日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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13.超克の選択

新たなる均衡

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1942年(昭和17年)9月20日。
アメリカ・ワシントンD.C. 海軍省地下戦略会議室。

巨大な円卓の中心に、静かに1枚の写真が置かれていた。
それは、ある極秘研究所で撮影された実験記録だった。
きのこ雲に似た小さな爆煙と、爆心地に残された異様な放射線痕跡。

「……これは、実物か?」

参謀総長キングが沈黙を破った。

「写真は本物だ。ただし、場所は不明。日本国内に“複数の施設”がある可能性がある」

ルーズベルトは腕を組み、報告書の表紙に記されたコードネームを見た。

《Project Tsukuyomi ― 月読》

「奴らは、マンハッタン計画より先に……?」

「可能性はある。蒼月レイが関与しているとすれば、資源配分、輸送、科学技術の全てが従来のスピードを超えてもおかしくない」

「では、我々は“爆撃”ではなく、“対話”を選ぶ時か」

ルーズベルトはゆっくりと頷いた。

「我々はもはや、あの少年と“交渉する”しかない。日本に核があるなら、力による終戦は不可能だ」



同日・東京 帝国大学 医療研究棟。

一通の返電が届いた。
そこには、アメリカ政府の承認した“戦後構想共同声明案”が記されていた。

《日本が三国同盟を公式に破棄し、対米和平交渉を進めること。
日本が持つ戦略的兵器の存在は黙認される。
その上で、日本をアジア再建の軸とする共同体構想を策定すること》

それを読んだレイは、ゆっくりと筆を取り、一文だけを加えた。

「核は、力ではなく“抑止”としてのみ保持する」

彼の声は静かだった。

「……これで、“奪う力”から“守る知恵”へと、世界は変わります」



9月21日。ニューヨーク・国連草案準備会合(非公開セッション)

「日本代表、蒼月レイより提案があります」

その場に立った14歳の少年は、静かに宣言した。

「我々は、武力による戦争の時代を、ここで終わらせます。
核を、力としてではなく、“未来への保証”と位置づけることで」

「我々が望むのは、“支配”ではありません。
すべての国が共存しうる、新たな地図を描くことです」

議場は沈黙した。

だが、その沈黙こそが、“信頼”という名の承認だった。



同日・夜。東京・霞ヶ関

三国同盟破棄に関する閣議が、粛々と進められていた。
陸軍の一部は反対の声を上げたが、岸信介がその場を締めた。

「我々は敗北を選ぶのではない。生存を選ぶ。
蒼月レイという“未来の設計者”がいる限り、日本は生き残る」



1942年9月23日。
東京駅に到着した列車から、ひとりの少年が降り立った。

制服に風がなびき、秋の気配が肌を撫でる。

岸信介が出迎えに来ていた。

「おかえり、レイ」

レイは小さく頷いた。

「……日本は、まだ変われます。これからも」

その瞳には、戦争を超えた先の“秩序ある世界”が、静かに映っていた。
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