日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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15.未来への羅針盤

世界を導く手

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1942年10月6日・東京 帝国議会議事堂/新京

午後1時、帝国議会の特別本会議室。議員たちのざわめきが天井に反響する中、壇上に立つ14歳の少年の姿があった。

蒼月レイ――
日本が三国同盟を破棄し、核兵器の保有を世界に公表してたことで、世界は動揺を越えて、新たな均衡を探り始めていた。

「本日は、世界秩序の未来に関する“日本の提案”を、この場で表明します」

レイは深く一礼し、背後の地図に視線を送る。赤線で囲まれたのは、日本、満州、台湾、朝鮮半島、そしてビルマや仏印、蘭印を含む東南アジア諸国だった。

「我々は、軍事による“支配”ではなく、理念と制度による“協調”を基盤に、アジア太平洋の新秩序を築くべきです」

壇上の背後にスライドが映し出された。そこには「アジア・太平洋諸国連帯会議」の開催提案が記されていた。



翌日・新京(満州国)

関東軍と満州国民政庁が共同設置した臨時評議会が、新京中心部に開かれた。議題は――“日本提案の受け入れ”だった。

「この提案は、単なる国際会議ではない。現地自治と経済協力、文化教育の相互交流を柱とした、多国間連帯構想だ」

と語るのは、若き民政官・吉岡清一郎。彼は、レイの私案に強く共鳴し、現地の中国人や朝鮮人代表とも協議を重ねていた。

「帝国が変わろうとしている。いや、“帝国”の形そのものが再定義されつつあるのだ」

それを証明するように、ビルマ独立運動の代表や、タイ王国の外交特使からも連絡が届き始めていた。



同日夜・東京 首相官邸

「……各国、反応はどうだ?」

近衛文麿が尋ねると、レイは頷いた。

「ビルマ、インドネシア、さらにはフィリピンからも“非公式使節団”の派遣打診がありました」

「欧米列強の“植民地”から、だな」

「はい。かつて彼らは、列強にとって“資源の倉庫”にすぎませんでした。今は、我々の“対等な隣人”です」

レイの声は、穏やかで確信に満ちていた。

「ただし、これは“平和主義”ではありません。私たちはすでに核兵器を持つ国家です。
その力を背景に、“戦わずして、秩序を築く”。それが、静かなる覇道の本質です」

近衛はしばし黙し――ふと微笑んだ。

「この子が戦争の時代に現れたことが、歴史の奇跡なのか、それとも……“必要”だったのかもしれんな」



10月7日・新聞各紙 朝刊

〈東アジア秩序会議、日本主導で開催へ〉
〈蒼月構想、初の公式文書化 新京から世界へ〉
〈『武力なき同盟』という覇道 蒼月レイ少年の世界戦略〉



その夜、帝国大学病室。

レイは、地図に鉛筆で小さな点を加えた。
そこは、太平洋の中心、ハワイ。

「……いつか、すべてが終わったら――ここで、静かに空を眺めたいな」

世界を導く手。それは、力ではなく、知と信頼と理の手であった。
そしてその手を持つ者にも、ひとときの安らぎが、いつか訪れることを願って。
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