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24.世界秩序の建築者
未来を選ぶ民
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1943年4月10日――東京、永田町。
霞ヶ関の上空には春の陽が差し込み、桜の花びらが静かに舞っていた。
それは、かつて焼けるはずだった都市が、美しく咲き誇っている証でもあった。
国会議事堂の大広間。
新制度による「初の総選挙」の開票が終了し、国民の“選択”が今、ここに形となって現れようとしていた。
「投票率、89.2%……戦後初の選挙で、ここまで民意が動くとは」
記者たちが息を呑むなか、壇上に一人の少年が姿を現す。
背筋を伸ばし、黒の詰襟に日の丸のバッジをつけたその姿は、もはや一国の象徴だった。
蒼月レイ――特命全権代表。十五歳。
彼は静かに壇上のマイクの前に立ち、周囲の喧騒がぴたりと止んだのを確認してから、口を開いた。
「……今日、我々は一つの大きな節目を迎えました」
会場に集まった各国の特使、国内の記者、そして新議員たちが息を呑む。
「これは単なる議員の入れ替えではありません。これは――民が、自らの手でこの国の未来を選んだ、その証です」
静かな拍手が広がる。だがレイはそれに頼らない。
「我々はかつて、上から押し付けられた政治を生きていました。戦争、軍部、恐怖、そして閉ざされた言論。
ですが、今――国民一人ひとりが、自分の意思で『誰に託すか』を決めた。私はそれを、日本の夜明けと呼びたい」
やがてレイは、選挙で選ばれた新たな議会メンバーへと視線を移した。
「今日からこの国の政治は、“民が選び、民に応える者たち”によって担われます」
力のこもったその言葉に、記者席からフラッシュが走る。
――レイが作り上げた国会制度はこうだった。
衆議院はそのままにしつつ、貴族院を廃止し、代わりに公共代表院という「地方・職能団体・専門家」からなる議会を新設。
一方で、地方自治を強化する改憲が進み、中央集権に対するバランス調整も制度的に設計された。
国会の中では、すでに「経済再建法」「技術革新奨励法」「教育改革法」などの審議が始まっていた。
――すべては、“未来”を選ぶ民のために。
⸻
選挙翌日。
レイは桜とともに、神楽坂の小さな料亭を訪れていた。
すべてが終わったわけではない。むしろ始まりなのだが、今日だけは一息ついてよいと周囲に説得されての外出だった。
「……静かですね、ここ」
「うん。東京なのに、ここだけ時が止まってるみたいだ」
障子越しの夕日が、二人の影を優しく照らす。
「レイ、今日は、あなたの言葉に涙を流していた人が大勢いたよ」
「……国民に伝わったなら、よかった。桜の言葉も、いつも僕を支えてくれてる」
一瞬の沈黙のあと、桜はそっと湯飲みに手を伸ばした。
「……ねえ、レイ。これからこの国、どうなると思う?」
レイは笑わなかった。ただ、真っ直ぐにその問いを受け止め、答えた。
「たぶん、いろんな失敗もある。でも、“誰かが決めた未来”じゃない。
僕たちみんなで作った、たった一つの“この国の未来”になると思う」
桜は微笑んだ。やっぱり彼は、未来を信じていた。
⸻
その夜、各国の電信機関には、次のような速報が流れた。
【東京発】
新制度下での初選挙、蒼月レイ主導の「公共代表制」始動
民主主義を再設計した日本に対し、米・英・仏が歓迎声明
新たな秩序の旗は、静かに、だが確かに掲げられようとしていた。
世界は、また一つ動こうとしていた――“民の意志によって”。
霞ヶ関の上空には春の陽が差し込み、桜の花びらが静かに舞っていた。
それは、かつて焼けるはずだった都市が、美しく咲き誇っている証でもあった。
国会議事堂の大広間。
新制度による「初の総選挙」の開票が終了し、国民の“選択”が今、ここに形となって現れようとしていた。
「投票率、89.2%……戦後初の選挙で、ここまで民意が動くとは」
記者たちが息を呑むなか、壇上に一人の少年が姿を現す。
背筋を伸ばし、黒の詰襟に日の丸のバッジをつけたその姿は、もはや一国の象徴だった。
蒼月レイ――特命全権代表。十五歳。
彼は静かに壇上のマイクの前に立ち、周囲の喧騒がぴたりと止んだのを確認してから、口を開いた。
「……今日、我々は一つの大きな節目を迎えました」
会場に集まった各国の特使、国内の記者、そして新議員たちが息を呑む。
「これは単なる議員の入れ替えではありません。これは――民が、自らの手でこの国の未来を選んだ、その証です」
静かな拍手が広がる。だがレイはそれに頼らない。
「我々はかつて、上から押し付けられた政治を生きていました。戦争、軍部、恐怖、そして閉ざされた言論。
ですが、今――国民一人ひとりが、自分の意思で『誰に託すか』を決めた。私はそれを、日本の夜明けと呼びたい」
やがてレイは、選挙で選ばれた新たな議会メンバーへと視線を移した。
「今日からこの国の政治は、“民が選び、民に応える者たち”によって担われます」
力のこもったその言葉に、記者席からフラッシュが走る。
――レイが作り上げた国会制度はこうだった。
衆議院はそのままにしつつ、貴族院を廃止し、代わりに公共代表院という「地方・職能団体・専門家」からなる議会を新設。
一方で、地方自治を強化する改憲が進み、中央集権に対するバランス調整も制度的に設計された。
国会の中では、すでに「経済再建法」「技術革新奨励法」「教育改革法」などの審議が始まっていた。
――すべては、“未来”を選ぶ民のために。
⸻
選挙翌日。
レイは桜とともに、神楽坂の小さな料亭を訪れていた。
すべてが終わったわけではない。むしろ始まりなのだが、今日だけは一息ついてよいと周囲に説得されての外出だった。
「……静かですね、ここ」
「うん。東京なのに、ここだけ時が止まってるみたいだ」
障子越しの夕日が、二人の影を優しく照らす。
「レイ、今日は、あなたの言葉に涙を流していた人が大勢いたよ」
「……国民に伝わったなら、よかった。桜の言葉も、いつも僕を支えてくれてる」
一瞬の沈黙のあと、桜はそっと湯飲みに手を伸ばした。
「……ねえ、レイ。これからこの国、どうなると思う?」
レイは笑わなかった。ただ、真っ直ぐにその問いを受け止め、答えた。
「たぶん、いろんな失敗もある。でも、“誰かが決めた未来”じゃない。
僕たちみんなで作った、たった一つの“この国の未来”になると思う」
桜は微笑んだ。やっぱり彼は、未来を信じていた。
⸻
その夜、各国の電信機関には、次のような速報が流れた。
【東京発】
新制度下での初選挙、蒼月レイ主導の「公共代表制」始動
民主主義を再設計した日本に対し、米・英・仏が歓迎声明
新たな秩序の旗は、静かに、だが確かに掲げられようとしていた。
世界は、また一つ動こうとしていた――“民の意志によって”。
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