日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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27. 秩序の継承者たち

世界の目、日本に向く

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1943年9月1日。
東京・帝国中央官庁舎。

蒼月レイは、ひとつの報告書を手にしていた。
そこには、米英仏をはじめとする連合諸国から寄せられた「対日協調提案」の数々が記されていた。いま、世界の視線は明らかに“日本”に向きつつあった。

「これは……」

外務省の国際報道分析官が、声を潜めた。

「まるで、戦勝国の“調停者”としての役割を求めているようです」

アメリカは、日本に対して欧州復興支援の協調的枠組み参加を要請。
イギリスは、植民地の将来的な管理と通商における助言を依頼。
フランスは、国内再建にあたり日本の法整備支援を希望――

「明らかに、日本の“秩序構築能力”に期待している」

レイはつぶやく。
その横で、桜が目を見張っていた。

「これって……まるで、日本がもう“仲間”というより、“主導者”に見られてるってことだよね」

レイは頷いた。

「我々は、戦場では“戦わなかった”が、秩序では“最前線”に立っている。だからこそ、冷静さと責任が問われる」



その夜、レイはひとりで政策戦略本部の応接室にいた。
窓の外には東京の夜景が広がり、遠く霞ヶ関の灯が小さく瞬いていた。

ドアがノックされた。

「入ってくれ」

静かに現れたのは、アメリカ大使館付きの特使だった。

「蒼月閣下。ワシントンから、新たな提案が届いております」

差し出された書類には、こう記されていた。

《アジア太平洋経済連携会議・創設構想》

レイの目が細められる。

「……我々の周辺地域を、日本が中心となってまとめる……それを、アメリカが認めたということか」

「はい。ただし、条件がいくつかあります。第一に、共産主義勢力の排除。第二に、自由貿易圏の維持。そして――第三に、“アメリカの経済的主導権”の尊重」

レイは静かに笑った。

「つまり、“手綱は渡さない”ということだな」

特使は言葉を詰まらせたが、レイは続ける。

「だが構わない。構造の中に“選択肢”を織り込めばいい。“参加するかどうか”ではなく、“どう参加するか”を、こちらが設計すればよいのだから」

特使はその答えに満足したように礼を述べ、部屋を出ていった。



翌朝。帝国大学・講堂。

レイは若き学生たちの前に立っていた。
帝国大学が今後、世界中から優秀な研究者と学生を受け入れ、グローバルな「知の首都」となる構想が正式に発表される日だった。

「皆さん。これからの時代、銃で国を動かす者は衰え、言葉と知で世界を変える者が力を持ちます」

その言葉に、講堂は静まり返った。

「戦後の秩序は、紙と思想で作られる。君たちはその“筆”となれ。“武”の時代が終わり、“知”の時代が来るのだ」

桜が傍で見守る中、拍手がゆっくりと、しかし確実に広がっていく。

世界はすでに変わり始めていた。
そしてその中心には、蒼月レイという名の“秩序の設計者”がいた。



同日夜。桜の部屋。

「レイ……」

紅茶を淹れながら、桜がつぶやいた。

「君が背負ってるもの、重すぎない? 世界からの期待も、未来の構築も……」

レイはしばらく黙っていたが、ふっと微笑んだ。

「重いよ。でもね、桜。僕はこの時代に生まれたことを、誇りに思ってるんだ。こんなにも“選ばれている”時代に」

「……選ばれてる?」

「そう。世界の目が、日本に向いている。
世界が、僕たちを“未来の鍵”だと見ている。ならば応えよう。…僕たちは、“世界の希望”であらねばならない」

レイの言葉に、桜は静かに頷いた。
やがてふたりは、夜の静寂の中、窓の外の光を見つめた。

そこには、帝国という名の国が、確かに“世界”に照らされていた。
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