女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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歩きながら食うのは嫌

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 筋肉ハゲに木札を預け、地図を確認して外に出る。
向かった先には広場があって、食料や雑貨の屋台が並んでる。田舎者に人混みは辛いが推して参る。

(クリープして人にぶつからない様に逃げる。害意のある行動を全て躱し、美味いもん食わせる露店に移動)

スケートよろしくスーッと蹴り出すと人を避けながら五メートルくらい滑って行くので美味い露店に着くまで繰り返す。これだけ混んでりゃ足元なんて見てられないよな。
何人か目付きの悪い男が近寄って来たが、どいつもこいつも一目で悪さしようとしてるってのがバレバレ。躱されて驚いてる。

「スりをするならもっと腕を磨けよー」

注目される馬鹿スリの殆どがその辺の人に捕まって喚いてた。

 スルスル人を掻き分けていると食い物の露店の前で減速した。多分ここが美味い店のはず。覗いてみよう。

「いらっしゃいらっしゃー。一つたったの二百五十ヤンでお腹いっぱいだよー」

比較的若そうな女がちょっと気だるげに売り声を上げていた。
女子ならなーってサイズの、野菜などを巻いた白っぽい生地の食べ物が売られている。
金も無いし一つにしとくか。

「一つ買うよ」

「お、まいど!二百五十ヤンね」

「銅貨三枚で良いか?」

「全然!鉄貨は嵩張るし今はいっぱいあるから銅貨で良いよ」

お釣りはちゃんと集めておいた方が良いと思うが…。

「じゃあ銅貨三枚な。これ、量を増やすとかして銅貨三枚で売った方が鉄貨にならなくて良いんじゃないの?」

「はいこれ、日持ちしないから早く食べてね。
量を増やすと食べきれないじゃない?」

女子的にはそうなのだろうな。

「なら質を上げるとか、肉増してみたり」

「それならありかもね!工夫してみるよ」

「儲かる事を祈ってるよ」

「まいどありー」

歩きながら食うのは嫌なので広場から離れギルドからも離れ、門に向かう。移動した限りでしか見てないが、この街ベンチがないんだよな。
門のすぐ外が草原状態だったのでそこで食う。ついでに採取も行ける。

 さっきの門兵が居た。
だらけているが、それが平和と言うものか。

「冒険者登録してきたぞ」

「お、ちゃんとタダだったろ?」

「まあな。ここの仮発行代で足が出そうだから飯食ったら一狩りしてくる予定だ」

「貴重な税収カンシャニタエン」

「じゃあ行ってくる。扉はいつ閉めるんだ?」

「日が沈んだら閉めるんだが貴族や商隊はその都度開けてやらにゃならん」

「閉める前には帰るよ。じゃー」

一般人には開放してくれないなら早目に済ませなきゃな。座ってゆっくり食いたかったが仕方ない。
走る振りして移動して草原に、人気が無くなったら素早く飛んで森に向かおう。

 移動しながらの食事は多少食べにくかったがそれなりに美味しく頂けた。葉物などの野菜と塩と酸味と薄いナンみたいな生地。地球で食った事あった気がするが忘れてしまった。次は肉増しで頼む。

 人気の無いのを確認し、かなりの速度で飛び上がる。

(こちらを確認できる人が居ない場合、倍の加速で上昇。高度五百メートルに達したら森で一番収穫量の多いウロの実の群生地に移動。その場に人が居た場合次の候補地に移動。居なければ減速下降してクリープ)

上手く飛べた。時間が惜しいので目を開けられるギリギリの速さで飛ぶ。寒い!
おしっこを我慢し森に到着。昨夜の場所では無さそうだがそれなりに拓けた草地に降り立った。

(おしっこ中にモンスターに襲われたらバカみたいだし、我慢我慢…)

石二つをジャンパーの左ポケットに追いやり、右ポケットにウロの実を詰め込んで行く。
右の膝上ポケットと共にパンパンにしてやった。

(さすがに限界!高度千メートルまで上昇してクリープ!)

黄色い雨は地上に降り注ぐ事無く空に霧散した。

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