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9.新しき律
暁の教義
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1942年(昭和17年)6月15日
東京帝国大学・講堂地下・非公式研究会議室
明かりの届かぬ地下室で、極秘会合が開かれていた。
集められたのは、内務省・拓務省・大蔵省・商工省の若手官僚と、帝大の研究者たち――その中央に、14歳の蒼月レイがいた。
「きょうは、“教義”について話す」
レイは静かに口を開いた。
「満州で掲げた“協議評議会”と“共栄圏構想”は、単なる政策ではない。
我々が示したいのは、新しい“秩序のかたち”だ。
それは、武力による支配でも、平等幻想でもない――“理念による指導”だ」
資料が配られる。そこには、“アジア共栄構想の実現段階”として、以下の三段階が記されていた。
1.軍政から民政への移行(満州・朝鮮・華北)
2.文化尊重と教育改革の支援(中国・東南アジア)
3.長期的な“理念連邦”の構築(日本主導による枠組み)
⸻
一方、ベルリン。
ナチス・ドイツはソビエトとの戦線で足止めを食らいはじめていた。レイは外務省を通じ、駐独大使・大島浩からの報告を受け取っていた。
「スターリングラード方面では補給線の断絶が深刻。
ドイツ軍は未だ勢いを保つが、“絶対的勝利”の幻想には翳りが見えます」
報告書を読んだレイは言った。
「……つまり、我々が“勝者の道”を選ぶのは今しかない」
⸻
6月20日、御前会議。
蒼月レイは近衛首相の随行として、天皇に奏上する機会を得た。
「三国同盟の再検討を提案いたします」
緊張の中、レイが切り出す。
「我々はドイツの進撃を支持しました。しかし、いまやソ連戦線は膠着し、
ヒトラーの戦略は“恐怖の秩序”であって、我々の目指す“共栄の秩序”とは相容れません」
重臣たちがざわめいた。
「日本が目指すべきは、アジアの共栄です。
それは、共に文化を尊び、信頼によって統治する秩序です。
ドイツの世界戦略に追従すれば、日本はアジアの民心を失い、最終的には孤立します」
天皇は静かにうなずいた。
「……蒼月君の言葉、しかと聞いた。続けよ」
⸻
レイは続けた。
「アメリカとの接近は、避けられない道です。
戦後の世界秩序において、我々が席を得るためには、
“理念を語る国”としての立場を今、確立しなければならない」
そしてその日の夜、日本政府は三国同盟の“見直し”を内部決定するに至った。
公式にはまだ秘密裏に――
だが、歴史の歯車は、また一つ、大きく音を立てて動いた。
東京帝国大学・講堂地下・非公式研究会議室
明かりの届かぬ地下室で、極秘会合が開かれていた。
集められたのは、内務省・拓務省・大蔵省・商工省の若手官僚と、帝大の研究者たち――その中央に、14歳の蒼月レイがいた。
「きょうは、“教義”について話す」
レイは静かに口を開いた。
「満州で掲げた“協議評議会”と“共栄圏構想”は、単なる政策ではない。
我々が示したいのは、新しい“秩序のかたち”だ。
それは、武力による支配でも、平等幻想でもない――“理念による指導”だ」
資料が配られる。そこには、“アジア共栄構想の実現段階”として、以下の三段階が記されていた。
1.軍政から民政への移行(満州・朝鮮・華北)
2.文化尊重と教育改革の支援(中国・東南アジア)
3.長期的な“理念連邦”の構築(日本主導による枠組み)
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報告書を読んだレイは言った。
「……つまり、我々が“勝者の道”を選ぶのは今しかない」
⸻
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緊張の中、レイが切り出す。
「我々はドイツの進撃を支持しました。しかし、いまやソ連戦線は膠着し、
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「日本が目指すべきは、アジアの共栄です。
それは、共に文化を尊び、信頼によって統治する秩序です。
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⸻
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「アメリカとの接近は、避けられない道です。
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“理念を語る国”としての立場を今、確立しなければならない」
そしてその日の夜、日本政府は三国同盟の“見直し”を内部決定するに至った。
公式にはまだ秘密裏に――
だが、歴史の歯車は、また一つ、大きく音を立てて動いた。
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