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工具は武器屋で買う
しおりを挟む街に来た俺達三人は武器屋に来ている。
「バトルハンマー?そんなモンここじゃ売れねぇから作ってねえよ」
重いだけの武器は海で使えないと言う。海のある街ならではの理由だ。
「ぶっちゃけ掛矢でも良いんだが」
「何だ?お前ぇ家でも建ててんのか」
「家は出来たんだが外階段を作り忘れてな。後、窓もドアも無い」
「鉄で良いなら蝶番と釘はあるぞ。掛矢は左の奥にある」
「小さいハンマーはあるか?」
「お前ぇどうやって家建てたんだ?」
「主に魔法とスキルでな」
「魔法で家が建つなら大工は必要ねぇな」
「大工の知識も技量も大切だぞ」
「お前ぇ、分かってんじゃねーか。これも買ってけ」
掛矢、蝶番十個、鉄釘五十本、ハンマー、そして鎹を百本も買わされた。重い!
流石にこれ持って二人を運ぶのは無理なので、二人が風呂に入ってる間に一度戻る事にした。掛矢を持って来た俺を見たババァが冷や汗かいてた。
急いで帰って戻って来たが、まだ二人は出てないそうで俺も風呂に入れた。きっと気を使って長湯してくれたのだろう。愛い奴らめ。
風呂でまったり建築について考える。ドアの鍵どうしよう、とか、窓ガラスどうしよう、とか。
ドアは鍵付きのユニットを買うしかないかなー。窓も一緒に買って値下げの交渉に使うか。それより何処に売ってるか、だよなー。
まあ、ギルドに行けば教えてくれるだろ。
ちゃんと教えてくれました。ギルド有能だな、馬鹿も居るけど。
で、街の真ん中にある建築ギルドにやって来た。冒険者ギルドと違って家屋の並びにあるこじんまりとした建物だ。
売り物がデカいから商品が置けないからか…と思ったが、ギルド加盟者が各々個人の店を持っていて、ギルドは依頼に適う店を斡旋してくれるインフォメーション的な役割を担う施設なのだそうだ。
受付のおばちゃんに要件を伝えるとパラパラっと名簿を捲り、ここが良いわと別紙に依頼書と行き先を書いてくれた。紙と案内料で千ヤン。街には紙が売ってないので裏はメモ書きに使おう。
教えて貰った店は所謂建具屋だそうで、窓やドアの他にクローゼット等の木製品を得意としているそうな。
「いらっしゃい。何か入り用で?」
ガタイの良い逆モヒカンの親父が意外と丁寧な態度で接客してきた。
「家を建ててる最中なのだが窓とドアを作って貰いたい」
「サイズは如何しましょう」
「ドアは俺が屈まず入れるだけあれば良い。ドア自体は作れるのだが、ノブや鍵が作れなくてな」
「成程」
「それと窓だが、そっちは全くの無知なので匠の手に頼らざるを得ない」
「因みに、どう言った造りの家で?」
「丸太を組んだ物だ」
「昔ながらの製法ですな、趣深い」
窓のサイズと予算と納期を話し合い、まずはドアを優先し、窓はその後作る事になった。ドアは明日一枚、残りは四日後。窓はそれから十日後の納期となった。ドア五つと窓四つ、小窓一つで金貨九枚。
ついでに箪笥やクローゼットを見せてもらい、構造を把握する。プロは凄いな。
帰りに道具屋でランタン二つと油を買い、ちょっと早目の夕食を食べて帰った。
イゼッタが嬉しがって居る。明日、ドアを付ければ《ほぼ家》が《家》になるからな。
「子種子種~」
「楽しみか?」
「私はカケルに全てをあげたいの。けどテイカばっかりだったから…」
「明日はたっぷり楽しんで下さい。あたしもお手伝いしますので」
やる気満々だな、良い事だ。
明日は俺だけで街に行くので家具を作る為の柱と板、木釘を量産しておいて貰う事にした。
夜は軽く、二人に飲んでもらうだけで寝た。
朝から街に来た俺は建具屋で寝具店の場所を聞き出して向かっていた。朝一でまだ完成していなかったのだ。正確には、鍵のユニットを付ければ完成するのだが焦る事は無い。
ベッドの看板の店、ここが寝具屋だ。多分。
店に入って、正しかった事にほっとする。宿屋の看板もベッドが描いてあるので紛らわしいのだ。
「いらっしゃいませー、お一人用ですか?」
可愛らしい少女が接客に来た。
「見栄を張って三人用のを探しているんだが」
「寝相が悪いのでしたらベッドより布団タイプをお勧めしますよ」
フローリングだらけのシルケにも布団文化があるのか。いろいろ見せてもらうと、ベッドの他にもマットや布団、シーツなど布製品が多くあった。ただ、布製品は手間がかかる分高い。木製品より高い。そんな中、気になる物を発見。
「このベッド、シーツの下は草なんだな」
「草の他には、獣の毛やおが屑などが使われますね。わたしは良い匂いがするのでおが屑派です」
確かに草のベッドは干し草の香り、おが屑のベッドは木の香りがする。
「確かにこれは良い匂いだな」
「お買い上げ?」
「残念だがサイズ的に見送りだな。シーツだけでも欲しいので三枚頼む」
「お買い上げありがとうございます」
二×三ハーンのシーツ三枚で金貨二枚と銀貨四枚。
再び建具屋にてドアを受け取り、街の人に注目を浴びながら街を出た。空飛ぶドアの噂などされたら堪らないので森の中を滑るように進む。あの時の熊が居たけど無視された。敵じゃないけど危険でもない扱いって事か。
森の中頃から空飛ぶドアになり島を目指した。
「ドア買ってきたぞ」
「おかえりなさい」
「ドアはよ」
柱を持って待っていたイゼッタに急かされて工事に取り掛かる。
ドアに合わせて柱を切って、柱に合わせて壁を切り、壁と柱を鉄釘で打ち付ける。ドアに蝶番を付けた状態で稼働を確認し、柱と蝶番をくっ付けて、ドアの開きと鍵の様子を確認したらドアの完成だ。
「成し遂げた」
「まだ外側だけだけどな」
「しよ?」
「まだ昼前だぞ?」
「…カケルぅ…」
「あたしからもお願いします」
よしやろうすぐやろう!
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