召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

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第20話

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 黒装束の男は、十人ほどいた。

 「ふん、身の程しらずの小僧でゴザったか…」
 「とかく、若いうちは、己を過信するもの…」
 「哀れな小僧でゴザる。すぐに、己の非力さを思い知るだろうに…」
 「…まったくで、ゴザるな」

 「なんだと?」

 オレは、思わず、眉をひそめた。
 しゃべったのは、ライムだろ。
 オレが語尾に『ニャ』つけてしゃべると思ってんのか?
 大丈夫なのか。こいつら…。
 
 
 不安を覚えたオレをよそに、首領と思しき黒装束が、朗々と名乗りを上げた。

 「われらは、王国暗部が十人衆……」

 「ちょっと待て」

 オレは、思わず、遮った。
 そして、率直にたずねた。
 
 「…暗部って、名乗るモンなのか?自己紹介する暗部なんて、聞いたこともないが」 



 「「「「「「「「「「……むっ!」」」」」」」」」」

 黒装束たちに、動揺がはしった。
 心当たりがあったらしい。
 
 
 「た、たしかに…、一理あるでゴザるな」
 「じつは、わしも、気になっていたでゴザる」
 「やはり、暗部が、正体をあかすなど、本末転倒…でゴザろうよ」
 「でも、かしらは、言い出すときかないでゴザルから…」
 
 ひそひそと、共感の声があがった。
 部下たちは、みな、オレとおなじことを考えていたらしい。ところが…。
 

 「くっくっくっ…」

 首領は、なぜか、余裕を見せていた。
 そして、自信満々に言った。

 「かような戯言ざれごとで、我らの鉄の結束を崩せるとでも?」


 「いや、すでに、崩れてるんじゃないのか?」

 そう言って、部下たちに目をやると、みな、目を逸らした。
 いちおう、気まずいらしい。


 ここで、ライムまで突っ込んだ。

 「…まったく。この程度で崩れる結束など、最初から、あってないようなもんニャ!自己主張したがる奴が首領になってる時点で、暗部としての体裁をなしていないのニャ!」


 「「「「「「「「「「…くっ!」」」」」」」」」」


 ライムの正論で、さらに、動揺が走った。
 ここで、ようやく、首領が焦りだした。 
 

 「ね、猫ごときが生意気な!ニンゲンには、ニンゲンにしかわからぬ苦労があるのでゴザル!」
 「ふうーん。今度は、言い訳なのかニャ?みっともない奴なのニャ!」 

 「なんだとう。ゆ、許さんぞ!このクソ猫がっ!」
 「ふん。低レベル暗部がイキっても、ちっとも怖くないのニャ!」

 「ぐぬぬぬ…。言わせておけば、調子に乗りおって…。きさまにニンゲンの怖さを教えてやるでゴザル!」
 「こっちこそ、ほんとうの闘いというものを、教えてやるのニャ!ついて来いニャ!」
 「よかろう!おぬしの墓場へと案内するがよいでゴザル!」

 
 ようやく、話がまとまったので、みんなで、やや開けた場所に移動した。


 __それにしても…


 こいつら、聖女セシリアを暗殺しに来たんだよな?
 もう、すっかり忘れてるんじゃないんだろうか?

  
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