日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

文字の大きさ
3 / 120
1.蒼き異才、動き出す

影の軍研究所

しおりを挟む
――ここが、少年が「戦争の深淵」と向き合う最初の場所となる。

帝都・市ヶ谷台の地下にある極秘施設。
外見は旧陸軍士官学校の一角に見えるが、地下へ続く分厚い鋼鉄扉の先には、国家がすべてを賭けた秘密の空間が広がっていた。

軍内部でも限られた者しか存在を知らないその研究所の名は、帝国戦略研究局・第零室(通称:影の軍研究所)。

「蒼月レイ少年を正式に迎える。彼には、ここにおいて最も高いアクセス権を付与する」

香取大佐の一言で、ざわめく研究員たち。
ここに集まっていたのは、異端の天才ばかりだった。



「これが……“日本の知の最前線”ですか」

レイは圧倒されることなく、静かに空間を見渡した。
壁一面の地図。天井から吊るされた航空機の断面模型。
中央には数百冊の機密文書と解析データが積まれていた。

「まず見てもらいたいのは、南方戦線の輸送損耗率だ。現状では、補給船の生存率が40%を切っている」

そう語ったのは、若き海軍中佐・井坂浩一。
大学を首席で卒業しながら、軍の主流から外れた「補給戦術専門家」。
彼はレイに大量の資料を手渡すと、苦笑いした。

「正直、君のような“神童”に何を期待してるのか分からなかったが……データを見た瞬間、驚いた。これは、俺たちが1年かけてたどり着けなかった理論だ」

「ありがとうございます。でも、戦争は理論だけでは勝てません。感情が、時に理屈を凌駕する――それを制御するのも戦略の一部です」

少年の言葉に、研究員たちの表情が一変した。
ここにただの天才ではなく、“指導者の器”を持つ少年がいると、誰もが認め始めていた。



やがて、少年のもとに機密中の機密――**「真珠湾作戦原案」**が届いた。

それは、海軍作戦部が極秘に進めるアメリカ奇襲計画。
航空母艦6隻による一斉攻撃により、太平洋艦隊を壊滅させるというものであった。

レイは一晩かけて作戦を分析し、翌朝、こう言った。

「この作戦は、短期的には勝利します。しかし、結果的にアメリカの世論を完全に敵に回し、“日本の滅亡”を早める要因になります」

一同、沈黙。

「“奇襲”とは、相手が想定しない方向から“期待を裏切る”ことであり、“怒らせる”ことではありません。――必要なのは、“誤解させたまま勝つ”ことです」

少年は、真珠湾にダミー艦隊を用いた“陽動戦”と、別働隊による“通信拠点の同時破壊”を組み合わせた**『双影(そうえい)作戦』**を提案した。

それは、米軍の判断と反応速度を“鈍化”させる新概念だった。

「これは……軍人ではなく、哲学者の戦術だ」

香取がぽつりと呟いた。



だが、その夜。
レイの机に一通の封筒が届く。中に入っていたのは、何も書かれていない白紙の手紙――
それは、軍内部で使われる**「無言の警告」**のサインだった。

少年が“変えてはいけない領域”に踏み込んだことを意味する。

レイはそれを見つめ、静かに呟いた。

「止めたければ――僕より先に、未来を読んでみせてください」

少年は決して立ち止まらない。
その瞳の先には、“滅びではない日本”の未来があった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

征空決戦艦隊 ~多載空母打撃群 出撃!~

蒼 飛雲
歴史・時代
 ワシントン軍縮条約、さらにそれに続くロンドン軍縮条約によって帝国海軍は米英に対して砲戦力ならびに水雷戦力において、決定的とも言える劣勢に立たされてしまう。  その差を補うため、帝国海軍は航空戦力にその活路を見出す。  そして、昭和一六年一二月八日。  日本は米英蘭に対して宣戦を布告。  未曾有の国難を救うべく、帝国海軍の艨艟たちは抜錨。  多数の艦上機を搭載した新鋭空母群もまた、強大な敵に立ち向かっていく。

幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。

克全
歴史・時代
 西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。  幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。  北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。  清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。  色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。 一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。 印旛沼開拓は成功するのか? 蝦夷開拓は成功するのか? オロシャとは戦争になるのか? 蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか? それともオロシャになるのか? 西洋帆船は導入されるのか? 幕府は開国に踏み切れるのか? アイヌとの関係はどうなるのか? 幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

処理中です...