召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

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第21話

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 開けた場所に移動するなり、暗部たちが仕掛けてきた。

 「暗部十人衆、奥義!大車輪!」

 __ええっ!
 
 もう、奥義なのか?
 はしょりすぎの気もするけど、まあ、先を急いでいるから、ちょうどいいのか?
 
 
 暗部十人衆は、オレたちを囲んで、高速で回りはじめた。
 メリーゴランドのように、オレたちの周囲を、ぐるぐると回っているのだ。
 まさに、残像ができるほどの高速だった。

 「おお、なかなかやるのニャ!」
 「たしかに…、これはすごいな」

 素直に感心していると、高速回転する残像から、ナイフが、いっせいに撃ち出された。
 オレたちは、またたく間に逃げ場を失った。

 __ていうか

 そもそも、強固な結界に守られてからな。
 ナイフごときでは、逃げる必要もないけど…。
 
 「戦闘訓練開始ニャ!今回は、重力魔法を試してみるニャ!」
 「わかった」
  
 魔法をイメージすると、たちまち、足元が、ボウっと光った。
 その光は広がり、暗部たちの描いた円の『手前』で、ぴたりと止まった。
 
 「加重…」
 
 念じた瞬間。光を帯びた空間が歪んだ。
 同時に、飛来していたナイフが、地面に、へばりついた。

 「こ、これは…」
 「…な、なんと」
 「われらの、飛び道具を、たたき落としたというのでゴザルか!」
 
 残像が、動揺した。

 「…くっ、な、ならばっ!…で、ゴザル」

 さらに回転が加速され、ふたたびナイフが撃ち出される。
 ナイフの数も増えた。

 しかし、結果は同じ。
 光の中に入った瞬間、地面に埋まった。

 「「「「「「「…っ!」」」」」」」

 「…な、なんということで、ゴザル」
 「われらが、無敵の奥義が…」
 「かくも、たやすく…」
 「…破られるとは」

 残像が、あきらかに、うろたえていた。
  
 それでも、高速回転は止まらない。
 もしかすると、『奥義その2』があるのかもしれない。

 しかし、その前に、ライムがキレた。

 「ぐるぐる、目が回りそうなのニャ!押しつぶすニャ!」
 「しかたがないな…」

 オレは、重力魔法の範囲を拡張した。
 光が広がった瞬間、残像が、ぐにゃりとデフォルメされた。

 「「「「「「「「「「ぐええええ……」」」」」」」」」」

 暗部たちの、つぶれたような悲鳴があたりに響いた。
 すでに、回転は止まり、暗部たちは、『SD化』していた。


 「ミンチになっちまうぜ。そのくらいにしとけ…」
 「うわっ!マジで、エグいっすね」

 声に振り向くと、ケンイチさんたちがいた。
 ふたりとも、冒険者ふうの男を、引きずっている。
 男たちは、すでに意識はなく、顔がボコボコに膨れ上がって、手足が変な方に曲がっていた。

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