離婚したので冒険者に復帰しようと思います。

黒蜜きな粉

文字の大きさ
107 / 151
行方不明

10

しおりを挟む
 ライラが殴った冒険者は、彼の背後にいたもう一人の男を巻き込んで吹き飛んでいった。残りの三人の冒険者は、エリクが容赦なく斬り捨ててしまう。
 五人の冒険者は、あっという間にそろって仲良く地面に倒れ込んでしまった。

「……あら、ずいぶんあっさりとやられてくれるのね。瘴気に操られているといっても、そんなに強くはないのかしら?」

「油断しないでください。こいつらは再生力が半端ないので、ここからが厄介ですよ」

 エリクがそう説明してくれている間に、冒険者たちが人間とはかけ離れた動きをしながら立ち上がる。
 ライラが吹き飛ばした際に腕や足があり得ない方向に曲がっていたはずだが、そんなことは関係ないらしい。

「死霊魔術のようなものです。再生が追いつかない速さで粉々にするか、術者を動けなくするしかありません」

「ええ、それってすごく面倒なやつじゃない。どうせこいつらを倒したって、他の行方不明者が現れるだけなのでしょう?」

 再びこちらに襲い掛かってくる冒険者に向かって、ライラは手を伸ばす。

「こんなやつらを一人ずつ相手にするのは面倒だわ」

 ライラは冒険者たちをまとめて凍らせた。全身を覆っている氷ごと砕いてしまえば、バラバラにできると思ったのだ。

「……よし! これならさすがに再生できないでしょ?」

 ライラはすっかり凍って動けなくなっている冒険者に近づいて拳を振り上げた。
 
「――――っ危ない!」

 ライラの拳が氷に触れる直前、エリクが叫んだ。

「ええ! ちょっと、何よこれ⁉」

 ライラが氷漬けにした冒険者たちが、あっという間に瘴気の黒い霧に覆われてしまった。
 すると、瞬時に氷が溶けてなくなってしまったのだ。

 ライラは何が起きたのかは理解できなかったが、慌ててその場から退く。しかし、氷を溶かした瘴気が手のように伸びてきて、逃げるライラを追いかけてくる。

「ああ、せっかくバラバラにできると思ったのに!」

 氷がなくなったので、冒険者たちが動きだしたのが視界の端に見えた。
 ライラが冒険者たちに気を取られていると、瘴気で出来た黒い手が一気にこちらに伸びてくる。
 黒い手が身体に絡みつこうとしてきたので、ライラは咄嗟にナイフで切った。しかし、切られたところからすぐに新たな黒い手が生えてきて、足を掴まれてしまう。

 ライラが動けなくなった一瞬の隙に、五人の冒険者が襲ってくる。
 ライラは一撃食らう覚悟をしたが、そこへエリクが駆け付けてきてくれた。彼は先ほどのように冒険者の身体を斬り捨てるが、すぐに再生して襲いかかってくる。

「……っ本当に面倒くさい連中ね!」

 ライラはそう言いながら、足を拘束している黒い腕を切り落とした。
 
「キリがありません。こいつらの相手は私がするので、ライラ殿は瘴気を操っているあの女をどうにかしてください。でないと私は長くこの場にいられません」

 エリクは服の裾で口を塞いでいる。
 彼は呼吸を浅くして瘴気を吸い込まないようにしていた。

「ええ、そうするわ。このままじゃアヤちゃんだって危ないもの」

 ライラはエセリンドに向かってナイフを構える。一瞬で彼女の目の前に移動してナイフを突き立てた。しかし、手ごたえはまったくなかった。
 エセリンドの身体は霧のように消えてしまう。ライラはナイフを構えた姿勢のまま、彼女の姿を探す。
しおりを挟む
感想 248

あなたにおすすめの小説

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...