日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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10.新時代の夜明け

最後の帰還

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1942年(昭和17年)7月23日
東京・帝国大学附属病院 特別病室

朝の蝉の声が止むことなく響く中、蒼月レイは久しぶりに白衣の下に学生服を身にまとっていた。肩の傷は完治していないが、担当医は「もはや問題ない」と判断を下した。

病室の窓を開け、湿った夏の風を顔に受けながら、レイは言った。

「……僕は、帰ってきたんだね」

傍らにいた久坂は、新聞を畳みながら頷いた。
「新京での講演から、ちょうど三ヶ月。満州は今、君の言葉を待ってる」

「……いや、もう待たせるつもりはないよ。今日、戻る」

久坂は一瞬、驚いた表情を見せた。
「戻る? 東京を離れるのか? 帝大も、政府も、君の指揮を求めているんだぞ」

レイは静かに微笑んだ。
「だからこそ、次の一歩は“日本”ではなく、“世界”から踏み出すべきなんだ」



同日 午後2時/霞が関 官庁街・拓務省 本庁

近衛文麿と米内光政、そして若き陸軍中佐・東條英機らが並ぶ中、レイは“帰任”を告げた。

「私は再び満州に赴きます。
“満州共栄憲章”の実行段階に入る今、日本からの視点だけでは見誤るものが多すぎます」

米内が低く問う。
「レイ君、君はあくまで“協調”を貫くつもりかね? 欧州の情勢を見ての判断では遅すぎることもある」

「ええ、だから行動するんです。
世界を導く“精神的帝国”の構想が現実になるには、現地の痛みを知らねばならない」

東條は黙ったまま立ち去ろうとしたが、振り返りこう言った。
「……君が信じるなら、我々も一度は信じてみよう」



1942年7月24日/奉天駅(新京)

夕暮れの構内に、一台の特別列車が静かに滑り込んだ。

降り立ったのは、白い学生服にマントを羽織った少年――蒼月レイ。

満州国民政府の高官らが整列し、地元の子どもたちが花束を差し出す。
だが、レイはその中の一人、満州人の少年の目を見つめた。

怯えと、希望と、警戒とが混ざったその視線に、レイは静かに膝をついた。

「君が、大人になったとき。
この国が笑っていられるように――今、僕は“戦わずに勝つ”方法を証明するよ」

少年は戸惑いながらも、差し出されたその手を、ぎこちなく握った。



その夜、満州国国営放送にて、レイは短い演説を行った。

「私は“支配者”ではなく、“設計者”としてここに戻ってきました。
日本が満州とともに未来を作るには、もう一つの条件が必要です――
それは、**“信じる勇気”**です」

「武力でも、命令でもない。
僕は、言葉と構想で世界を動かす。そう信じてくれた人々のために、
再び、ここから始めます」



夏の新京――
帝政・軍政・民族主義が入り混じるこの地に、少年は再び“火”を灯した。
だがその火は、今度こそ“希望”であり、世界の夜明けを照らす光となるだろう。
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