日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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22.帝国の目覚め

陽の昇る経済圏

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1943年3月5日。東京・帝国経済戦略本部。
空は澄み渡り、春の兆しが街を包んでいた。

蒼月レイは、分厚い統計資料を机の上に広げていた。
満州、朝鮮半島、台湾、そして本土――
すべての地域の生産指標は、右肩上がりに伸びている。

「生活実感も、追いついてきたな……」

そう呟いたレイの前には、地域別の購買力平価、雇用増加率、食糧自給率などが克明に並んでいた。
戦争をしていた世界と比べ、日本は今、すでに経済的勝者の立場にあった。

──だが、彼は満足していなかった。

「この先の10年、日本は“消費大国”ではなく、“創造大国”として歩む。
技術、文化、教育、そして未来産業――
すべてにおいて“世界の源流”になる」

その言葉を、側近たちは黙って聞いていた。
この国の未来は、少年の頭脳の中にある。



同日、内閣経済会議。

「首都圏構想は、次の段階へ進めるべきです」
レイは地図を指しながら言った。

「東京を中心に、北海道から九州、さらに朝鮮半島南部や台湾の都市部を“東洋経済圏”として統合します。
鉄道、通信、港湾、そして教育制度。国境を超えて連結させる時代です」

ある閣僚が不安げに尋ねた。

「そこまで広げて、果たして国民の理解がついてくるか……」

レイは即答した。

「すでに“理解”ではなく“実感”が始まっています。
満州からの農産物は本土で食卓に並び、台湾の工業製品は銀座の店頭に並んでいる。
朝鮮の若者は本土で学び、逆に日本の教師が現地で教えています。
それが、私たちの“日本”です」



午後、参内。

レイは、昭和天皇への定例報告に赴いた。
身を正し、玉座の前にひざまずく。

「陛下。国内の経済統合は順調に進んでおります。
また、イタリアの降伏により、大戦の終わりが近づいております」

天皇は静かに頷き、こう仰せになった。

「三国の盟を離れたこと……今となって分かるが、英断であったな」

「ありがとうございます、陛下。これは、“武ではなく智による選択”が、いかに多くの命を救えるかを示す証左(しょうさ)です」

天皇は長く黙し、それから深く頷かれた。

「我が国の進む道……それは、そなたの目に映る未来なのだな」

「……恐れながら、私はまだその半分も見えておりません。
しかし、陛下と国民の光が、私を導いてくださいます」

その言葉に、玉座の上の光が、微かに揺れたように見えた。



その夜。レイは帝都の高台から街を眺めていた。

夕暮れに灯る無数の光――それは戦火ではなく、人々の生活の灯りだった。

「……次は、教育と文化だな。
経済だけでは、人の心は満たされないから」

彼は手帳に、次なる章の構想を書き加えていく。
その瞳は、すでに“戦後”を超え、“未来”を歩んでいた。
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