日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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19.理想への試練

始動

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 1943年1月1日。元日。
東京・帝国議会新庁舎。

凛と張り詰めた空気の中、白銀の朝日が議事堂のガラス窓を染めていた。
その光を真正面から受け止めながら、蒼月レイは一歩ずつ壇上へと上がっていった。

今日は、彼の十五回目の誕生日である。
だが、誰もが知っていた。
この日が「一人の少年の節目」である以上に──
**「国のかたちが変わる、歴史の始まり」**の日であることを。



大広間の中央に設けられた白き演壇。
そこに立つ蒼月レイは、正装の礼服をまとい、胸に戦略本部の徽章と、天皇陛下から下賜された白菊の記章を添えていた。

傍聴席には、各国の外交使節、地方代表、報道陣がひしめいていた。
議場内に緊張が走る。

そのとき、レイが一礼し、口を開いた。

「本日、私は十五歳となりました。
それは個人の成長として記される一日であると同時に、
“この国が理想へと歩み出す年のはじめ”となることを、私は願っております」



「本日より、新制度──公共代表制による新国会(第二院)が正式に施行されます」

彼は指を軽く掲げ、壇上背後の紋章を指した。

そこには、旧・貴族院を象徴する双龍の紋章が消え、
新たに五つの楕円が重なり合った「五民環」が掲げられていた。

「この国会は、かつての貴族院に代わり設置された、民のあらゆる“役割”を反映する場です。
ここでは、金も血統も関係ありません。
教育、医療、労働、農業、福祉、外交、防衛、そして生活そのもの──
あらゆる分野に生きる民の“代表”が、ここに集います」



議場の一角で、若き教育代表が拳を握っていた。
その隣には、北陸の農村から推薦された女性の代表者も座っている。
彼女らは票ではなく、実績と推薦と討議によって選ばれた者たちだった。

レイは彼らの方を向き、語った。

「この新しい国会は、政党政治とは別の回路を持ちます。
それは、“信任”によって運ばれ、“実務”によって評価される空間です」

「そして、何より──ここに集うすべての代表者が“民の生活”の実態を知る者たちであることに、誇りを持ってください」



続いて、第一院たる衆議院の制度についての説明がなされた。

「衆議院につきましては、現行制度を基本とし、小選挙区および比例代表制を併用する選挙体制を維持いたします。
ただし、政党の推薦に加えて、一定の条件を満たした無所属候補にも比例復活の道を開き、
より多様な意見が政治の場に届くよう調整が施されました」

この柔軟な姿勢は、制度改革に対する過度な警戒を和らげる効果もあり、
議場内に小さく安堵の空気が流れた。



その日の午後、天皇陛下の名によって、「新国会設置に関する勅語」が発布された。

「政とは、民の声を束ね、国の形を正すものである。
そを導くにあたりて、年若き者の中にも誠ありて、志ある者あらば、
その者を以て国の道を照らすべし」

この勅語は、蒼月レイへの事実上の全面的支持を国に示すものであった。



その頃、街頭では演説の様子が中継され、無数の市民がラジオを囲んでいた。

「レイ様が、また動き出した……」
「今度こそ、この国が変わるんだよ」
「十五歳か……あの子に、我らの未来を託せるのか……?」

その問いには、続きがあった。

「──託してみたい。信じてみたい。あの目のまっすぐさを」



夕刻、レイは自室の書斎に戻り、しばしの静けさの中で日記を広げた。

1943年 1月1日
15歳になった。
私は、国と共に生まれ直す。
これが“始まり”だと、忘れないようにしよう。

しかし、その筆は途中で止まる。

書きかけのページに、インクが一滴、落ちた。

──疲れが、想像以上に深く、蓄積していた。

机に突っ伏したレイを、そっと見守る参謀が呟いた。

「このままだと、彼の身体が持たない……」

その言葉は、静かに、次なる決断の伏線となる。
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