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番外編・9
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「………………………………………えーっと、もう一度言っていただけますか?」
ソフィアの視線が冷たい。
呆気に取られていた表情が、あっという間に怒りに変わっていく。
「――っだ、だから! 魔術師が恐ろしいのだ。だって、何もないところに物を生み出したりできるのだぞ。私にはまったく理解ができない!」
「…………んー。それはつまり、自分には理解の及ばないことをする存在だから魔術師は恐ろしいと?」
「そ、そうだ。頼りになるのはわかる! だが、自分に理解できないことは恐ろしいじゃないか。そんなにおかしなことを言っているか?」
「……ほう、おっしゃりたいことはわかりましたわ。もしかして、旦那さまが魔術攻撃に対する備えが万全なのは、恐れの表れなのでしょうか?」
イーサンは怒りに満ちたソフィアの目を見つめ返しながら、ぎこちなく頷いた。
「――っ痛! な、何をする⁉」
ソフィアがイーサンのおでこを指ではじいた。いつもよりも勢いが強い気がする。
あまりの痛みにおもわず声を出してしまった直後、頬を両手で挟まれた。ぐいぐいと手のひらで頬を押されて顔が歪む。
「まさかなのですけれど……。まさかとは思うのですけれど!」
ソフィアがイーサンの顔を覗き込んで、至近距離で睨みつけてくる。
「私からちょこまかと逃げ回っていたのは魔術師が怖かったから、なんておっしゃいませんわよねえ?」
「…………うう、だって。恐ろしいと思う気持ちはそう簡単には変えられなくて……」
イーサンの返事を聞いたソフィアは、がっくりと肩を落として項垂れた。
「………………こんなアホみたいな理由で私はどれだけ悩んだのか。言いたいことは沢山ありますけれど、すべて吹き飛んでしまいましたわ」
ソフィアはイーサンから手を離すと、自分の顔を手で覆った。そのまま彼女の身体が小刻みに震え出す。
「ど、どうしたのだ。具合が悪くなったのか?」
「…………いいえ。正直におっしゃっていただけて嬉しいですわ」
ソフィアが顔を覆いながら小さな声で言った。
「では、私のことが嫌で逃げ回っていたのではないのですよね? 魔術師だから怖かっただけなのですよね……」
「き、君のことは最初から好ましいと思っている。ただ魔術師だと思うと抵抗があっただけで、今は素晴らしい人物だと敬意を持っている。本当に私にはもったいないと……」
「私の見た目だとか、仕草だとか、そういうことは避けていた理由とは関係ないのですよね?」
ソフィアが顔を上げた。
視線の合った彼女の目からは涙が溢れていた。
「な、何故そんなことを気にするのだ? どうして泣いている?」
「………………はあ、力が抜けたら涙くらい出てきますわよ」
「そ、そうなのか? それは謝ったら泣き止むものなのか? 私はどうしたらいい?」
イーサンが慌てだすと、ソフィアの涙がぴたりと止まった。
彼女は再び呆気にとられた顔をすると、じとっとした目で見つめてくる。
「私は周囲に魔術師しかいないという環境で育ちました。ですから、まさかそういうお考えをお持ちだったとはまったく思いもしませんでしたのよ」
ソフィアはそう言ってから破顔した。
それから腹を抱えて笑い転げてしまった。
ソフィアの視線が冷たい。
呆気に取られていた表情が、あっという間に怒りに変わっていく。
「――っだ、だから! 魔術師が恐ろしいのだ。だって、何もないところに物を生み出したりできるのだぞ。私にはまったく理解ができない!」
「…………んー。それはつまり、自分には理解の及ばないことをする存在だから魔術師は恐ろしいと?」
「そ、そうだ。頼りになるのはわかる! だが、自分に理解できないことは恐ろしいじゃないか。そんなにおかしなことを言っているか?」
「……ほう、おっしゃりたいことはわかりましたわ。もしかして、旦那さまが魔術攻撃に対する備えが万全なのは、恐れの表れなのでしょうか?」
イーサンは怒りに満ちたソフィアの目を見つめ返しながら、ぎこちなく頷いた。
「――っ痛! な、何をする⁉」
ソフィアがイーサンのおでこを指ではじいた。いつもよりも勢いが強い気がする。
あまりの痛みにおもわず声を出してしまった直後、頬を両手で挟まれた。ぐいぐいと手のひらで頬を押されて顔が歪む。
「まさかなのですけれど……。まさかとは思うのですけれど!」
ソフィアがイーサンの顔を覗き込んで、至近距離で睨みつけてくる。
「私からちょこまかと逃げ回っていたのは魔術師が怖かったから、なんておっしゃいませんわよねえ?」
「…………うう、だって。恐ろしいと思う気持ちはそう簡単には変えられなくて……」
イーサンの返事を聞いたソフィアは、がっくりと肩を落として項垂れた。
「………………こんなアホみたいな理由で私はどれだけ悩んだのか。言いたいことは沢山ありますけれど、すべて吹き飛んでしまいましたわ」
ソフィアはイーサンから手を離すと、自分の顔を手で覆った。そのまま彼女の身体が小刻みに震え出す。
「ど、どうしたのだ。具合が悪くなったのか?」
「…………いいえ。正直におっしゃっていただけて嬉しいですわ」
ソフィアが顔を覆いながら小さな声で言った。
「では、私のことが嫌で逃げ回っていたのではないのですよね? 魔術師だから怖かっただけなのですよね……」
「き、君のことは最初から好ましいと思っている。ただ魔術師だと思うと抵抗があっただけで、今は素晴らしい人物だと敬意を持っている。本当に私にはもったいないと……」
「私の見た目だとか、仕草だとか、そういうことは避けていた理由とは関係ないのですよね?」
ソフィアが顔を上げた。
視線の合った彼女の目からは涙が溢れていた。
「な、何故そんなことを気にするのだ? どうして泣いている?」
「………………はあ、力が抜けたら涙くらい出てきますわよ」
「そ、そうなのか? それは謝ったら泣き止むものなのか? 私はどうしたらいい?」
イーサンが慌てだすと、ソフィアの涙がぴたりと止まった。
彼女は再び呆気にとられた顔をすると、じとっとした目で見つめてくる。
「私は周囲に魔術師しかいないという環境で育ちました。ですから、まさかそういうお考えをお持ちだったとはまったく思いもしませんでしたのよ」
ソフィアはそう言ってから破顔した。
それから腹を抱えて笑い転げてしまった。
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