召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

文字の大きさ
20 / 25

第20話

しおりを挟む
 黒装束の男は、十人ほどいた。

 「ふん、身の程しらずの小僧でゴザったか…」
 「とかく、若いうちは、己を過信するもの…」
 「哀れな小僧でゴザる。すぐに、己の非力さを思い知るだろうに…」
 「…まったくで、ゴザるな」

 「なんだと?」

 オレは、思わず、眉をひそめた。
 しゃべったのは、ライムだろ。
 オレが語尾に『ニャ』つけてしゃべると思ってんのか?
 大丈夫なのか。こいつら…。
 
 
 不安を覚えたオレをよそに、首領と思しき黒装束が、朗々と名乗りを上げた。

 「われらは、王国暗部が十人衆……」

 「ちょっと待て」

 オレは、思わず、遮った。
 そして、率直にたずねた。
 
 「…暗部って、名乗るモンなのか?自己紹介する暗部なんて、聞いたこともないが」 



 「「「「「「「「「「……むっ!」」」」」」」」」」

 黒装束たちに、動揺がはしった。
 心当たりがあったらしい。
 
 
 「た、たしかに…、一理あるでゴザるな」
 「じつは、わしも、気になっていたでゴザる」
 「やはり、暗部が、正体をあかすなど、本末転倒…でゴザろうよ」
 「でも、かしらは、言い出すときかないでゴザルから…」
 
 ひそひそと、共感の声があがった。
 部下たちは、みな、オレとおなじことを考えていたらしい。ところが…。
 

 「くっくっくっ…」

 首領は、なぜか、余裕を見せていた。
 そして、自信満々に言った。

 「かような戯言ざれごとで、我らの鉄の結束を崩せるとでも?」


 「いや、すでに、崩れてるんじゃないのか?」

 そう言って、部下たちに目をやると、みな、目を逸らした。
 いちおう、気まずいらしい。


 ここで、ライムまで突っ込んだ。

 「…まったく。この程度で崩れる結束など、最初から、あってないようなもんニャ!自己主張したがる奴が首領になってる時点で、暗部としての体裁をなしていないのニャ!」


 「「「「「「「「「「…くっ!」」」」」」」」」」


 ライムの正論で、さらに、動揺が走った。
 ここで、ようやく、首領が焦りだした。 
 

 「ね、猫ごときが生意気な!ニンゲンには、ニンゲンにしかわからぬ苦労があるのでゴザル!」
 「ふうーん。今度は、言い訳なのかニャ?みっともない奴なのニャ!」 

 「なんだとう。ゆ、許さんぞ!このクソ猫がっ!」
 「ふん。低レベル暗部がイキっても、ちっとも怖くないのニャ!」

 「ぐぬぬぬ…。言わせておけば、調子に乗りおって…。きさまにニンゲンの怖さを教えてやるでゴザル!」
 「こっちこそ、ほんとうの闘いというものを、教えてやるのニャ!ついて来いニャ!」
 「よかろう!おぬしの墓場へと案内するがよいでゴザル!」

 
 ようやく、話がまとまったので、みんなで、やや開けた場所に移動した。


 __それにしても…


 こいつら、聖女セシリアを暗殺しに来たんだよな?
 もう、すっかり忘れてるんじゃないんだろうか?

  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜

最上 虎々
ファンタジー
ソドムの少年から平安武士、さらに日本兵から二十一世紀の男子高校生へ。 一つ一つの人生は短かった。 しかし幸か不幸か、今まで自分がどんな人生を歩んできたのかは覚えている。 だからこそ今度こそは長生きして、生きている実感と、生きる希望を持ちたい。 そんな想いを胸に、青年は五度目の命にして今までの四回とは別の世界に転生した。 早死にの男が、今まで死んできた世界とは違う場所で、今度こそ生き方を見つける物語。 本作は、「小説家になろう」、「カクヨム」、にも投稿しております。

処理中です...