古い力が牙を剥く予兆でもあった。

「これで本当に、日本の運命を変えられるのだろうか――」

少年は、ひとり呟いた。
その声をかき消すように、夜空を軍用機のエンジン音が掠めていった。
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