召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳

文字の大きさ
21 / 25

第21話

しおりを挟む
 開けた場所に移動するなり、暗部たちが仕掛けてきた。

 「暗部十人衆、奥義!大車輪!」

 __ええっ!
 
 もう、奥義なのか?
 はしょりすぎの気もするけど、まあ、先を急いでいるから、ちょうどいいのか?
 
 
 暗部十人衆は、オレたちを囲んで、高速で回りはじめた。
 メリーゴランドのように、オレたちの周囲を、ぐるぐると回っているのだ。
 まさに、残像ができるほどの高速だった。

 「おお、なかなかやるのニャ!」
 「たしかに…、これはすごいな」

 素直に感心していると、高速回転する残像から、ナイフが、いっせいに撃ち出された。
 オレたちは、またたく間に逃げ場を失った。

 __ていうか

 そもそも、強固な結界に守られてからな。
 ナイフごときでは、逃げる必要もないけど…。
 
 「戦闘訓練開始ニャ!今回は、重力魔法を試してみるニャ!」
 「わかった」
  
 魔法をイメージすると、たちまち、足元が、ボウっと光った。
 その光は広がり、暗部たちの描いた円の『手前』で、ぴたりと止まった。
 
 「加重…」
 
 念じた瞬間。光を帯びた空間が歪んだ。
 同時に、飛来していたナイフが、地面に、へばりついた。

 「こ、これは…」
 「…な、なんと」
 「われらの、飛び道具を、たたき落としたというのでゴザルか!」
 
 残像が、動揺した。

 「…くっ、な、ならばっ!…で、ゴザル」

 さらに回転が加速され、ふたたびナイフが撃ち出される。
 ナイフの数も増えた。

 しかし、結果は同じ。
 光の中に入った瞬間、地面に埋まった。

 「「「「「「「…っ!」」」」」」」

 「…な、なんということで、ゴザル」
 「われらが、無敵の奥義が…」
 「かくも、たやすく…」
 「…破られるとは」

 残像が、あきらかに、うろたえていた。
  
 それでも、高速回転は止まらない。
 もしかすると、『奥義その2』があるのかもしれない。

 しかし、その前に、ライムがキレた。

 「ぐるぐる、目が回りそうなのニャ!押しつぶすニャ!」
 「しかたがないな…」

 オレは、重力魔法の範囲を拡張した。
 光が広がった瞬間、残像が、ぐにゃりとデフォルメされた。

 「「「「「「「「「「ぐええええ……」」」」」」」」」」

 暗部たちの、つぶれたような悲鳴があたりに響いた。
 すでに、回転は止まり、暗部たちは、『SD化』していた。


 「ミンチになっちまうぜ。そのくらいにしとけ…」
 「うわっ!マジで、エグいっすね」

 声に振り向くと、ケンイチさんたちがいた。
 ふたりとも、冒険者ふうの男を、引きずっている。
 男たちは、すでに意識はなく、顔がボコボコに膨れ上がって、手足が変な方に曲がっていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜

最上 虎々
ファンタジー
ソドムの少年から平安武士、さらに日本兵から二十一世紀の男子高校生へ。 一つ一つの人生は短かった。 しかし幸か不幸か、今まで自分がどんな人生を歩んできたのかは覚えている。 だからこそ今度こそは長生きして、生きている実感と、生きる希望を持ちたい。 そんな想いを胸に、青年は五度目の命にして今までの四回とは別の世界に転生した。 早死にの男が、今まで死んできた世界とは違う場所で、今度こそ生き方を見つける物語。 本作は、「小説家になろう」、「カクヨム」、にも投稿しております。

処理中です...