日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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28. 帝国の輪郭

新しき国際秩序

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1944年1月1日。
東京・帝国議事堂前には、夜明け前から群衆が集まりはじめていた。冷たい風に揺れる日の丸と、そこに並ぶ手作りの横断幕。そのすべてが、一人の少年の誕生日を祝うためにあった。

——蒼月レイ、16歳。

いまや彼の名は、未来と変革の象徴だった。
元日であることも相まって、この日は“希望の記念日”とも呼ばれるようになっている。

朝8時、帝国放送が特別番組を開始。
アナウンサーが厳かに語り始める。

「本日、蒼月レイ氏は16歳の誕生日を迎えました。
彼が政界に現れてから、わずか3年足らず——
しかし、日本はこの間に、確かに生まれ変わりました」



東京・皇居前広場では、記念式典が挙行された。
登壇したのは、政財界の要人のみならず、全国の学生代表、医師、農民、技術者、主婦など、“今を生きる”市民の代表だった。

「レイさん。私は3年前、白米すら買えませんでした。
 でも今、家族で三食を囲んで笑えています」

「新しい学校で裁縫を学び、自分で作った服を売る日々が誇らしいです。
 “何者にもなれなかった私”が、“誰か”になれた気がします」

拍手と涙が交差するその光景は、かつての“帝国”にはなかった“敬意”の形だった。



同時刻、世界各国からも祝電が届いた。

イラン国王からの直筆書簡。
フランス暫定政府からの記念映像。
アルゼンチン、インドネシア、タイからは民族音楽による祝福の演奏が中継され、各国メディアがこれを報じた。

アメリカ大統領ルーズベルトからは、簡潔な英文メッセージが届いた。

「Mr. Aozuki,
The world may yet disagree on many things, but one truth stands —
Japan, under your guidance, has become not just a power, but a model.
Happy Birthday.
(蒼月殿
世界は今なお多くの点で意見を異にしておりますが、一つだけ確かな事実があります。
それは、日本があなたの導きのもと、単なる強国ではなく、“模範となる国”となったことです。
ご生誕を心よりお祝い申し上げます)」




午後、青山の邸宅では控えめな私的祝賀会が催された。
上空では、各国の国旗を掲げた飛行船が旋回し、外からもささやかな祝意が届く。

桜が紅茶とケーキを手にレイに近づいた。

「おめでとう。16歳になった、未来の“象徴”さん」

レイはふと笑い、ケーキに立てられた一本のロウソクを見つめる。

「3年前までは、僕の誕生日を知ってる人なんて家族だけだったのにね」

「今は世界中が知ってるわ」

「……そのぶん、信じられる人を選ばなきゃいけなくなった」

桜は小さく頷いた。

「でも、変わったのはあなただけじゃない。世界も、私たちも」

「うん。……13歳の僕は、正しいことをすれば世界は変わるって信じてた。
 でも違った。“信じられるかどうか”が、全てだった」

その言葉に、桜はそっと手を重ねた。



夕刻、放送局は特別映像《三年の変化》を全国放送した。
蒼月レイが現れてからの社会の変化が、映像とともに綴られる。

・失業率 -57%
・乳児死亡率 -43%
・就学率 98.6%
・住宅供給 前年比+250%
・平均寿命 +2.4年

ナレーションが静かに語る。

「一人の少年が、戦火の国に灯をともした。
偶像ではなく、意思と構想によって——
日本は、もはや“戦後”ではない。“未来”のなかにある」



夜、帝国議事堂前では1万人規模の市民集会が行われた。
焚き火、提灯、太鼓、民謡。思い思いの方法で、人々は“その人の誕生日”を祝った。

ある少女がスピーチに立った。

「私は田舎の町の出身で、家族は貧しくて……でも学校ができて、先生が来て、文字が読めるようになりました。
 今は看護学校に通ってます。レイさん、あなたがいてくれて、ありがとう。生まれてくれて、本当にありがとう」

拍手は鳴り止まなかった。



深夜。
レイは邸宅の書斎で、一人静かに外を見ていた。

誕生日とは、ただ歳を重ねる日ではない。
世界の重さが、16歳の肩に少しずつ、確かに積もっていた。

「……まだ、16歳か」

呟きには、静かな覚悟がにじんでいた。

そして、便箋に一言だけ記した。

“世界を変えたなんて、まだ言わない。
でも、この国の“未来”だけは、変えられると信じている。”

それが、16歳になった少年の、本当の願いだった。
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