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第六章 試練編
第209話 エストの出自を知る
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俺は一度茶をすすった。
エアはさっきからチョコレートの包みを開く手の動きが止まらない。味覚や感情を知って間もないエアにとっては、甘い食べ物は麻薬みたいなものだろう。特にこの部屋で自動生成されるチョコレートは、この世界のどの食べ物よりも甘くておいしい。
どうせこの部屋を出ればカロリーは消え去るのだから、いまは好きなだけ食べればいい。
「まずは君が元の世界に帰れるかどうかだけれど、結論を言うと、帰れない」
「マジか……」
それ以上は言葉が出てこなかった。
元の世界に未練はない。いい思い出なんてない。むしろ嫌な思い出しかない。
だが、帰れないと分かっていたら、この世界でこんなに雑な生き方はしなかっただろう。
「なぜ帰れないか、それを知りたいだろうね。まずはこれを見るんだ」
ネアが卓上鏡を出現させた。
俺はそれを覗き込んだが、自分が映っているだけだ。
「これが何だと言うんだ? これはアレか? 真実を映し出す鏡、みたいなものか?」
「逆だよ。それは嘘を映し出す鏡さ。真実を映し出す鏡じゃ分からないこともある」
嘘を映し出す、だと? そんな馬鹿な。ここに映っているのは紛れもなく俺自身だ。
たしかに俺の着ている服が、いま着ているものとは違う。元の世界の学校制服だ。そんな子供のいたずら程度の嘘を映し出されても、俺は何も感じない。
「これが何だっていうんだ」
「服の違いには気づいたようだけれど、真実には気づいていないようだね。鏡が映し出した嘘は、君が着ている服じゃない。君の記憶にある当時の君自身だ。つまり、君の記憶にある元の世界なんて存在しないんだよ。帰ろうにも帰る先が存在しないから帰れない」
「なにっ!? そんな馬鹿なことがあるか! だって、俺はあのとき、確かに……」
俺にはこの世界に来る前の記憶がある。作られた記憶とは思えない鮮明な記憶が。
「君は召喚されたんじゃない。創造されたんだ。神によってね。その際、君には異世界の記憶が与えられた。その記憶の直近部分は君の脳内で再生されたから、その部分の記憶は他よりも鮮明なものとなっている」
「そんな……」
動揺する俺だが、覚悟はあった。俺と同じ境遇のダースから神に会ったときの話を聞いたときだ。
俺もダースと同じだという可能性は十分に考えられたし、実際にそうだったわけだ。
「君の実際の年齢はゼロ歳だ。もっと言うと、ほかの人間もイーターも動植物もすべてがゼロ歳だ。この世界の物質、生命、摂理、それらすべてが神によって作られたものだし、作られたばかりなんだ」
世界の創造についてもダースから聞いていた。だが半信半疑だった。
いや、待て。ゼロ歳という話は聞いていなかったぞ。
過去の記憶に苦悩する者をたくさん見てきた。そういった者たちの記憶も含め、すべて作り物だというのか。
なんたる虚構……。
これはとうてい受け入れられない。
なにが最強を目指すだ。小さい箱庭で勝ち残ったにすぎないのに、そうとも知らず、いい気になっていた。
栓を抜いた風呂のように、俺の中身がどんどん流れ出して空になっていく。
ネアが咳払いを一つして、エアがお菓子の包みを開く手を止めた。
「唯一、ただ一つだけ、この世界において神が創っていないものがある。それが紅い狂気だ。神が狂気の支配者の記憶を有するがゆえに、狂気の種子が勝手に根付いてしまった」
俺たちの過去は偽物だが、厄介なことに、現在と未来は本物なのだ。
「もう世界ごと消しちまえばいいじゃねーかよ。神がゼロから創ったものなんだったら、消してゼロに戻しちまえよ」
「神はこの世界を破壊することはできても、消すことはできない。破壊するだけでは狂気は残ってしまうだろう。この世界を完全に消すことができるのは『消の支配者』だけだ。じゃあ『消の支配者』に消してもらえばいい? 頼めば消してくれるだろう。そして、神も消そうとするだろう。危険なものを生み出す危険な存在として。二人が争えば、神の世界は再び大戦争となる。それは避けなければならない。だから君たちに紅い狂気を倒してもらうしかないんだ」
「ついていけねーよ。神が消されればいいんじゃねえの?」
「それは駄目だ。創造者が消えて消す者だけが残れば、あとはどうなるか分かるだろう?」
「そんなこと、知らん。俺には関係ない」
「そうだね。神の世界のことは君には関係ない。君に関係のあるこの世界の話に戻そう。君が神の選択をすることはできないのだから、君は紅い狂気と戦うかどうかを選択するしかないんだ」
選択肢になっていない。戦わなければ世界は地獄に変わるだろう。
死ぬこともできず、生きたままあらゆる責め苦を受けつづける、リアルな地獄。悲惨すぎる。
「戦うしかねえじゃねーか。でも勝てねえぞ。神って奴は俺なんかよりよっぽどゲスだぜ」
紅い狂気との決戦を控え、俺はまさかの無気力状態に陥ってしまった。
こうなってしまっては、もう紅い狂気には勝てない。
「そうだね、いまの君では勝てない。能力面でも足りないけれど、いちばんの問題は君の精神だ。真実を教えないほうがいいかとも思ったけれど、君が真実を知った上で克服しなければ、紅い狂気にはきっと勝てない」
「克服? 無理だ。全部が偽物じゃねえかよ」
俺は目の前の菓子の皿に手を叩きつけた。菓子が派手に跳ね上がるかと思ったが、皿ごと一瞬で消失した。
そう、これも偽物なのだ。これと同じで俺も、エアも、ほかのみんなも、世界も、すべてが偽物だ。
「エスト」
いままで言葉を発しなかったエアが、俺に声をかけてきた。
俺がエアの方を振り向くと、包み紙を取ったチョコレートが手のひらに載っていた。それを俺の方へ差し出してくる。
励ましているつもりだろうか。偽物なのはエアも同じだ。
「私は精霊から人成して人間になれた瞬間の感動をいまも覚えているよ。本物とか偽物とか、私にとってはどうでもいい。精霊だったころの私は、偽物ではなく本物の精霊だった。いまの私は偽物ではなく本物の人成した人間。そう思っているけれど、それをすべて本物ではなく偽物だと言われても私は気にしない。私にとって大事なのは、精霊としての務めを果たし、人成したという事実だけ」
俺はエアのチョコレートを手に取り、そっと口の中に入れた。
これはミルクチョコレートだ。柔らかい甘味が口の中全体にブワッと広がり、幸福感が脳天まで突き上げる。
ネアもチョコレートの包みを剥がしはじめた。しかしその視線は俺の方を直視している。
「そのとおり。すべてが偽物ではない。エアが人成した事実は本物だ。エスト、たしかに君の過去は偽物だけれど、君のこの世界での記憶はすべて本物だ。君の意思で選択し、行動し、その結果として世界はいまの状況に至った。この世界という存在は本物だ。紅い狂気が本物になりたくて『生の支配』に触れたがっているが、この世界はその『生の支配』の力で生み出された世界なんだ。この世界は本物だよ。そして、キミはゲス・エストとして本物だ」
ネアが包みを解いたチョコレートを手のひらに載せて俺に差し出した。エアとまったく同じポーズで、エアと同じチョコレートを。菓子はたくさんあるし、チョコレートの種類もいくつかあるのに、エアとまったく同じチョコレートをよこしてきた。
俺はそれを取り、自分の口に放り込んだ。咀嚼すればするほど、優しい甘味が俺を包み込む。
「ああ、おいしいよ。でもエアのほうがおいしかった」
軽く憎まれ口を叩いてみて、ネアがどんな反応をするかと様子をうかがったが、意外にもネアは嬉しそうに笑った。
「そうだろう? それは間違いなく君が本物である証だ。人間は感情に味覚すら左右される繊細な生き物だし、失意の底にある君でも、味覚に影響を及ぼすほどに感情が動いている」
「それだけ精巧に作られたってだけだろう」
「本物と違わないなら、もはやそれは本物ではないかい? 納得できないならそれでもいい。エアのように割り切るのも一つだ。おっと、君よりエアのほうが人としての生き方がうまいようだね」
俺はまだ消えていなかった茶を手に取った。陶器のコップ越しに茶の暖かい温度が手に伝わってくる。
俺は自分が偽物であることを無理に探しているのではないかと気づいた。茶をすすり、喉を潤す。
仮に自分の存在が偽物だったとして、何か不都合があるのだろうか。
「分かった。じっくり考えさせてくれ……。今日得た情報は重すぎる。飲み込むのに時間がかかる。自分の存在意義を見失った。自分の気持ちを見失った。本物の定義すら見失った。うまく飲み込めないかもしれない。だが、立ち直れるように善処する」
ネアは微笑んでチョコレートを自分でも頬張った。ガリガリと噛み砕き、力強く飲み込んだ。
「そうしてくれ。ただし、猶予はあんまりない。早めに頼むよ。君には守りたいものがあるはずだ。言葉だけの理解ではなく、真にそれを自覚すれば、君は僕の言ったことを理解できるだろう。その一助を兼ねて、君に試練を与える」
話の毛色がガラリと変わった。
俺が前向きに進めそうだと踏んで、一気に本題に入ったように思えた。
「試練?」
「そうだ。紅い狂気と対等に戦うために君の戦闘力を上げるための試練だ」
どうやらここからが神が俺を呼んだ本当の理由らしい。
気の抜けていた俺の心もネアが突如として醸し出した神々しい雰囲気に呑まれたか、そこそこ気が引き締まった。
「分かった。だが、その前に一つだけ訊かせろ。神はなぜこの世界を創った? 暇つぶしか? 興味本位か?」
「理想の世界の在り方を追求するため」
ネアは即座に言いきった。それはそこに固い意志があることを感じさせた。
「いちおうまともな理由があって安心した。試練の話を続けてくれ」
エアはさっきからチョコレートの包みを開く手の動きが止まらない。味覚や感情を知って間もないエアにとっては、甘い食べ物は麻薬みたいなものだろう。特にこの部屋で自動生成されるチョコレートは、この世界のどの食べ物よりも甘くておいしい。
どうせこの部屋を出ればカロリーは消え去るのだから、いまは好きなだけ食べればいい。
「まずは君が元の世界に帰れるかどうかだけれど、結論を言うと、帰れない」
「マジか……」
それ以上は言葉が出てこなかった。
元の世界に未練はない。いい思い出なんてない。むしろ嫌な思い出しかない。
だが、帰れないと分かっていたら、この世界でこんなに雑な生き方はしなかっただろう。
「なぜ帰れないか、それを知りたいだろうね。まずはこれを見るんだ」
ネアが卓上鏡を出現させた。
俺はそれを覗き込んだが、自分が映っているだけだ。
「これが何だと言うんだ? これはアレか? 真実を映し出す鏡、みたいなものか?」
「逆だよ。それは嘘を映し出す鏡さ。真実を映し出す鏡じゃ分からないこともある」
嘘を映し出す、だと? そんな馬鹿な。ここに映っているのは紛れもなく俺自身だ。
たしかに俺の着ている服が、いま着ているものとは違う。元の世界の学校制服だ。そんな子供のいたずら程度の嘘を映し出されても、俺は何も感じない。
「これが何だっていうんだ」
「服の違いには気づいたようだけれど、真実には気づいていないようだね。鏡が映し出した嘘は、君が着ている服じゃない。君の記憶にある当時の君自身だ。つまり、君の記憶にある元の世界なんて存在しないんだよ。帰ろうにも帰る先が存在しないから帰れない」
「なにっ!? そんな馬鹿なことがあるか! だって、俺はあのとき、確かに……」
俺にはこの世界に来る前の記憶がある。作られた記憶とは思えない鮮明な記憶が。
「君は召喚されたんじゃない。創造されたんだ。神によってね。その際、君には異世界の記憶が与えられた。その記憶の直近部分は君の脳内で再生されたから、その部分の記憶は他よりも鮮明なものとなっている」
「そんな……」
動揺する俺だが、覚悟はあった。俺と同じ境遇のダースから神に会ったときの話を聞いたときだ。
俺もダースと同じだという可能性は十分に考えられたし、実際にそうだったわけだ。
「君の実際の年齢はゼロ歳だ。もっと言うと、ほかの人間もイーターも動植物もすべてがゼロ歳だ。この世界の物質、生命、摂理、それらすべてが神によって作られたものだし、作られたばかりなんだ」
世界の創造についてもダースから聞いていた。だが半信半疑だった。
いや、待て。ゼロ歳という話は聞いていなかったぞ。
過去の記憶に苦悩する者をたくさん見てきた。そういった者たちの記憶も含め、すべて作り物だというのか。
なんたる虚構……。
これはとうてい受け入れられない。
なにが最強を目指すだ。小さい箱庭で勝ち残ったにすぎないのに、そうとも知らず、いい気になっていた。
栓を抜いた風呂のように、俺の中身がどんどん流れ出して空になっていく。
ネアが咳払いを一つして、エアがお菓子の包みを開く手を止めた。
「唯一、ただ一つだけ、この世界において神が創っていないものがある。それが紅い狂気だ。神が狂気の支配者の記憶を有するがゆえに、狂気の種子が勝手に根付いてしまった」
俺たちの過去は偽物だが、厄介なことに、現在と未来は本物なのだ。
「もう世界ごと消しちまえばいいじゃねーかよ。神がゼロから創ったものなんだったら、消してゼロに戻しちまえよ」
「神はこの世界を破壊することはできても、消すことはできない。破壊するだけでは狂気は残ってしまうだろう。この世界を完全に消すことができるのは『消の支配者』だけだ。じゃあ『消の支配者』に消してもらえばいい? 頼めば消してくれるだろう。そして、神も消そうとするだろう。危険なものを生み出す危険な存在として。二人が争えば、神の世界は再び大戦争となる。それは避けなければならない。だから君たちに紅い狂気を倒してもらうしかないんだ」
「ついていけねーよ。神が消されればいいんじゃねえの?」
「それは駄目だ。創造者が消えて消す者だけが残れば、あとはどうなるか分かるだろう?」
「そんなこと、知らん。俺には関係ない」
「そうだね。神の世界のことは君には関係ない。君に関係のあるこの世界の話に戻そう。君が神の選択をすることはできないのだから、君は紅い狂気と戦うかどうかを選択するしかないんだ」
選択肢になっていない。戦わなければ世界は地獄に変わるだろう。
死ぬこともできず、生きたままあらゆる責め苦を受けつづける、リアルな地獄。悲惨すぎる。
「戦うしかねえじゃねーか。でも勝てねえぞ。神って奴は俺なんかよりよっぽどゲスだぜ」
紅い狂気との決戦を控え、俺はまさかの無気力状態に陥ってしまった。
こうなってしまっては、もう紅い狂気には勝てない。
「そうだね、いまの君では勝てない。能力面でも足りないけれど、いちばんの問題は君の精神だ。真実を教えないほうがいいかとも思ったけれど、君が真実を知った上で克服しなければ、紅い狂気にはきっと勝てない」
「克服? 無理だ。全部が偽物じゃねえかよ」
俺は目の前の菓子の皿に手を叩きつけた。菓子が派手に跳ね上がるかと思ったが、皿ごと一瞬で消失した。
そう、これも偽物なのだ。これと同じで俺も、エアも、ほかのみんなも、世界も、すべてが偽物だ。
「エスト」
いままで言葉を発しなかったエアが、俺に声をかけてきた。
俺がエアの方を振り向くと、包み紙を取ったチョコレートが手のひらに載っていた。それを俺の方へ差し出してくる。
励ましているつもりだろうか。偽物なのはエアも同じだ。
「私は精霊から人成して人間になれた瞬間の感動をいまも覚えているよ。本物とか偽物とか、私にとってはどうでもいい。精霊だったころの私は、偽物ではなく本物の精霊だった。いまの私は偽物ではなく本物の人成した人間。そう思っているけれど、それをすべて本物ではなく偽物だと言われても私は気にしない。私にとって大事なのは、精霊としての務めを果たし、人成したという事実だけ」
俺はエアのチョコレートを手に取り、そっと口の中に入れた。
これはミルクチョコレートだ。柔らかい甘味が口の中全体にブワッと広がり、幸福感が脳天まで突き上げる。
ネアもチョコレートの包みを剥がしはじめた。しかしその視線は俺の方を直視している。
「そのとおり。すべてが偽物ではない。エアが人成した事実は本物だ。エスト、たしかに君の過去は偽物だけれど、君のこの世界での記憶はすべて本物だ。君の意思で選択し、行動し、その結果として世界はいまの状況に至った。この世界という存在は本物だ。紅い狂気が本物になりたくて『生の支配』に触れたがっているが、この世界はその『生の支配』の力で生み出された世界なんだ。この世界は本物だよ。そして、キミはゲス・エストとして本物だ」
ネアが包みを解いたチョコレートを手のひらに載せて俺に差し出した。エアとまったく同じポーズで、エアと同じチョコレートを。菓子はたくさんあるし、チョコレートの種類もいくつかあるのに、エアとまったく同じチョコレートをよこしてきた。
俺はそれを取り、自分の口に放り込んだ。咀嚼すればするほど、優しい甘味が俺を包み込む。
「ああ、おいしいよ。でもエアのほうがおいしかった」
軽く憎まれ口を叩いてみて、ネアがどんな反応をするかと様子をうかがったが、意外にもネアは嬉しそうに笑った。
「そうだろう? それは間違いなく君が本物である証だ。人間は感情に味覚すら左右される繊細な生き物だし、失意の底にある君でも、味覚に影響を及ぼすほどに感情が動いている」
「それだけ精巧に作られたってだけだろう」
「本物と違わないなら、もはやそれは本物ではないかい? 納得できないならそれでもいい。エアのように割り切るのも一つだ。おっと、君よりエアのほうが人としての生き方がうまいようだね」
俺はまだ消えていなかった茶を手に取った。陶器のコップ越しに茶の暖かい温度が手に伝わってくる。
俺は自分が偽物であることを無理に探しているのではないかと気づいた。茶をすすり、喉を潤す。
仮に自分の存在が偽物だったとして、何か不都合があるのだろうか。
「分かった。じっくり考えさせてくれ……。今日得た情報は重すぎる。飲み込むのに時間がかかる。自分の存在意義を見失った。自分の気持ちを見失った。本物の定義すら見失った。うまく飲み込めないかもしれない。だが、立ち直れるように善処する」
ネアは微笑んでチョコレートを自分でも頬張った。ガリガリと噛み砕き、力強く飲み込んだ。
「そうしてくれ。ただし、猶予はあんまりない。早めに頼むよ。君には守りたいものがあるはずだ。言葉だけの理解ではなく、真にそれを自覚すれば、君は僕の言ったことを理解できるだろう。その一助を兼ねて、君に試練を与える」
話の毛色がガラリと変わった。
俺が前向きに進めそうだと踏んで、一気に本題に入ったように思えた。
「試練?」
「そうだ。紅い狂気と対等に戦うために君の戦闘力を上げるための試練だ」
どうやらここからが神が俺を呼んだ本当の理由らしい。
気の抜けていた俺の心もネアが突如として醸し出した神々しい雰囲気に呑まれたか、そこそこ気が引き締まった。
「分かった。だが、その前に一つだけ訊かせろ。神はなぜこの世界を創った? 暇つぶしか? 興味本位か?」
「理想の世界の在り方を追求するため」
ネアは即座に言いきった。それはそこに固い意志があることを感じさせた。
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