日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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2.開戦と青き慧眼

太平洋の嵐

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昭和十六年(1941年)十二月、極秘裏に連合艦隊が日本本土を出航した。
その目的地は、ハワイ・オアフ島――真珠湾。

この作戦は、南雲忠一中将率いる空母部隊による“奇襲”として記録されることになる。だが、背後にはもう一人の戦略家の影があった。

――蒼月レイ、十三歳。
少年は国家の「秘密の頭脳」として、戦争の潮流に立っていた。



「攻撃は現地時間の午前七時三〇分。第一波は空軍基地、第二波は通信施設。目標は“艦隊の破壊”ではなく“作戦の混乱”です」

東京・市ヶ谷台の地下戦略室。

「戦艦を沈める必要はありません。むしろ、“無傷の恐怖”を残す方が、アメリカを戸惑わせます」

軍参謀たちは、レイの論理の非情さに驚きつつも、その精緻な構成に言葉を失っていた。

「敵の怒りではなく、“混乱”を引き起こすのが目的です。米国は戦力よりも“判断”を破壊されたとき、初めて崩れます」

少年の言葉は、戦場の空気ではなく、“政治の未来”を見据えていた。



横須賀軍港から出撃する艦隊。
空母「赤城」では、南雲中将が少年の最終指示を手にしていた。

「この子供が……本当に未来を見ているというのか」

苦々しげに呟く参謀もいたが、南雲は黙ってそれを制した。

レイは出撃前夜、山本五十六に宛てて、わずか一枚の手紙を送っていた。

「破壊ではなく、“無力化”こそが、戦略の極みです。
我々は、暴力ではなく恐怖を操るのです」
――蒼月レイ



十二月八日午前三時五〇分、日本時間。

第一波航空隊がハワイの空を翔ける。
戦艦ではなく、通信棟と燃料施設が正確に爆撃される。
煙と火が上がり、だが港の中心――戦艦たちは、動かずそのまま残された。

「……なぜ、止めを刺さなかった?」

米海軍は理解できずに混乱した。
その奇妙な“優しさ”が、恐怖に転じる。

報告を受けた米大統領・ルーズベルトは言った。

「日本は――いや、“誰か”が、“考えて動いた”。これは獣の咆哮ではない。――獣の皮を被った戦略家の仕業だ」

それが、蒼月レイの意図だった。



その日の午後。
東京帝大の地下に、香取大佐が姿を現す。

「レイ、君の作戦は成功した。敵の反撃は遅れている。米国の議会は混乱し、反戦派が力を得始めた」

「では、“次”に移るべきですね」

レイは、もう次の段階――“講和と外交の準備”に目を向けていた。

少年は、勝利をもって“終わり”とせず、“未来を築くこと”を真の目的としていた。

「これで、日本の運命は――ほんの少し、ずれた」

その“ずれ”がやがて、歴史全体を変える津波となるとは、まだ誰も知らなかった。
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